WBC タイブレークの11回表、犠打から入った小久保監督の判断は結果オーライだが正しかったのか?

小久保監督は、序盤からバントを用いるなど手堅い戦術を好む。(写真:田村翔/アフロスポーツ)

3月12日(日)の侍ジャパン対オランダ戦。ぼくも、おこずかいを倹約して捻出した1万6000円でS席のチケットを買い、東京ドームに駆け付けた。一進一退の攻防と、最後は家に帰れるかという、ふたつのスリルを堪能した。

そして、そのゲームはぼくにとって初めて現場で見守るタイブレーク制の攻防でもあった。

結果はご存知のとおり。先行の侍ジャパンは先頭打者の鈴木がきっちり送りバントを決め、予め一二塁に配置された2人の走者を進めた後、中田の決勝打が飛び出した。

しかし、試合後もひとつの疑問が拭い去れなかった。あの場面、小久保監督は1点を確実に取りに行くために送りバントの指示を出したのか?それともある程度(2点以上)の得点を狙い、走者をふたりとも得点圏に配置することが目的だったのか?

一般論としては、延長戦で無死一二塁なら送りバントだ。1点を争う展開だからだ。しかし、タイブレーク制では最初からビッグイニングになる可能性を孕んでいる。そのことは11回裏のオランダも同様なのだ。

犠打で1点を確実に獲りに行き、その結果裏には一気に2点を返され逆転負けという恐れは通常の延長戦以上に高い。したがって、タイブレーク制のイニングに入った暁には、先行のチームは確実に勝ち越すか、それとも安全しろを見てビッグイニングを狙いに行くかはとても難しい判断だ。その点後攻のチームは有利だ。その回の表に何点入ったか、また入らなかったかを踏まえて戦術をチョイスできるのだから。いわば後出しじゃんけんが可能なのだ。

そして11回の裏、2点を追うオランダは強硬策に出た。これは当然だ。最低でも2点、あわよくば3点取らねばならないのだから、犠打でアウト数は無駄にできない(もっとも、オランダチームが日本並みにきっちりバントを決める技術を有していたかは疑問だが)。

話を11回表の侍ジャパンに戻すと、小久保監督は一般の延長戦の定石で鈴木にバントを命じたのではないかとぼくは思っている。なぜなら、この試合序盤から坂本にバントをさせるという手堅いというか、統計学的には得策とは思えない策を取っているからだ。

この試合、結果的には鈴木のバントが大いに活きた。しかし、あの場面、本当に取るべき手段は送りバントだったのかどうか、ぼくには疑問だ。その裏に絶対的なクローザーが控えているのでない限り。