「早過ぎ」ではないツインズ戦での大谷翔平の降板

今週も日本の1週間はSho-Timeで始まった。(写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ)

日本の1週間はSho-Timeで始まる。14日の月曜日早朝もエンジェルス大谷翔平のツインズ戦での快投でこれから始まる自分のタフな1週間に活を入れたファンも多いのではないか。ぼくもその1人だ。彼のこの日の素晴らしい投球に関しては、改めて語る必要もないだろう。しかし、交代タイミングに関しては少し私見を述べたい。

エンジェルスが1対0でリードの7回表、大谷が1死からローガン・モリソンに四球を与えたところでマイク・ソーシア監督はキャム・べドロージアンをマウンドに送った。103球だった。結果的にはこれが裏目に出て試合は同点に、最終的にはエンジェルスは2対1でサヨナラ勝ちを収めたが、NHKの放送では、投げている投手よりも劣る者を救援に送ることへの疑問を呈していた。

ぼくは、決して早過ぎたとは思っていない。べドロージアンが同点を招いたのはあくまで結果である。「投手を替えるのは、より良い投手が控えていればこそ」というのは基本的に明日なきトーナメントでの思想であり、メジャーで例えるならポストシーズンの場合である。シーズンは長い。162試合の長丁場を乗り切るには、先発投手もリリーバーもあらかじめ設定された役割とルールに沿って起用し、目先の勝利のために無理をしないこと、これはとても大切なことだ。

大谷は6回終了時点で91球を投じていたので、その時点でスパっと替える手もあったと思う。それまでの今季最多のタマ数は、前回のマリナーズ戦での98球だった。ぼくはテレビを見ていて、むしろ7回もマウンドに上がったことに驚いた。

スポーツ医学や統計分析がすごく発展した現在でも、投手起用のインターバルやタマ数に関して、科学的な根拠のある理論は存在しない。だからこそ、二刀流起用という前例のない負担を抱えている大谷にはソーシア監督が人一倍気を使うのは当然だ。これは試合後のメディア報道で知ったことだが、「100球を超えてみる」というのが慎重起用の中での実験だったようだ。あの場面で続投させれば(言い換えれば7回を投げ抜かせようとすると)、「次のチェックポイント」とする110球をも大きく超えてしまう可能性もある。ブレなかったソーシアは立派だと思う。

また、放送中「大谷の勝利投手の権利が消えた」ことを殊の外残念がるコメントがあった。これは今回に限ったことではないが、日本のメディアやファンはそろそろ勝ち星の呪縛と決別した方が良い。メジャーでは「投手の勝利数は防御率以上に本来のパフォーマンスを反映しない」ことは常識だからだ。勝利が先発投手に付くかどうかは、味方打線対相手投手陣という先発投手にとってはコントロール外のことで左右されるし、分業が当たり前になり救援投手に降板後を託さねばならない現代においてはなおさらだ。この日の大谷は勝利投手にはなれなかったが、クオリティスタート数や投球回数を稼ぎ、奪三振率などでしっかりスタッツ的にも成果を挙げているのだ。