和王づくしのコース

鉄板焼は黒毛和牛のフィレやサーロインがメインとなった豪華なコース。ゲストの目の前で焼き手が和牛を鉄板の上で焼き上げてくれるという非常に贅沢な料理です。和牛だけではなく、魚介類や野菜も焼いてもらえ、その臨場感も大きな醍醐味です。

ただでさえ豪華な鉄板焼において、コースの全てに和牛が使われているという、非常に豪華なコースが存在します。

それは、グランドニッコー東京 台場「鉄板焼 銀杏」で2022年7月1日から8月31日にかけて提供されている「夏の『和王』づくしコース」（24,000円、サ込）。

2019年10月、料理長に就任したのが平塚章典氏。千代満氏がマネージャーを務めます。平塚氏は牛肉についてはもちろん、フランス料理にも精通している料理人です。その平塚氏が紡ぎ出す和王のコースは次の通り。

和王とは熊本県が力を入れている黒毛和牛で、生後月齢28カ月以上、かつ、BMS（脂肪交雑等級）が6以上の牛だけが名乗ることができます。

コースは冷前菜から温前菜、メインディッシュからガーリックライスまで、全てに和王が使われているという徹底ぶりです。では、それぞれのメニューを詳しく紹介していきましょう。

和王前菜2種盛り合わせ

和王煮凝り／和王ロースカブリのカルパッチョ

最初は和王を用いた2種類の前菜盛り合わせ。和王煮凝りはスジ肉が使われており、旨味がギュッと凝縮されています。夏に涼し気な食感です。和王ロースカブリのカルパッチョは、薄切りにしてしなやかなテクスチャ。適度に脂があって、赤身のおいしさがダイレクトに堪能できます。コーンのスプラウトやエディブルフラワーが配され、オリーブオイルのパウダーやニンニク醤油が添えられていました。

和王の赤ワイン煮込み サマートリュフ添え

フィレ沿いにある希少部位のヒモ肉を1日マリネしてから、3～4時間煮込みました。しっかりと煮込んでいるので、箸で簡単に切れ、素晴しい佳味に仕上がっています。ヨーロッパ産のサマートリュフを仕上げに削って華やかさを。トーストが添えられるので、ソースを付けて食べるとよいでしょう。

和王 ロースの焼きしゃぶ サラダとポン酢添え

和王のロースを焼き上げて脂を抜き、さっぱりとしたカボスのポン酢と合わせました。葉野菜もふんだんに合わせて、サラダ風にしていただきます。脂の多いロースですが、焼きしゃぶなので軽やかな味わいとなっており、薫香も心地よいです。

季節の焼き野菜

その日によって変わる旬菜もこだわりの品ばかりです。350年もの歴史がある青森県津軽伝統野菜の「大鰐温泉もやし」、無農薬で栽培された埼玉県のツルムラサキ、糖度の高い北海道のインカのめざめといったラインナップ。コンディメントは沖縄県の塩、大根おろし、完熟トマトのソースです。

A5ランク和王フィレ肉の鉄板焼き 120g

他のコースではサーロインでも100gですが、和王コースではフィレで120gと、惜しげもなく提供。おすすめのミディアムレアに仕上げてフランベされ、馥郁たる和牛香とジューシーな滋味が堪能できます。コンディメントは先程の3種類に加えて、ワサビ、ガーリックチップ、宮崎県の生胡椒の塩漬け、大分県の甘口醤油も。フィレは、最初はそのまま、その後はコンディメントを付けて食すと、よりおいしく食べられます。

和王牛すじの煮込みガーリックライス 赤だし 香の物

最後の食事は、卵を加えたマイルドなガーリックライスに、和王スジ肉の煮込みを載せた豪華な一品。旨味のある和王スジ肉と歯触りのよい姫竹を、醤油や味醂の和だしで2～3時間煮込み、味わい深く仕上げています。実山椒が心地よいアクセント。赤だしは味噌昆布入りで、香の物はヒョウタン漬けにザーサイ。

フルーツとシャーベット

東京ベイビューを望める席に転卓してデザートを楽しめます。パイナップルと黄桃、ミカンのソルベは、心地よい酸味。宮崎県のマンゴーに、茨城県のスイカ、静岡県のメロンを合わせて、国産フルーツの甘味を享受できます。

和王に合わせたワイン

和王のメニューに合わせたワインもオススメです。

「R＆L ルグラ ブラン ドゥ ブラン」（2,500円）は、シャルドネ100％の爽やかでさっぱりとしたシャンパーニュで、和牛の旨味にも寄り添います。「長野県安曇野メルロー無濾過 2021」（1,500円）はホテルオリジナルの日本産赤ワイン。メルロー100％なのでしっかりとしたボディがありながらも、無濾過なので複雑味があります。旨味がどっしりとした和王に、奥行きを与えてくれるワインです。

千代氏をはじめとした知識の豊富なスタッフがいるので、料理にぴったりなワインを相談すると最適な解が得られるでしょう。

和王コースが誕生した背景

和王が最初から最後まで使われた素晴しいコースでしたが、どのようにして考案されたのでしょうか。

平塚氏は次のように答えます。

「和王は赤身と脂のバランスがとても素晴しいです。『鉄板焼 銀杏』がオープンし、和王を使い始めた時から、いつか和王づくしのコースをご提供したいというアイデアがありました」

そして2021年の秋頃に、冬は魚介のみ、夏は和王のみと、魚や肉に特化したコースを開催しようと思ったということです。

特に苦労したことは何でしょうか。

「お客様に召し上がっていただきたいメニューがたくさんあったので、どれを入れようかと悩みましたね。特におすすめしたいのが、メインとなる肉質等級A5ランクの和王フィレ肉。赤身の味わいと脂の旨味が絶妙です」

自信をもつ和王コースについて、今後に含みをもたせます。

「事前予約制となっていますが、予約数が増えていますね。若い方が記念日に利用してくださったり、ご家族が注文してくださったりしています。こういったお客様の反応を窺いながら、今後も提供していけたら嬉しいですね」

※値段は全てサービス料込