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「マニー・バーガー」も登場した元メジャーリーガー・ラミレスの開幕戦。日本での冒険が始まった。

豊浦彰太郎Baseball Writer
マニーは高知でも大人気(写真:Rodrigo Reyes Marin/アフロ)

マニー・ラミレスの日本での開幕戦を見届けるべく、高知までやって来た。人生初の高知県だ。仕事の関係でほぼ全県を訪れているが、ここだけはまだだったのだ。ぼくの業界では、失礼ながら高知県は「不毛の地」とされている。先月、WBCで訪れたソウルも人生初韓国だった。ベースボールは、ぼくの見聞を広めてくれる。

1日夕方、高知空港に到着した。レンタカー会社の営業所を出る頃には、すでに試合開始の時間になっていた。「急がねば」との思いもあったが、途中で渋滞もあった。しかし、思ったより大きな街で驚いた(スイマセン)。「高額商品が売れない街」との先入観を持っていたが、輸入車ショールームも空港から球場に向かう間に複数目にした。

高知球場は運動公園中にあった。野球観戦以外でもテニスなどで訪れた人も多いようで、駐車場は満杯。停める場所を探すのには苦労した。しかし、無料なのは嬉しい。

この日の観客は2000人弱だが、スタンドも狭いため結構大入り感がある。開幕戦ということに加え、マニー人気のおかげだろう。スタンドでは「マニー・バーガー」なるものが売られ(食していないため、中身不明)、ファン手製のマニーを歓迎する横断幕も貼られていた。しかし。よく見るとそこにブラジル国旗らしき図柄が描かれている。マニーはドミニカ共和国生まれで、少年時代にアメリカに移住しているのだが、中南米は一緒くたのようだ(4月3日追記 : この記事を読まれた方から、ブラジル国旗は夫人が同国出身だからではないか、というご指摘をいただきました。そうであるなら、この記述は不適切となります。不快な思いをされた方に陳謝申し上げます)。実際、この日訪れた観客(だけでなく地元メディア)は、マニーの偉大なキャリア(とスキャンダル)をどれだけ理解しているかは疑問だ。とは言え、「よく分からないが、凄い元メジャーリーガーが来たらしい」ということで街が盛り上がり、独立リーグ野球の市民のエンターテイメントとしての一層の浸透に繋がれば十分だ。

1番DHで出場したマニーは、3打数1安打1四球で2三振。試合中盤から観戦したぼくが見届けることができたのは、三振と四球の2打席だった。正直言って、振りはかなり鈍く過去3年のブランクを感じさせた。ただし、「さすが」と思わせたのは選球眼で、狙い球がくるまでは簡単には振らない。試合後の囲みインタビューでも、しきりに「 ブランクを考えれば上出来」と本人は強調していた。ぼくは「外野守備にも挑戦する気はないか」と聞いてみたが、あっさり「そのつもりはありません」との回答だった。「今は大好きな日本でプレーできる喜びを感じている」と優等生的発言を連発していたが、本気でNPB挑戦を狙っているなら「いざとなれば守れるくらい体はちゃんと動く 」ことを証明しておいた方が良いと思うのだが。まあ、ボロが出ないように、ということか。

翌朝の地元紙「高知新聞」のスポーツ欄は、マニーデビューを巨人阿部のサヨナラ弾と同じ大きさで報じていた。こうでなくては。2日はしっかり打撃練習から見届けるつもりだ。

Baseball Writer

福岡県出身で、少年時代は太平洋クラブ~クラウンライターのファン。1971年のオリオールズ来日以来のMLBマニアで、本業の合間を縫って北米48球場を訪れた。北京、台北、台中、シドニーでもメジャーを観戦。近年は渡米時に球場跡地や野球博物館巡りにも精を出す。『SLUGGER』『J SPORTS』『まぐまぐ』のポータルサイト『mine』でも執筆中で、03-08年はスカパー!で、16年からはDAZNでMLB中継の解説を担当。著書に『ビジネスマンの視点で見たMLBとNPB』(彩流社)

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