ガストロノームは美食家

ガストロノミー(gastronomie)はフランス語で美食学を意味する言葉です。だいぶ一般的になっているので、知っている方は多いと思います。では、ガストロノーム(gastronome)はどういう意味でしょうか。ガストロノームとは美食家、食通、グルメな人という意味をもちます。

このガストロノームを店名に付けて、本物のフランス料理を提供し、“美食家”たちから大きな支持を受けているレストランがあります。

FURUYA augastronome(フルヤ オーガストロノム)

FURUYA augastronome(フルヤ オーガストロノム) (C) 東龍
FURUYA augastronome(フルヤ オーガストロノム) (C) 東龍

それは、2015年7月31日赤坂にオープンした「FURUYA augastronome(フルヤ オーガストロノム)」。7周年を迎えたばかりのフランス料理店です。

オーナーシェフは古屋賢介氏。フランス、スイス、ベルギーとミシュランガイドの星つきレストランで研鑽を積んできた本格派の料理人です。ジビエをはじめとした肉料理やソースに大きな定評があります。

2008年の2度目となる渡欧では、オーナーシェフであるミシェル・リボット氏の熱望により、ベルギーのミシュランガイド二つ星の名店「Hostellerie Au Gastronome(オステルリー オー ガストロノム)」料理長に就任しました。ここでの思い入れが深かったことから、リボット氏の許可を得て、「Au Gastronome」を一単語にした「augastronome」を店名に付けたのです。

7周年コースを提供中

「FURUYA augastronome」ではコース料理を楽しむことができます。

ランチは土祝のみの営業で「Menu Spécialité」(8,500円)と「Menu FURUYA」(11,000円)を提供。ディナーは「Menu Saison」(11,000円)、「Menu Dîner “Liaison”」(16,500円)、「Menu Prestige」(24,200円 もしくは 30,800円)と4コースも用意されています。

2022年8月2日から31日にかけては特別な「7周年記念コース」(16,500円)も登場。当記事では、古屋氏が特別に考案したこちらのコースを紹介しましょう。

グジェール(グリュイエール、パルミジャーノレッジャーノ) 黒胡椒のアクセント

グジェール (C) 東龍
グジェール (C) 東龍

最初はポピュラーなフィンガーフードのグジェール。サクっとしたシュー生地に包まれているのは、グリュイエールとパルミジャーノレッジャーノで、非常に香り高いです。黒胡椒の変化もあって、ほんのり刺激的。シャンパーニュが有する酸味とクリーミーな泡によく合います。

アミューズ数種

古屋氏が「コース料理の中で、新しいものを最も取り入れやすいのがアミューズです」と述べる通り、意欲的な2品が登場。ベルギーの料理をもとにしたトマトの一品と、牛の2番目の胃であるハチノスを揚げたものです。

アミューズ (C) 東龍
アミューズ (C) 東龍

トマトの中には、甲殻類のゼリー寄せに、テナガエビや豚足が詰められており、バジルの葉やインゲンがあしらわれています。色合いと味わいが豊かで、軽やかな後口。

アミューズ (C) 東龍
アミューズ (C) 東龍

ハチノスはオリジナルのマリネ液に漬けてから卵白のパン粉をまとわせて揚げられています。心地よい酸味とサクサクっとした食感で、思いのほか軽やかです。隣に添えられたフレッシュなサラダは箸休め。

冷たいとうもろこしのポタージュ

冷たいとうもろこしのポタージュ (C) 東龍
冷たいとうもろこしのポタージュ (C) 東龍

2種の異なるトウモロコシを用いたポタージュ。北海道のトウモロコシは冷製スープにして、茨城県のトウモロコシはソルベと焼きトウモロコシにしています。トウモロコシの甘味と滋味、テクスチャと存在感を最大限に引き出した一品です。

パン

トマト風味のパンとブリオッシュ (C) 東龍
トマト風味のパンとブリオッシュ (C) 東龍

トマト風味のパンとブリオッシュには、バターとイベリコ豚のラードが添えられています。どちらのパンもそのままでもおいしいですが、ブリオッシュは次のフォアグラに合わせるとよいでしょう。

アナゴの燻製、フォアグラとりんごのミルフィーユ仕立てフォアグラのアイスクリームを添えて

アナゴの燻製、フォアグラとりんごのミルフィーユ仕立てフォアグラのアイスクリームを添えて (C) 東龍
アナゴの燻製、フォアグラとりんごのミルフィーユ仕立てフォアグラのアイスクリームを添えて (C) 東龍

アナゴの燻製、フォアグラ、ふじリンゴをミルフィーユのように丁寧に美しく重ねた一皿。様々な食味と食感が合わさって、白眉の味わいです。表面のキャラメリゼは、香りが食欲をそそります。上には濃厚なフォアグラのアイスクリームが載せられ、周りにはビーツのパウダー、チェリーブラッサムの樽で寝かせたバルサミコ酢。

大分県杵築農場“蘭王”のサンドイッチ仕立て ~ベルギー産 オシェトラ・キャヴィア、香草マヨネーズ~

大分県杵築農場“蘭王”のサンドイッチ仕立て ~ベルギー産 オシェトラ・キャヴィア、香草マヨネーズ~ (C) 東龍
大分県杵築農場“蘭王”のサンドイッチ仕立て ~ベルギー産 オシェトラ・キャヴィア、香草マヨネーズ~ (C) 東龍

温菜はサンドイッチで、ちょっとした変化球。カリッとトーストしたパンに挟まれているのは、大分県杵築農場で生産された濃厚かつ濃密な「蘭王」の卵黄です。上にはナスタチウムとたっぷりのオシェトラキャビアがあしらわれ、塩味と青味のアクセント。ルッコラとナスタチウムのソースを好みで付けていただきます。

千葉県産天然鱸のポワレ カレークリームソース

千葉県産天然鱸のポワレ カレークリームソース (C) 東龍
千葉県産天然鱸のポワレ カレークリームソース (C) 東龍

千葉県の銚子でとれたスズキはふっくらとポワレしました。クミン、カルダモン、ナツメのフォームは、鼻孔をくすぐるカレー風味のエスニックな香り。底にはとろりとしたベイナスとオリーブのピューレがあってよいコントラストです。トップにアマランサスの葉を散らし、鮮やかな彩りを。

ブルターニュ産乳のみ仔牛のロティ

ブルターニュ産乳のみ仔牛のロティ (C) 東龍
ブルターニュ産乳のみ仔牛のロティ (C) 東龍

フランス・ブルターニュの仔牛骨付きロース肉をストウブの鍋でじっくりとローストしました。ストウブの鍋に入った状態で、テーブルまで運ばれて来て、仕上がりを見せてもらってから切り分けてもらえます。

ブルターニュ産乳のみ仔牛のロティ (C) 東龍
ブルターニュ産乳のみ仔牛のロティ (C) 東龍

仔牛肉は穏やかな火入れで、鮮やかなピンク色に焼き上げられていました。ジューシーで繊細な佳味と噛み応えがありながらもやわらかなテクスチャで、口福に満たされます。付け合わせは、カブリとリードヴォーを包み込んだ力強いカネロネと、食味に優れたジロール茸です。周りには、たっぷりのオーストラリア産黒トリュフ、マスタードソースとニンジンのピューレ。

パイナップルのコンポート セージのアイスクリーム添え

パイナップルのコンポート セージのアイスクリーム添え (C) 東龍
パイナップルのコンポート セージのアイスクリーム添え (C) 東龍

沖縄県石垣島のパイナップルをスパイスでコンポートし、甘いココナッツアイスクリームと鮮烈なセージを添えています。甘味と香味で口中をさっぱりと。

本日のデザート

本日のデザート (C) 東龍
本日のデザート (C) 東龍

チョコレートは、古屋氏の親しい友人であるガトーショコラで有名な氏家健治氏から紹介してもらったというイタリア・ドモーリ社の製品。このチョコレートを用いたソースとチュイールは、奥行きのあるコクと豊かな香味があります。なめらかなカリフラワーのムースを合わせて、軽やかに。自家製バニラアイスクリームの香り高さが出色です。

エスプレッソ(コーヒー) 又は 紅茶

小菓子

小菓子と紅茶 (C) 東龍
小菓子と紅茶 (C) 東龍

最後の小菓子もバリエーション豊かです。ライムのマシュマロ、イタリア・ドモーリのチョコレートブラウニー、大葉と山葵のマカロン、杏のパウンドケーキと、様々な食味と食感を体験できます。

ペアリングも充実

ワインペアリングも充実しています。3杯(6,820円)、4杯(8,800円)、5杯(9,900円)、6杯(12,100円)、7杯(15,400円)とフレキシブルに調整できるのは嬉しいところ。全てにミネラルウォーターが含まれているのも良心的です。

ソムリエの山中規之氏によって、古屋氏の料理に寄り添いながらも、他では体験できないようなマリアージュが提案されているので、一例を紹介しましょう。

ゴッセ グランド・レゼルヴ・ブリュット (C) 東龍
ゴッセ グランド・レゼルヴ・ブリュット (C) 東龍

最初のシャンパーニュは「ゴッセ グランド・レゼルヴ・ブリュット」。シャルドネらしい香りや酸とピノ・ノワール由来の豊かなストラクチャーも感じられます。瓶内熟成が3年以上なのでコクもあり、グジェールのチーズとの相性も抜群です。

W 純米 山田錦 無濾過生原酒 (C) 東龍
W 純米 山田錦 無濾過生原酒 (C) 東龍

「W 純米 山田錦 無濾過生原酒」は日本酒ですが、ワインのようなボトルとエチケットが印象的。トウモロコシの甘味と日本酒の甘味が調和し、よりまろやかな味わいになります。「シードル ツガル コントレール 2019」は山梨県韮崎市にあるドメーヌ・デ・テンゲイジのシードル。食中酒にシードルを合わせるという意欲的なペアリングです。フォアグラとリンゴのミルフィーユ仕立てには、やはりリンゴがぴったりということで、セレクトされました。

ピニャコラーダ (C) 東龍
ピニャコラーダ (C) 東龍

「シャトー・ダイディ マディラン 1998」はフランス南西部にあるマディラン地区の赤ワイン。バックビンテージの希少ワインで、繊細な仔牛肉の旨味を引き出しています。カクテルもマリアージュされており、ココナッツミルクを用いた「ピニャコラーダ」は1品目のデザートにマリアージュ。ココナッツアイスクリームとの相性が抜群です。

黒トリュフを使いたかった

古屋賢介氏 (C) FURUYA augastronome
古屋賢介氏 (C) FURUYA augastronome

「FURUYA augastronome」は7周年を迎えて、赤坂にこの店ありと知られるフレンチとなりました。

古屋氏は振り返ります。

「基本はクラシックなのでソースはしっかりめに作っています。もともとバターや生クリームはあまり使っていませんでしたが、当初に比べれば、ボリュームや味付けを調整して軽くなりましたね。手は抜きませんが、力は抜くようになって、常連のお客様からは、どんどんよくなっているといっていただいています」

今回の「7周年記念コース」について説明します。

「5周年の時も特別コースをご提供しましたが、コロナ禍だったのであまり盛大にできませんでした。それだけに、7周年はしっかりできたらと思っていたんですね。黒トリュフを使いたいと思っていたので、夏に最高潮を迎えるオーストラリアの黒トリュフをたっぷり使用しています」

次は10周年に向けて頑張りたい

古屋氏の料理は多くのゲストに支持されていますが、こだわりは何でしょうか。

「いかにできたての料理をご提供できるかにこだわっています。ベルギーの修業時代には、とにかくフレッシュな料理をご提供するようにと師匠のリボットさんにいわれましたね。できたての料理は味わいや香りが異なりますので、是非とも体験いただけたらと思います」

今後に向けて次のように述べます。

「コロナ禍の前年は非常にたくさんのお客様に来ていただきました。これからもっと頑張ろうという時に、コロナになって非常に残念でしたね。次は10周年に向けて頑張りたいです。基本は変えずに、よりスリム化して食べやすくしていき、より多くのお客様に来ていただけたら嬉しいですね」

※価格は全て税込・サービス料別

※食材の入荷状況により、内容が変更される場合がある