微妙な年齢をどう乗り切るか 「49歳の心のリスク」

ソファで物思いにふける男性(写真:アフロ)

49歳の相談者たち

不安感や体調不良などで相談にいらっしゃる方の年齢をみて、「また49歳か」と思うことがしばしばです。男性でも女性でも40代最後の年齢は環境の変化や自分の中の思いが重なりストレスを感じやすい年齢なのかもしれません。この微妙な年齢をどう乗り切るか、これから必要な課題かもしれません。

Aさんの場合:負担は多いが、評価は上がらず

Aさんは企業の中間管理職。49歳。この数年部署は人手不足で仕事の負担が質量ともに多くAさんは時間外労働で常に警告を受けています。直属の上司は要領がよくAさんに仕事を押し付けて自分は出張に出かけたりしており不満感がたまっています。部下から頼りにされ、我慢強くまじめなAさんは部下の仕事のサポートをしたり部内の仕事を調整したりと本来の自分の職務以上の業務が多いのですが、評価は特に上がらずそのことでさらに焦燥感が強くなってきています。最近は朝早く目が覚め、会社に行くと全く食欲がなくて食べられないなどの症状があり受診。若いときは評価が上がらなくてもまだ先があるからと希望もありましたが今はそれもなくいくらやっても変わらないことになかばあきらめ気味。転職も年齢を考えると怖い感じがして踏みとどまったそうです。

Bさんの場合:のぼりつめたけれど疲労困憊

Bさんはグローバル企業の中間管理職、49歳。超ハードスケジュールの海外出張などをこなす生活をこの10年続けて順調にステップアップ。同級生の間では出世ナンバーワンで上昇志向が強く上司からの期待もあり与えられた仕事を確実にこなすという評価を得られてはいるものの疲れを感じており、何のためにこんな生活をしているのだろうと考えはじめたころ耳鳴りとめまい、頭痛が起こり受診。MRIなど検査では異常がなくストレスによる症状という診断を受けました。着実にキャリアを積んできただけに体調不良になると自己肯定感が失われ不安が続いています。

Cさんの場合:このまま仕事だけの人生か?

Cさんは企業の管理職の女性。49歳。独身で仕事をしてきましたが最近会社に行くと息苦しくなり動悸がしていたたまれなくなり受診。海外出張なども多いがその方がのびのびしていられるとのこと。女性が少ない職場で働くことには慣れているがこのままずっと仕事だけの人生なのかと考えることが増えている。仕事上の我慢や理不尽な思いを話す相手がなく感情を抑えることが続いていること、なにかもっと自分の特性を生かしたことをしたいという思いが症状の背景にあると思われました。

49歳という年齢

もう若くはない、でも年寄りではない、というのが49歳という年齢といえます。仕事で転職を考える場合は最後のチャンス、という感じになり簡単に決められない。職場で今後の自分の役職が見えてしまう場合と逆に全くどうなるかわからない、という場合もあり若いころにはなかった「将来への不安」が現れる年代でもあります。人の評価や世間の期待ではなく「自分らしさ」「自分ファーストの生き方」をしたいという願望が現れるきっかけが体調の変化として現れるのもこのころといえます。つまり外的な環境要因と自分の内部の要因が共に変化するのがこのころといえるでしょう。

49歳で壁にぶつかる方の特徴

 自分の不満や納得できない思いをいわずに我慢してしまう傾向が強い。

 周囲からの期待に応えたいという思いで仕事を続けてきた。

 嫌な顔をしないので周囲から仕事を押し付けられてしまう傾向が強い。

 自分の感情を表現する場がない。

 上昇志向が強く無理して頑張りすぎることが多かった。

乗り越えるための6つの対策

1.転職か我慢かという2者択一的な思考回路をやめて自分の心地よい生き方はどんなことか考え箇条書きにする。

2.心地よく生きるなんて贅沢で不可能だという思い込みを捨てる。

3.自分の不満や不安について語る場を作る。

4.自分の感情を表現する手段を最低2つ以上持つ(例:楽器を演奏する、文章にする、ものを作るなど。)

5.自分が心地よく生きるために何が必要かを書き出してみる。

6.YES-NO-YESの方式で仕事とかかわる。まず自分にとりYESかどうかを最初に考える。

そして引き受けられないときはNOと伝える。そのあとお互いにとりYESの着地点を提案する。

ヘドニアからユーダイモニアへの転換が必要

ヘドニアは「快楽としての幸福感」。ある活動を楽しんでいるときに経験する幸せ感を指します。おいしいものを食べる、コンサートに行く、ショッピングする、映画を見るという楽しみです。一方、ユーダイモニアは「個人的充足感としての幸せ感」。個人の可能性を表現する活動をする幸せ感を指します。これをしているのが本来の自分である、という感じがする充足感を持つ幸せ感です。その活動をしているときに達成感があり、心地よい満足感が得られ自分にぴったりしているというものがユーダイモニアといえるでしょう。ひとことで言うなら「自己表現活動をする」ということでしょうか。若いころは人の評価を得て役職があがることだけで満足しそのことで手一杯な生活だと思います。ヘドニアを経験したら次のステップに進む、自分の新しい可能性としての表現の場を持つ、それが49歳からの生活を充実させるものになるように感じています。