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39歳。36歳で亡くなった婚約者が生きられなかった世界を生きていきたい。~おみおじリポート(51)~

大宮冬洋フリーライター
自信のなさがコンプレックス、と循環論法的な悩みを明かす美人です。(山崎さん提供)

10月24日追記。ご本人の希望により、山崎さんはオネットを退会しました。僕たちはもうお世話できませんが、山崎さんの幸せな結婚を祈っています。

半年後には「自動退会」するのが受けオネット会員の宿命。明日は2名が退会します

 こんにちは。大宮です。自分の周囲にいる独身男女の婚活を前のめりで支援する「お見合いおじさん活動(略称:おみおじ)」を婚活パーソナルトレーナーのマチコ先生と一緒に推進しています。お世話させてもらう独身者をオネット(大宮ネットワーク)会員として認定し、半年間限定で応援し、婚約を目指す活動です。オネット会員の種類(受けor攻め)と募集についてはこちらをご覧ください。

 今年4月から再開しているおみおじ。すでに半年が経過しようとしています。4月15日に活動スタートした小林早苗さん(仮名、39歳)と奥村克也さん(仮名、46歳)は明日で自動退会です。

 残念ながら小林さんのほうには良きご縁を提供することができませんでした。でも、小林さんからは丁寧なお礼メールをいただいたのです。オネットでの活動の結果、自分は孤独に強いので一人でいるよりも楽しい時間を過ごせるぐらい好きな人とでなければ結婚はしないでもいいかな、と気づいたとのこと。同じように感じているアラフォー独身女性は世の中に多そうですね……。

 奥村さんのほうは明るい兆しがあります。彼の記事を読んだ女性(攻めオネット会員)がお見合いを申し込んでくれて、マチコ先生があれこれお世話した結果、やりとりが続いているようです。素敵なカップルになりそうなので交際に発展したらいいなと思いつつ、退会してもらいます。奥村さん、グッドラック!

社会人になってからの恋愛経験が少なくて、異性との距離を縮められない人たち

 小林さんと奥村さんのその後の展開はいずれ聞き取ってレポートしたいと思っています。でも、僕とマチコ先生は現会員に集中しなければなりません。小林さんのような「気づき」も悪くはないけれど、できれば当初の目的である結婚によって幸せになってほしいからです。

 結婚相手には「真面目」な人がいいですよね。誠実で常識的な働き者、という意味での真面目です。でも、そういう人は社会人になってからの恋愛経験は少なくて、なかなか距離が縮まらなかったり。そんな人たちには勇気と助けが必要なのです。お互いに相手のいい面を見るようにして勇気を出して歩み寄り、ときには第三者(オネットでは僕とマチコ先生)の力も借りて、縁を結んでくれたらいいなと僕たちは思っています。

 東京都内で営業事務職をしている山崎紗季さん(仮名、39歳)は、真面目な人の典型例。それが自分の長所であり短所でもあると自覚しています。

「新卒で入った会社で働き続けていますし、子どもの頃から大学生までずっと吹奏楽部で活動していました。『頑固だね』と友だちから言われてしまうこともあります。自分の意見を曲げなかったり、会計は割り勘にしないと気が済まなかったり。男の人に『借り』を作ってしまうことが苦手です」

婚活には「ゆるさ」も必要。相手の立場を想像し、「それもありかな」と受け入れてみる

 そんな山崎さんには心に決めた男性がいました。25歳のときに初めてできた恋人です。2人は婚約していたのですが、3年後に彼は他界してしまいます。

「それから10年近くは、亡くした婚約者のことがいつも心にありました。私自身が彼が亡くなった36歳という年齢になるまで、あれこれ後悔したり自分を責めたり比較してしまっていたのだと思います。36歳を過ぎ、彼が生きられなかった世界に突入して初めて、『この先は自分の人生を生きなければ』と思えるようになりました。でも、本格的に婚活を始める年齢としては大変出遅れてしまったと感じています」

 実行力もある山崎さんは、「遅れ」を取り戻そうと様々な方法で婚活をしてきました。しかし、今のところ良い結果は出ていません。結婚相談所に入っていた際はカウンセラーとの意見が合わずに退会した経緯もあるようです。

 山崎さんとのZoom面談やメールのやり取りで、「真面目さが裏目に出ているかもしれない」と僕は感じました。仕事上でも営業担当者の書類チェックなどをしている山崎さん。細かなことが気になり、自分の意見もきちんと伝える性格です。それは長所なのですが、伝え方によっては相手を否定したようになってしまいます。

 見ず知らずの他者とのパートナーシップを育む婚活においては「ゆるさ」も必要です。相手の立場を想像し、「それもありかな」と受け入れてみたらどうでしょうか。例えば、デートでの会計問題。マチコ先生は「借りを作りたくない」という山崎さんのような女性は意外と多いと指摘したうえでアドバイスします。

「男性に気持ち良く払ってもらうのもサービスだと考えたらどうでしょうか。恋愛や結婚において大事なのは、相手へのサービス精神です」

 山崎さんの趣味は旅行。「種子島でH-IIAロケットの打ち上げを見学したときの写真です」(山崎さん提供)
山崎さんの趣味は旅行。「種子島でH-IIAロケットの打ち上げを見学したときの写真です」(山崎さん提供)

真面目な人のコミュニケーション術。小さなエビが話題のとっかかりになることもある

 真面目でかたい人だと思われがちだと自認している山崎さん。でも、話しているうちに共通点が見つかると盛り上がりやすいとのこと。ちょっとオタク傾向なのかもしれませんね。

「趣味は旅行です。独身で元気なうちにいろんなところに行こうと思っていたのですが、コロナで出かけにくくなってしまいました……。自宅では植物を育てたり、ヌマエビという小さなエビを飼ったりしています。本当は犬を飼いたいのですが、ペット可物件ではないのでエビにしました。小さなエビがチョロチョロ動いているのを見ると癒されます」

 この発言にはなぜかマチコ先生が興奮し始めました。自分もエビを飼うことに興味があるのだとか。エビの種類と飼育方法について山崎さんに質問し始めました。先生、本題ではないのでやめてください……。

 僕はエビは食べることしか興味がないのですが、生き物好きの男性は世の中にたくさん隠れていますよね。昆虫などを飼い始めると、子どもよりも夢中になってしまう父親は少なくありません。山崎さんのヌマエビはそんな男性との会話のとっかかりになる気がします。

「旅行が趣味と言えば、イベント会社勤務の森山さんはどうでしょうか? 全国をくまなく回っていて、地元産の野菜や調味料を買ってきて料理をしている方です!」

 マチコ先生は即座に提案。エビ飼育の話で山崎さんに親しみを感じたようです。確かに、やや面食いの森山さんは美人の山崎さんとの相性がいいかもしれません。引き合わせてみましょうか。山崎さん、もしこれで結婚できたらエビたちの水槽を大きくしてあげてくださいね!

山崎さんが飼育しているヌマエビたち。小さすぎて、どこにいるのかわかりません。(山崎さん提供)
山崎さんが飼育しているヌマエビたち。小さすぎて、どこにいるのかわかりません。(山崎さん提供)

※文中のオネット会員は仮名です。山崎さんの詳細プロフィールやマチコ先生と大宮による超実践的婚活アドバイス(ヤフーの有料記事です)を読みたい方はこちらをご覧ください。

フリーライター

僕は1976年生まれ。40代です。燦然と輝く「中年の星」にはなれなくても、年齢を重ねてずる賢くなっただけの「中年の屑」と化すことは避けたいな。自分も周囲も一緒にキラリと光り、人に喜んでもらえる生き方を模索するべきですよね。世間という広大な夜空を彩る「中年の星屑たち」になるためのニュースコラムを発信します。著書は『人は死ぬまで結婚できる』(講談社+α新書)など。連載「晩婚さんいらっしゃい!」により東洋経済オンラインアワード2019「ロングランヒット賞」を受賞。コラムやイベント情報が読める無料メルマガ配信ご希望の方は僕のホームページをご覧ください。(「ポスト中年の主張」から2017年3月に改題)

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