Yahoo!ニュース

この時期から東京ドーム。「南国の地方球場でのオープン戦」の牧歌的な雰囲気が失われたのはちょっぴり残念

豊浦彰太郎Baseball Writer
3月1日には札幌で試合が組まれている。牧歌的な南国でのオープンは過去のもになった(写真:長田洋平/アフロスポーツ)

プロ野球のキャンプが終わった。もう開幕まで1ケ月を切っている。これからはオープン戦の季節だ。しかし、ギリギリまだ2月だというのにもう東京ドームでオープン戦をやっている。いや、それどころではない。あさって(これを書いているのは28日の夜)には、札幌でしかもナイターで試合が組まれている。3月1日の札幌は最高気温ですら2度!だが、もちろんドームなので関係ない。いつからだろう。オープン戦も基本的に各球団の本拠地球場+若干の地方開催という「公式戦モード」になったのは。

現実には、沖縄を離れると、九州や四国といえども東京あたりと決定的な気温差はないので、「春遠いうちは南国で」と強硬に主張する実利的な根拠はない。だけれども、野球というのは本来牧歌的なスポーツだ。この時期から公式戦と同じ開催地というのはいかにも味気なく個人的には残念だ。

一方で、キャンプのほうは昔のようにひたすら練習ではなく、2月中旬からは連日練習試合というのが一般的になった。「キャンプの醍醐味は猛練習」という御仁もおられると思うが、「ゲームこそ最高のプラクティス」という考えが浸透してきているのだと思う。

ぼくもキャンプを観に行くときはなるべく練習試合が開催される日を狙っていく。プロの試合が無料で見れるのはすごくお得感がある。しかし、ファンの立場を離れると「もったいないなあ」とも思う。これだけ練習試合が多いのだから、ちゃんと入場料を取って見せるべきではないか。いや、営業的観点からカネを取るべき、というだけではなくフィロソフィー的にもいやしくもプロがタダで試合を見せてはいけないと思う(著者注 このキャンプ期間中でも有料の練習試合があったと、読者の方からご指摘をいただきました)。

もっとも、入場料を取って見せるとなると、特に沖縄の場合巨人がキャンプを張る沖縄セルラー以外は、正直なところファシリティー的にシンドイ。しかし、将来的には数多く開催される練習試合の有料化とそれを実現するための施設の整備はとても意味があると思う。ディズニーランドには及ばないだろうが、2月のプロ野球キャンプという観光コンテンツの魅力アップと地域経済への貢献が見込まれるのではないか。また、一旦施設が整備されれば、2月のキャンプ以外でもウィンターリーグの開催も可能になり、より観光資源も増えるのではないか。

そうなれば、「2月末から東京ドーム」も情緒派のぼくですら許容できる。

Baseball Writer

福岡県出身で、少年時代は太平洋クラブ~クラウンライターのファン。1971年のオリオールズ来日以来のMLBマニアで、本業の合間を縫って北米48球場を訪れた。北京、台北、台中、シドニーでもメジャーを観戦。近年は渡米時に球場跡地や野球博物館巡りにも精を出す。『SLUGGER』『J SPORTS』『まぐまぐ』のポータルサイト『mine』でも執筆中で、03-08年はスカパー!で、16年からはDAZNでMLB中継の解説を担当。著書に『ビジネスマンの視点で見たMLBとNPB』(彩流社)

豊浦彰太郎の最近の記事