過日、某保険会社のFP向け勉強会のテーマの1つとして取り上げられたのが、失効取消制度でした。コロナ禍だからこそ大きな意味を持つ制度で、業界でもっと広がってほしいと願いコラムにまとめました。

■保険料が払えないとどうなる?

生命保険の契約で、引落口座が残高不足だったり、クレッジトカードの期限が切れていたなどで、保険料を払わないと、どうなってしまうのでしょうか。

そもそも、保険料は「払込期月」中に、保険会社へ支払わなければなりません。しかし、保険料を払わなかったからといって、すぐに契約の効力が失われるわけではありません。

例えば、月払いの保険で、今月、保険料が支払われなかった場合には、翌月の末日までに保険料を払えば契約は継続するという「払込猶予期間」が定められています。年払いであれば、払込期月の翌々月の契約応当日まで(末日までのものもあるので確認を!)となっています。

新型コロナウイルス感染症の影響などに配慮して、保険会社によっては払込猶予期間の延長を行っているところもあります。

■解約返戻金がある保険は自動振替貸付も

払込猶予期間を過ぎても、終身保険や学資保険など解約返戻金がある保険の場合は、保険料の自動振替貸付が行われます。保険会社や代理店などからの通知に気づかずにいたり、あるいは払いたくても払えずにいると、保障は続くものの、どんどん解約返戻金が損なわれていきます。

自動振替貸付はあくまでも貸付ですので、所定の貸付利息が付きます。資金ができた段階で一部または全額を返済することもできます。返済しないまま満期になれば、満期保険金から元金と利子が引かれて支払われます。死亡保険金なら、同様に元金と利子が引かれた保険金が支払われます。

■解約返戻金がない保険は「失効」へ

医療保険やがん保険など解約返戻金の無い(または非常に小さい)保険の場合は、自動振替貸付は適用されず、払込猶予期間内に支払うことができないと契約は失効してしまいます。コロナ禍だからこそ重要な医療保障は、守りたい保障であるにも関わらず、支払猶予期間が終わると失効してしまうのです。

■「復活」という制度があるものの…

失効してしまった保険は永遠におしまいかというと、そうではありません。「復活」という制度があります。失効後3年以内など各保険会社の定める期間内であれば、元の契約を有効に戻すことができるのです。ただし、失効ではなく、自分で解約をした場合には、復活することはできません。

復活には2つの条件があります。

1)失効していた期間分の保険料を支払うこと(延滞利息がつく保険会社も)

2)健康告知または診査を受けて問題がないこと

この2つをクリアすれば、保険を元に戻してもらうことができるのですが、特に2)の告知・診査で引っかかると、保険料が払える状況になっていても、元には戻せないのです。

復活後は、保険料や契約内容は失効前と同じですが、失効期間中に保険金・給付金などの支払事由が発生したとしても保障されません

■失効取消制度があれば告知・診査なしで元に戻せる!

「告知・診査の結果で復活できない」問題を解消すべく、すでにいくつかの保険会社では、失効取消制度を導入しています。通常は、失効から1カ月間などの期間限定ですが、その間であれば、未払込保険料をまとめて支払うことで、告知・診査もなく失効が取り消されます。

復活と大きな違いは、告知・診査が不要であるだけでなく、失効日にさかのぼって保障が継続される点です。失効取消期間中に保険金・給付金などの支払事由が発生した場合は、保険金・給付金を請求することができます。

2021年2月に失効取消制度を導入したオリックス生命では、年間4万~5万件の失効が発生しているものの、2017~2019年の復活率(対失効件数)が約30%だったものが、2021年6月は失効取消率・復活率(対失効件数)が約55%に上昇。内訳では、失効取消率が約49%、復活率が約6%となっており、失効取消制度を活用する人が急増しているのがわかります。

■失効取消制度がある保険会社

一時的に残高不足で失効してしまったなどのときには、生活者にとってこの失効取消制度は非常にありがたい制度です。それとともに、保険会社にとっても失効の減少につながるというメリットがあることからも、ぜひ多くの保険会社で導入していただけたらよい制度だと思います。

現在、制度があるのは下記の保険会社です(ネットで調べた範囲)。契約している保険会社はどうか、1度確認しておくのもいいでしょう。

・SOMPOひまわり生命(2018年8月~)

・ソニー生命(2019年9月~)

・オリックス生命(2021年2月~)

・大同生命(2021年6月~)

※リリースは出していないものの、うちにも制度はあるよという保険会社さんはご一報いただけましたら幸いです。

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