ホテルのメインダイニング

ホテルのメインダイニングは20年以上も昔であればフランス料理が当然でしたが、今ではだいぶ変わってきました。

フランス料理ではなく、イタリア料理や日本料理、中国料理など様々です。さらには、あえてメインダイニングがどのレストランであるかを謳わないホテルも多くなりました。

そういった状況の中で、直営のレストランをひとつだけもち、リストランテ=高級イタリア料理店をメインダイニングとしているホテルがあります。

それは、2009年3月2日にオープンしたシャングリ・ラ ホテル 東京です。メインダイニングの「ピャチェーレ」はオープン時から最新かつ本格的なイタリア料理を味わえるということで、根強い人気を誇っています。

「ピャチェーレ」の料理長は初めての日本人

シャングリ・ラ 東京「ピャチェーレ」 (C) 東龍
シャングリ・ラ 東京「ピャチェーレ」 (C) 東龍

現在では、初めての日本人料理長となる古屋豊樹氏が、2019年5月から料理長を務めています。コロナ禍があったために、古屋氏が料理長に就任してから十分にその実力を発揮することができませんでした。

しかし、最近になってコロナも落ち着きをみせ、緊急事態宣言も解除されたので、古屋氏が自由に腕をふるえるようになりました。いくつかのコースが用意されていますが、特にオススメしたいのが、シグネチャーディッシュの数々を体験できる「Mezzo」(19,800円、税込・サ別)。

Mezzo 19,800円

・富山県産白海老のカルパッチョ ベルベーヌとレモンのジュレ/魚沼産コシヒカリ雪椿の“リ・オレ” 渋谷チーズスタンドのストラッチャテッラ 富山県千華園の花

・北海道産ポテトのニョッキ トリュフ パルミジャーノ

・かさごのフリット 雲丹 牛蒡 蕪のクリーム 唐辛子

・京都鹿のロースト 赤いビーツのマリネ ベリーのコンポート ジビエのソース

・愛媛県産中山栗のモンブラン

・コーヒー 又は 紅茶

古屋氏による渾身の料理を紹介していきましょう。

富山県産白海老のカルパッチョ ベルベーヌとレモンのジュレ/魚沼産コシヒカリ雪椿の“リ・オレ” 渋谷チーズスタンドのストラッチャテッラ 富山県千華園の花

富山県産白海老のカルパッチョ ベルベーヌとレモンのジュレ/魚沼産コシヒカリ雪椿の“リ・オレ” 渋谷チーズスタンドのストラッチャテッラ 富山県千華園の花 (C) 東龍
富山県産白海老のカルパッチョ ベルベーヌとレモンのジュレ/魚沼産コシヒカリ雪椿の“リ・オレ” 渋谷チーズスタンドのストラッチャテッラ 富山県千華園の花 (C) 東龍

甘味のある白海老のカルパッチョには、白海老の透明なディスクが載せられています。その下には香り高いバニラビーンズを加えたお米のリゾットがあり、隠し味にコクのあるストラッチャテッラ。ふんだんに添えられたエディブルフラワーも美しいです。

北海道産ポテトのニョッキ トリュフ パルミジャーノ

北海道産ポテトのニョッキ トリュフ パルミジャーノ (C) 東龍
北海道産ポテトのニョッキ トリュフ パルミジャーノ (C) 東龍

イタリア料理らしく、パスタ料理。雪の下で寝かせた糖度の高いキタアカリを用いたニョッキです。粉を少なくして水分は多めにしてあるので、やわらかくて優しいテイストとテクスチャ。黒トリュフを合わせており、香り高いです。

かさごのフリット 雲丹 牛蒡 蕪のクリーム 唐辛子

かさごのフリット 雲丹 牛蒡 蕪のクリーム 唐辛子 (C) 東龍
かさごのフリット 雲丹 牛蒡 蕪のクリーム 唐辛子 (C) 東龍

カサゴをタピオカ粉とパプリカでコーティングしてフリットにしました。アロゼして二度揚げしているのでパリパリになっています。周りにはささがきしたゴボウのフリットを合わせ、上には口溶けのよいウニと、彩りを添えるアマランサスの葉。

京都鹿のロースト 赤いビーツのマリネ ベリーのコンポート ジビエのソース

京都鹿のロースト 赤いビーツのマリネ ベリーのコンポート ジビエのソース (C) 東龍
京都鹿のロースト 赤いビーツのマリネ ベリーのコンポート ジビエのソース (C) 東龍

ジビエで著名な京都の「鹿肉のかきうち」によるホンシュウジカのロース肉をローストしました。この鹿肉は、古屋氏が七谷鴨の生産者を通して紹介され、2021年9月から提供を始めたこだわりの食材。しっかりと血抜きされているので臭みがなく、上品な野性味だけが残っています。甘味のあるビーツのソースが、鹿肉の風味をよりマイルドに。

愛媛県産中山栗のモンブラン

愛媛県産中山栗のモンブラン (C) 東龍
愛媛県産中山栗のモンブラン (C) 東龍

メレンゲの球体の中には、食味のよい中山栗を用いたモンブランが包まれています。マロンのソースとカシスのソースが添えられており、好みで付けて食べると、より味わいに変化が生じるのでよいでしょう。

季節感を表現

今回のコースの特徴について、古屋氏は説明します。

「季節感を表現するように心がけている。今回は秋の彩りを意識して、使う食材は全体的に赤や茶色が多い。ジビエとトリュフはシーズンなので多く用いた」

特にこだわったメニューは前菜の白海老のカルパッチョ。今年の春先から提供を始めて、ずっとオンメニューにしているほどの自信作です。いくつもの生産者とのつながりを表現している一皿であるといいます。

「コロナが落ち着いたら、全国各地の生産者を訪れたり、海外にも行ったりしたい。ボランティア、教育、支援など、地域活動などにも参加できれば」

唯一無二の料理を完成させたい

「ピャチェーレ」内観 (C) 東龍
「ピャチェーレ」内観 (C) 東龍

古屋氏は最後に力を込めていいます。

「ここだけでしか味わえない体験をしていただけるように、食材の探求、料理、サービスを追求していきたい。特別に配合してもらった国産キャビアやチーズ、小規模生産者が育てている希少な和牛や家禽類、狩猟したジビエなど、様々な食材を組み合わせていき、唯一無二の料理を完成させたいと思う」

店名の「ピャチェーレ」はイタリア語で「喜び」を意味します。古屋氏が生み出す他では食べられない料理であればきっと、ゲストは喜びに満たされるのではないでしょうか。