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免停中の人身事故は愚行の極みだが、オリックス奥浪は処分を受け入れるしかないプロセスは健全ではない

豊浦彰太郎Baseball Writer
(写真:長田洋平/アフロスポーツ)

免停中に運転し事故を起こしたオリックスの奥浪鏡内野手が契約を解除された。起こした不祥事の内容は愚かという他ないが、果たしてNPBからの事実上の抹殺となりかねない処罰が適切なのか?また、球団側の判断をそのまま受け入れざるを得ないプロセスに問題はないのか?という思いは拭えない。

報道によると、奥浪は免停中でありながら、車を運転した。これ自体、相当けしからんことだが(1年間の免許取消歴があるぼくが言うのも説得力欠けるが)、さらに人身事故を起こしたとなれば何をかいわんやだ。

オリックス 奥浪と契約解除、免停中に運転で事故起こす・・・5月に無期限謹慎処分 (スポーツ報知)

恐らく彼の免許は停止では済まず取消となるのだろう。ぼくは、免許評論家ではないので、彼の取消期間が何年間に及ぶのかはよく分からないが、それなりに厳しい処分となるだろう。しかし、刑事上の責任は罰金を支払い取消期間を全うすれば果たしたことになる。法的に罪を償った人物は、それなりに再出発の機会が与えられるべきだと思う。奥浪がこのまま球界から事実上の追放となることがないことを願う。解雇された彼の獲得に動く球団があっても良いと思う。

このような意見を述べると必ず受ける反論として、「サラリーマンだって、こんなことをしでかせば解雇されるではないか」というものがある。しかし、雇用されている会社員とは異なり、プロ野球選手は個人事業主だ。球団との契約において不祥事を起こした際の契約解除が規定されているならともかく、そうでないならやりすぎではないか。

また、契約解除が適切かどうかという議論だけでなく、選手は一方的に球団の独断である処分をそのまま受け入れねばならないプロセスもフェアではない。どんな罪人も弁護士を付ける権利を有している。ギルティな奥浪の利益を代弁し、過剰な処分とならぬようモニターする立場の人物または組織が存在しないのは健全ではない。それは、選手会が担うべきことだと思う。

Baseball Writer

福岡県出身で、少年時代は太平洋クラブ~クラウンライターのファン。1971年のオリオールズ来日以来のMLBマニアで、本業の合間を縫って北米48球場を訪れた。北京、台北、台中、シドニーでもメジャーを観戦。近年は渡米時に球場跡地や野球博物館巡りにも精を出す。『SLUGGER』『J SPORTS』『まぐまぐ』のポータルサイト『mine』でも執筆中で、03-08年はスカパー!で、16年からはDAZNでMLB中継の解説を担当。著書に『ビジネスマンの視点で見たMLBとNPB』(彩流社)

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