アイドルや俳優との恋愛や結婚を夢想したことは誰しも一度ぐらいあるだろう。人知れぬ恋愛ならば可能性はあるかもしれない。しかし、結婚となると話は別である。結婚とは生活そのものだからだ。

片岡愛之助(44歳)と藤原紀香(44歳)の結婚に関して、愛之助の隠し子問題が指摘されている。「隠し子」本人とその母親にとっては大問題に違いない。一方で、同じく芸能界でのキャリアが長く、離婚歴もある紀香にしてみれば、この程度は想定の範囲内だろう。印象的なのは、紀香の父親が愛之助を高く評価し続けており、二人の結婚を手放しで喜んでいるということだ(『週刊文春』4月21日号)。

筆者は3年前から「仕事恋愛」の当事者へのインタビューを続けている(連載はこちら)。仕事恋愛とは、職場だけでなく広く仕事つながりで恋愛の相手を見つけることを指す造語だ。当事者たちに話を聞いていると、同じ環境に置かれた人に強い親近感と安心感を持っていることがわかる。

例えば、証券会社の営業マンは高給取りではあるが過酷なノルマを課されている。達成し続けて「トップセールス」の仲間入りをするのは一握りで、多くの人たちは脱落していく。配偶者にはこのストレスをわかってほしい。助けてとは言わないけれど理解はしてほしい、と願う人が一定数いるのは当然だろう。彼らは社内か業界内で結婚相手を見つけようとする。

人によっては会社や業界には重きを置かず、「働き方」への理解を求める。例えば、公務員と自営業者では公私の分け方からしてまったく異なる。

週刊誌の報道は、愛之助は元ホステスの女性とその子どもを切り捨てて、華々しいキャリアを持つ紀香に乗り替えたという論調だ。筆者はそうは思わない。愛之助は、同じく一般家庭からの叩き上げ芸能人である紀香に対して戦友にも似た共感を持っている気がする。その意味で二人はお似合いなのだ。だからこそ、親も応援しているのだろう。

筆者はごくたまにインタビュー取材などで芸能人に接触する程度だが、テレビや雑誌で彼らによく会っている同業者たちの話も合わせると、トップ芸能人はすさまじく多忙で心身は常に疲れているのは間違いない。不規則な生活と厚化粧と照明で肌荒れをすることも多い。それでも芸や演技にエネルギーを燃やし続けているのだ。自意識の高さも尋常ではない。一般人の我々がそんな彼らと結婚生活を送れるとはとても思えない。

ちなみに筆者はハリウッド女優のペネロペ・クルスに憧れ続けている。しかし、万が一にも彼女と結婚生活を送ったら、24時間ぐらいで疲れ果ててしまうはずだ。

芸能人同士の結婚が多いのは、「美男美女は惹かれ合う」「話題作りに必要」といった単純な理由だけはないと思う。仕事や生活をしていくうえでの価値観と苦労、喜びを分かち合えると感じることが重要なのだ。芸能人と結婚したいのであれば、自分も芸能界に身を置くことが一番の早道だと思う。テレビ局や芸能事務所のアルバイトスタッフとして働くだけでもいい。彼らの実情を見たら、「ドラマでの美しい姿を見て憧れているぐらいがちょうど良かった」と気づくはずだ。その後、自分が夢中で働ける仕事や業界で身の丈に合った結婚相手を見つけるかもしれない。