かつては「ジキル&ハイド」のヤンキース田中将大、昨季後半から安定した投球が続く

8日のアストロズ戦で力投する田中将大(写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ)

現地時間4月8日のアストロズ対ヤンキース戦を、NHK BSとMLB.com併用で観戦した。ヤンキースの田中は6回1失点の好投。これで今季の3試合の登板全て2失点以下と安定した投球を見せており、この先も期待できそうだ。

田中の登板は、制球力がすぐれているため見ていて気持ちが良い。今季それまでの2試合11.2回で無四球だった田中は、この日も狙ったスポットにきっちり投げ込んでいた。4回にアレックス・グレグマンに今季初の四球を許したが、スリーボール・ナッシングから際どいコースを果敢に攻めた結果だった。

ブレグマンの前のホゼ・アルトゥーベに完璧な?一発を浴びたが、それも今季初被弾。最大の武器のスプリッターを低めに決めるためには、ある程度はあまり球威のないフォーシームを高めに投げざるを得ない。したがって、被弾の多さは田中の数少ない欠点で、むしろこの日の登板を含めた3試合17.2回を投げ終えた時点で被本塁打1本は、彼としては上出来と言って良いだろう。

この日は6回終了時点でタマ数はわずか78球だったが、ヤンキースのアーロン・ブーン監督は交代させた。これはシーズン序盤には良くあることで、過去2度の登板もいずれも80球台で降板している。今後、徐々に投球数を増やして行くものと思われる。

田中の降板時点ではヤンキースは3対1でリードしていた。しかし、そのリリーフ陣が逆転を許し4対3で敗れた。毎度のことだが、公共放送のアナウンサーは、5回には「勝ち投手の権利がかかります」、アストロズが追い付いた際には「これで田中の勝ちが消えました」と力説していた。

これらは事実ではあるが、先発投手はチームの勝利のために「試合を作る」ことが第一の役割だ。田中もヤンキースの一員として登板している。何も田中登板時に限ったことではないが、日本人投手が先発する試合で彼らに「勝ち」が付くか否かに必要以上にこだわった放送スタイルは少々不快感が残る。また、現在のメジャーでは投手の勝敗は「最も実力を反映しない指標の1つ」だ。これは、昨季ナ・リーグのサイ・ヤング賞にわずか10勝(9敗)のジェイコブ・デグロム(メッツ)が選出されたことにも現れている。その点でも、時代遅れだと思う。

話を田中に戻す。彼は、昨年まで5年連続12勝以上を記録した。デビューからではメジャー史上5人目だ。これだけを見ると、「安定した投手」だが、実際には過去2年は同一シーズン内で成績のアップダウンが激しい。昨季は特に前半戦は被弾の多さが目立った。また、右太もも裏の故障で、約1ヶ月戦列を離れた。そのためイニング数は156で、規定投球回に達しなかった。

しかし、昨季後半からここまでは極めて安定した投球を続けている。

また、1年目の7月に右ヒジの靭帯損傷が見つかりPHP療法を受けてから、田中が炎上するごとに「手術を受けるべきだった」との厳しい指摘が続いていたが、結局ヒジの故障は再発していない。過去5年全て故障者リスト入りしているが、それ以降の故障は全てヒジ以外だ。

この調子が長く続いて欲しいが、その可能性も十分だろう。