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「注意したのに夫が娘のハンバーグまで全て食べた!」に反響 問題になっている「食い尽くし系」とは?

東龍グルメジャーナリスト
(写真:イメージマート)

食い尽くし系がSNSで話題に

食い尽くし系(食べ尽くし系)という言葉を聞いたことがありますか。

大皿に盛られている料理を全て一人で平らげたり、冷蔵庫にあるものを勝手に全部食べたり、保管されているものにさえ手を出したりと、家族など他の人のことを考えず、あるものを食べ尽くしてしまう人を指します。

2019年頃と以前からSNSで話題に上っており、私も数ヶ月前に記事を書いたばかりでした。

最近になって、またSNSで食い尽くし系が話題となっています。

「深夜なので怖い話を。 旦那2、私2、娘1の配分で食べようと晩御飯にハンバーグを5個焼いたんです。 そしたら娘がお茶をこぼしたから、片付けて着替えさせて戻ってきたら、旦那が5個ともハンバーグ食べてたんです。 娘の小さいハンバーグまで貪ってる姿を見たらゾッとしました。」/Twitter

件の夫はまさに、他人の分まで勝手に食べてしまう、食い尽くし系です。しかも、この次のリプライで、夫は他のハンバーグを食べないように注意されていたと補足されています。

記事執筆時点で、3500万のインプレッションがあり、1.5万のリツイート、5000のリプライ、11.3万のいいね、と反響を呼びました。

当記事では、食い尽くし系について考察していきましょう。

食い尽くし系について

食い尽くし系の例は豊富に見かけられます。

今回の「他の人の分を全て食べる」「事前に注意しても食べる」にはじまって、「つくりおきを食べる」「冷蔵庫にあるものを勝手に食べる」「店舗で試食品を食べ尽くす」「被災地で配布されたものですら、家族の分まで食べる」と、なかなかショッキングです。

食い尽くし系の人は、おいしかったから食べてしまっただけと、悪びれることもありません。怒っても何も響かないので、怒ることに疲れてしまい、もう諦めてしまうケースもあります。

いつでも食べられるものを、食事とは別に用意しておくという対策も散見されますが、結局は全てを勝手に食べられるだけなので、意味がないようです。

食い尽くし系は、摂食障害や発達障害、もしくは、何かしらの依存症であるようにも感じられますが、医学的な観点からはまだそのように認められていないようです。

男女の差

食い尽くし系の報告をみていると、ほとんどは男性ですが、なぜでしょうか。

食い尽くし系に男性が多いのは、料理をつくるのは夫よりも妻の方が多いからだと指摘されています。もしも食べ尽くしてしまうと、妻は自分でつくるしかなく、自分が大変になるだけなので、食べ尽くさないということもあるでしょう。

一般的に女性の方が男性よりも体型に敏感であることも、関係あるかもしれません。全てを食べ尽くしてしまうと、それだけカロリーを摂取して太ってしまうので、女性の方が食い尽くし系になりにくいということです。

食い尽くし系の原因

では、どうして食い尽くし系になってしまうのでしょうか。

小さい頃の家庭環境に依拠することが多いといわれています。

大皿料理で好きなだけ取っていたり、兄弟がいて奪い合いだったり、親が子どもに食べ物を譲っていたりすることがよく挙げられます。他にも、家族が揃ってから食事を開始するのではなく、勝手に食べ始めてよかったり、運ばれて来た料理からどんどん手を付けてよかったりすることも、一因であるとされています。

食べ物に対する強い執着が生まれたり、全ての食べ物は自分が食べてよいと思ったり、他の人たちが食べることを全く想像できなかったりするのです。

子ども時代ならまだしも、独り立ちしてからも自分で料理をつくったことがないと、食い尽くし系になりかねません。つくり手の苦労や気持ちを理解できなかったり、日々の食事スケジュールを考えられなかったりするからです。

いくつかの対策

では、食い尽くし系の人に対して、どのように対応すればよいでしょうか。

つくり置きはせず、その時に食べるものだけを用意したり、料理がある場所に鍵をかけたり、食べる人の名前を記したりする手段も見かけられます。ただ、それでは家事の負担が増えてしまうのが、難しいところ。

最も重要なことは、まずはコミュニケーションです。食べ尽くしてしまうと、みんなが困ることを辛抱強く説明し、理解してもらう必要があります。そして、みんなが揃ってから食べるようにしたり、小皿に盛ったりすることを徹底しなければなりません。

食育の重要性

食育も大きな重要性をもつと考えています。

第4次食育推進基本計画/農林水産省

食育基本法をもとにして、2021年3月31日に公表されたのが、第4次食育推進基本計画。2021年度から2025年度までの5年間の計画であり、ここでは共食の重要性も述べられています。

共食の場においては、自分が食べられる分量を考えたり、相手のものを勝手に取らなかったり、同席者の気持ちを配慮したりすることが極めて重要。学校などの教育で、食い尽くし系を取り上げることによって、気付きが得られたり、家庭内で共有したりして、改善されるのではないでしょうか。

食事は人と人との潤滑油

誰かと共に食事することによって、コミュニケーションが促進されたり、人間関係が円滑になったりします。食事は人と人との潤滑油となるだけに、食い尽くし系によって人間関係が毀損されるのは非常に残念です。

食い尽くし系がもっと知られ、効果的な対策も行われ、食事の場がより建設的なものになることを願っています。

グルメジャーナリスト

1976年台湾生まれ。テレビ東京「TVチャンピオン」で2002年と2007年に優勝。ファインダイニングやホテルグルメを中心に、料理とスイーツ、お酒をこよなく愛する。炎上事件から美食やトレンド、食のあり方から飲食店の課題まで、独自の切り口で分かりやすい記事を執筆。審査員や講演、プロデュースやコンサルタントも多数。

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