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「ロッテには外国人選手への対応に留意するよう要請した」熊崎NPBコミッショナー発言への失望

豊浦彰太郎Baseball Writer
2020年 東京オリンピックプレビュー種目追加検討会議の際の熊崎氏(写真:YUTAKA/アフロスポーツ)

ロッテが銃刀法違反で逮捕されたヤマイコ・ナバーロに公式戦4週間出場停止を課し、球団本部長らを減給処分とした件に付き、NPBの熊崎勝彦コミッショナーがこうコメントしたそうだ。

「ロッテには今後、外国人選手に対して我が国の処罰法規等の説明をするなど、事前対応に留意するよう要請した」

出典:3月1日付、読売新聞

はっきり言って失望した。

このコメントは本件を「一部の不良外国人によるスキャンダル」としか捉えていない。そこには「実弾を所持するなどガイジンしかあり得ない」という偏見も見て取れる。しかし、果たしてそうだろうか。「善良」であるはずの日本人選手やそのOBが、賭博や覚せい剤に手を染めているのが実情だというのに。

また、熊崎コミッショナーの発言はこれを個別事案としか見ていない。これも残念だ。球界全体のモラルハザードと捉える広い視野を持っていないようだ。なるべく本件を矮小化しておきたいという意図すら感じられる。

しかし、皮肉なようだがこれこそコミッショナーの役割なのだ。現実にはNPBのコミッショナーは一部有力オーナーの傀儡であり、彼らの利益の代弁者であることを期待され、それに合致した人物が選ばれている。ある意味では、今回の発言こそがNPBコミッショナーとは何ぞやということを象徴している。

Baseball Writer

福岡県出身で、少年時代は太平洋クラブ~クラウンライターのファン。1971年のオリオールズ来日以来のMLBマニアで、本業の合間を縫って北米48球場を訪れた。北京、台北、台中、シドニーでもメジャーを観戦。近年は渡米時に球場跡地や野球博物館巡りにも精を出す。『SLUGGER』『J SPORTS』『まぐまぐ』のポータルサイト『mine』でも執筆中で、03-08年はスカパー!で、16年からはDAZNでMLB中継の解説を担当。著書に『ビジネスマンの視点で見たMLBとNPB』(彩流社)

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