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消費増税カウントダウン!増税前に知っトク情報、最終チェック!

豊田眞弓永続家計アドバイザー/FP/大学非常勤講師
(写真:GYRO PHOTOGRAPHY/アフロイメージマート)

あと10日あまりに迫った消費増税。今回は「知っトク」情報を最終チェックして、増税というインパクトに備えましょう。

■駆け込み需要の反動による景気の落ち込みを避ける

2014年4月1日に消費税が5%⇒8%に上がったときには、知り合いの家の一部屋が、トイレットペーパーやティッシュペーパー、洗剤、子どもの紙おむつ、粉ミルクなどの買い溜めの品で埋め尽くされていたのを思い出します。

前回の増税時には、住宅・車・家電をはじめ総じて駆け込み購入も多く見られ、その反動で増税後に大きな景気の落ち込みが起きました。

そのため、今回の増税では、増税の影響を最小限に抑え、また、あとで反動がくるような駆け込み需要を作らないよう、さまざまな措置がなされています。特に影響が大きい住宅については、駆け込み購入はあまり多くはなかったように思います。

今回の増税では、それら政府が導入する制度や措置を理解し、上手に活用することが、(当面は)おトクにつながる可能性がありそうです。それぞれのポイントを総復習しておきましょう。

■軽減税率導入

消費増税後も、飲食料品(酒類や医薬部外品、外食を除く)と定期購読の新聞は8%のままの「軽減税率」が適用されます。

ただし、スーパーで売っていても、酒類に該当するみりんや、医薬部外品の栄養ドリンクは10%になります。また、新聞も電子版だと10%といったややこしい面もあるので注意しましょう。

飲食は、レストランなど店舗で行えば10%、宅配や出前、テイクアウトは8%です。コンビニやスーパーでイートインコーナーがある場合、持ち帰りは8%、食べていくときは10%の適用になります(自己申告)。

マクドナルドやすき屋はレジの混乱を避ける意図もあって、持ち帰りと店内飲食の税込み価格を同額にすると発表しています。

2%を節約するため、飲食店から宅配やテイクアウトをして、自宅で食べるスタイルが広がりそうです。

■キャッシュレス決済によるポイント還元

経済の効率化を図り、海外からの観光客の消費促進のためにも必要なものとして、政府はキャッシュレス化を促進しています。そのため、2019年10月1日の消費増税から2020年6月までの期間限定ですが、中小型店等でキャッシュレス決済を行うとポイントが還元されます。ただし、店側側がシステムを導入していなければ利用できません。

キャッシュレス決済とは、クレジットカードやデビットカード、電子マネー、「〇〇ペイ」などQRコード・バーコード等での支払い方です。中小型店で5%、フランチャイズ店で2%のポイントが還元されます。大手スーパーやデパートは還元なしです。この還元されるポイントの財源は税金です。

報道によると、10月1日時点で対象店舗の導入割合は約3割程度に留まると見られているようです。上手に活用するためにも、近所のどの店でキャッシュレス決済が導入されているか、チェックしておきたいもの。

参照:政府広報「キャッシュレス決済に対するポイント還元制度」

■プレミアム付商品券

住民税非課税世帯や3歳以下の子ども(2016年4月2日~2019年9月30日生まれ)がいる世帯、低年金の高齢者のみ購入できるのが、プレミアム付商品券です。2万5,000円分の買い物ができる商品券を2万円で買うことができます。これが使える人は、計画的に上手に使うと、メリット大です。

住民税非課税世帯で、夫婦2人と2歳、0歳の子どもがいる家庭では、なんと、2万5,000円×6=15万円分のプレミアム付商品券を、12万円で購入できます。実質20%引きで買い物ができるため、この商品券を購入できる対象世帯では、日用雑貨の買い溜めは不要です。対象店舗の確認も必要ですが、むしろ、増税後にこの商品券を使って買った方がおトクです。

まずは「引換券」を入手して、これを自治体指定の店舗などへ持っていき、プレミアム付商品券を購入します(5,000円単位で分割購入できます)。商品券自体は1枚500円のところがほとんどですが、商品券はおつりが出ないのと、2020年3月末までに使いきらなくてはならない点にはくれぐれも注意しましょう。

期限までに「引換券」は確実にゲットしておき、プレミアム付商品券の購入は必要なときに随時行うという流れにしておけば、余らせずに済むことでしょう。

参照:内閣府「プレミアム付商品券」

■住宅関係<1>住宅ローン控除の延長

住宅の新築や増改築などをした場合、年末現在の住宅ローン残高(一般住宅4,000万円、認定住宅等5,000万円まで)の1%分が、所得税・住民税から控除されるのが住宅ローン控除です。控除しきれない分は、住民税からも控除できます【所得税の課税所得の7%(上限136,500円)まで】。

従前は、控除を受けられる期限は10年間でしたが、増税後は、消費税率10%が適用される物件については、2020年12月末までは、控除を受けられる期間が3年延長します。この3年間は、次の2つのいずれか低い額が控除されます。

・住宅ローン残高の1%

・建物価格(一般住宅4,000万円、認定住宅等5,000万円まで)の増税分(2%)を3年で割った額

契約の時期の関係で8%が適用される物件は従前のままですし、中古住宅の個人間売買の場合は、一般住宅で2,000万円、認定住宅等で3,000万円までです。いずれにしても、しっかり住宅ローン控除を行いたいものです。

■住宅関係<2>すまい給付金の拡大

せっかく受けられるはずの住宅ローン控除も、所得税・住民税の納税額によっては控除しきれない場合もあります。特に年収が低くなるほど控除できる額は低くなります。

そのため、それを補うために作られたのがすまい給付金という制度です。従前では、対象者は年収510万円以下で、最高30万円の給付が受けられました。2019年10月1日の増税後は、最高50万円までで、年収775万円以下までが対象になりました。

■住宅関係<3>次世代住宅ポイント制度

2019年10月1日の消費増税後に、税率10%で、所定の性能を備えた住宅の新築やリフォームを行うと、「次世代住宅ポイント制度」が利用できます。その名の通りポイントがもらえて、さまざまな商品と交換できます。

対象となるのは、耐震住宅や断熱など環境に配慮したエコ住宅、バリアフリーなど健康長寿・高齢者対応住宅などです。新築で最大35万ポイント、リフォームで最大30万ポイントがもらえます。

ただし、スケジュールはけっこうタイトです。

注文住宅やリフォームの場合は、2019年4月~2020年3月末までに請負契約・着工をして、2019年10月1日以降に引渡しを受けるもの

分譲住宅では、2018年12月21日~2020年3月末までに請負契約・着工、かつ売買契約を行い、2019年10月1日以降に引渡しを受けるもの

・2018年12月20日までに完成済みの新築住宅で、2019年12月20日までに売買契約を行い、2019年10月1日以降に引渡しを受けるもの

しかも、予算があって終わり次第終了、という点にも注意を払う必要があります。

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永続家計アドバイザー/FP/大学非常勤講師

<生涯永続できる家計の実現を!> マネー誌・女性誌等のライター・コラムニストを経て、独立系FPへ。講演・研修、コラム執筆や監修、個人相談などを業務としている。ライフワークとして、子どもから高齢者まで幅広く金融経済教育に携わっている。亜細亜大学ほかで非常勤講師、子どもマネー総合研究会理事を務める。趣味は講談、投資、猫に添い寝。

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