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「マニーはやっぱりマニー」ラミレスの気まぐれ出勤は契約上OKでもNPB入りの障害にならないか?

豊浦彰太郎Baseball Writer
歳を重ね自慢のドレッドヘアのボリュームが減じても「マニーはマニー」 のようだ。(写真:Rodrigo Reyes Marin/アフロ)

「2日は、打撃練習からマニー・ラミレスをしっかり見届けるつもりだ」、そう記したばかりだが、冷や水を浴びせられることになった。

肌寒かった前日のナイトゲームとは異なり、今日は春の日差しをいっぱいに浴びるデイゲームとなるはずだった。

午前中に市内目抜き通りでの朝市をひやかし高知城を見学したぼくは、午前11時前に球場入りした。フィールドでは、対戦相手のソフトバンク三軍の打撃練習中だった。すると、それまでの晴天がウソのように雲が立ち込め雨が降り始めた。マウンドや本塁付近および各塁にはブルーシート!が掛けられ、練習は中断となった。

しばらくして雨が小止みになり、練習再開。マニーの所属する高知ファイティングドッグスの選手たちが姿を現し、ストレッチやキャッチボールを始めた。しかし、そこにマニーの姿はない。

その後、再び雨が激しくなって来た。ぼくはスタンドを離れ、記者席に避難した。すると・・・

周囲から地元記者たちの話し声が聞こえてくる。「どうやら、来ていないらしいよ」

そう、この日マニーは欠勤したのだ。

このこと自体では、ラミレスを責められない。もともと入団の条件が「全て好きにして良い」ということだったからだ。一般論としては、どんなスターであってもチームの規律には従うべきで例外扱いすべきではないと思うが、Manny being Mannyのキャラで知られるラミレスに、こちらのルールを押し付け従わせることは事実上不可能だ。球団サイドがマニーの全てを受け入れるしかない。それが嫌なら、そもそも彼と契約すべきではないのだ。

しかし、ちょっと違う見方もある。今回のような行動は、NPB入りを目指すラミレスにプラスにはならないはずだ。晴れてNPB入りを果たした暁には、「好きな時に出勤する」では通用しない。今後彼が独立リーグで猛打を発揮しマニー獲得を検討する球団が出て来た際に、今回のような行動履歴はその球団を躊躇させる要因になると思う。今回の高知入団が彼一流の気まぐれではなく、NPBを目指した不退転の決意に基づくものであれば、自由出勤は慎むべきだ。

結果的には、今回のぼくのマニー目当ての高知行きは、2試合観戦の予定を組んで正解だったわけだ。次回もそうしよう。でないと、空振り企画になってしまう可能性が大だ。それこそ、「やっぱやめた、帰る」となってしまう恐れすらあるのだ。

Baseball Writer

福岡県出身で、少年時代は太平洋クラブ~クラウンライターのファン。1971年のオリオールズ来日以来のMLBマニアで、本業の合間を縫って北米48球場を訪れた。北京、台北、台中、シドニーでもメジャーを観戦。近年は渡米時に球場跡地や野球博物館巡りにも精を出す。『SLUGGER』『J SPORTS』『まぐまぐ』のポータルサイト『mine』でも執筆中で、03-08年はスカパー!で、16年からはDAZNでMLB中継の解説を担当。著書に『ビジネスマンの視点で見たMLBとNPB』(彩流社)

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