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コロナ禍の年末年始に楽しめる4つのすごいテイクアウトの秘密

東龍グルメジャーナリスト
テイクアウト/ホテル、店舗提供

テイクアウトが「今年の一皿」にも

今年も残り2週間を切りました。

新型コロナウイルスの感染拡大によって、飲食店は思うように店内飲食の営業ができず、テイクアウトやデリバリーに頼らざるをえないことは、これまでも紹介してきました。

ぐるなび総研が毎年発表しており、私も引き続きメディア審査員を務めさせていただいている「今年の一皿」でも「テイクアウトグルメ」が選ばれるなど、テイクアウトは引き続き注目されています。

コロナの影響によって、これまでと異なった新しいテイクアウトやデリバリーがたくさん始められましたが、年末年始にも色々な商品が販売されています。

これはすごいという年末年始のテイクアウトとその裏側を詳しく紹介していきましょう。

ラトリエ ドゥ ジョエル・ロブション

「ラトリエ ドゥ ジョエル・ロブション」のテイクアウト卓上イメージ/店舗提供
「ラトリエ ドゥ ジョエル・ロブション」のテイクアウト卓上イメージ/店舗提供

フランス料理界の巨匠としてジョエル・ロブション氏(故人)を挙げて異論がある方はいないでしょう。日本で展開している美食レストランの中でも、六本木にあるミシュランガイド二つ星「ラトリエ ドゥ ジョエル・ロブション」ではテイクアウトが行われています。

エグゼクティブシェフを務めるのは関谷健一朗氏。「第52回ル・テタンジェ 国際料理賞コンクール インターナショナル(パリ)」で日本人として34年ぶりに優勝を果たした実力派です。

テイクアウトできるものは次の通り。

前菜からデザートまでを楽しめ、スペシャリテの「オマ-ル海老のジュレなめらかなカリフラワーのクレ-ムで」を含んだ「ラデギュスタシオングルマン」(3,900円、税抜)、メインディッシュの「フランス産若鶏のローストと茸のフリカッセを香り高い黒トリュフと共に(パン付き)」(2人用、9,800円、税抜)、ワインにもぴったりな「フランス・ソローニュ産キャビアを様々なコンディモンと共に(50g 3種のコンディモンとクラッカー付)」(18,000円、税抜)と、2日前までに予約すれば自宅で本格フレンチを楽しめるのです。

既に恵比寿の「ジョエル・ロブション」では「グルメボックス」というテイクアウトが販売されており、好評を博していました。コロナ禍で望まれていると実感したので「ラトリエ ドゥ ジョエル・ロブション」でも今年からテイクアウトが販売されることになったのです。

関谷氏から絶大なる信頼を得るシェフの志田竜児氏は「こだわったのは、小さい容器の中でもレストランと変わらぬクオリティでロブションの世界観を表現すること。容器が透明なので、360度全てから美しく見えるよう盛り付けるのに苦労した」と振り返ります。

リーズナブルながらもロブションらしいおいしさと美しさがあることから、予想をはるかに上回る予約が入っているということです。

ウィズコロナやアフターコロナの時代には、星付きレストランでもテイクアウトが当たり前となるのではないでしょうか。

レストランひらまつ レゼルヴ

「レストランひらまつ レゼルヴ」の「パーティーセット」/店舗提供
「レストランひらまつ レゼルヴ」の「パーティーセット」/店舗提供

日本におけるフランス料理の歴史を語る上で欠かせないのが、1982年に「ひらまつ亭」をオープンした「ひらまつ」グループ。西麻布に佇む白亜の一軒家レストラン「レストランひらまつ レゼルヴ」でも、年末年始にぴったりなテイクアウト&デリバリーが行われています。

パーティーセット(8,000円、税込)は、オードブル4種、メインディッシュ2種、デザート4種、さらにはミニャルディーズ(食後の小菓子)とフレンチのフルコース仕立てです。

メニューは季節ごとに新しくなり、現在であれば、風味がよい前菜の「小烏賊とプロヴァンサル風野菜の煮込み」や味わい深い「牛ロース肉のグリル」、栗が香ばしいデザートの「シャンテーニュ産栗のモンブラン」など食べ応え満点のものばかり。

単品で他の料理を追加でき、レストランでも小さい子供を連れて訪れることが可能な「ひらまつ」らしく、テイクアウトにも子供用メニューがあります。

「ひらまつ」では過去にも料理のデリバリーが行われていましたが、対象は都内のごく一部だけでした。それが今回は「Hiramatsu To Go」と名付けられ、東京・福岡・札幌の8店舗でテイクアウトやタクシーによるデリバリーが行われることになったのです。

広報の小坂知美氏は「ひらまつの味をご自宅でも楽しんでいただきたい。レストランクオリティの味をご家庭での集まりにご利用いただけるように、前菜、メイン、デザートのコースに仕立てた」と説明します。

「新しい生活様式」に合わせ、2020年に入ってすぐにメニューを開発してパッケージを準備し、3月末に開始。5月末には期間限定の酒販免許も取得し、料理と一緒にワインも販売できるようになりました。

食べやすい量で、色とりどりのデザートの種類が多いのも、女性に人気の秘密。

今後はホームパーティやオフィスでの集まりにちょうどよいカップ入りオードブルの盛り合わせやワンランク上の商品も加えていく予定なので、「ひらまつ」のテイクアウトからは目が離せません。

パーク ハイアット 東京

パーク ハイアット 東京の「デリカテッセン アット ホーム ~ セレブレーションスタイル」/ホテル提供
パーク ハイアット 東京の「デリカテッセン アット ホーム ~ セレブレーションスタイル」/ホテル提供

パーク ハイアット 東京は1994年のオープン以来、西新宿の地で存在感を示してきたラグジュアリーホテル。

プロポーズが必ず成功するといわれ、インターナショナルキュイジーヌの先駆けとなった「ニューヨーク グリル」、伝統的ながらもダイナミックな日本料理を味わえる「梢」、ヨーロピアンスタイルの「ジランドール」と個性的なレストランばかり。

いくつもの素晴らしいレストランを擁していますが、開業以降初めての試みとして、10日前までの要予約で年末年始のテイクアウト「デリカテッセン アット ホーム ~ セレブレーションスタイル」(3~4人用、30,000円、税別)を販売しています。

2020年春にホテルのフードショップ「デリカテッセン」の料理長に就任した桑澤剛氏が腕をふるい、洗練されたスタイルに仕上げた和洋の料理12種を3段の重箱に詰め合わせました。ジューシーでやわらかなローストビーフ、濃厚なフォアグラのコンフィ、旬の香味を堪能できるズワイガニの生春巻きなど、料理はバラエティ豊かです。

初の年末年始テイクアウトが販売された理由について、広報の浜辺敬子氏は次のように説明します。

「以前から年末年始にホテルメイドの味をご自宅でも味わいたいとリクエストを頂戴していた。今年は遠出を避け、ご家族との時間を大切にするという傾向から、より多くのお問い合わせをいただいており、このような声にお応えして桑澤料理長がテイクアウトメニューをつくり上げた」

何度も試作と試食を繰り返し、内容が確定したのは11月中旬くらいのこと 。

こだわっているのは、お祝いの場に合う上質な食材や、パーク ハイアット 東京ならではの本格的で多彩な味わいです。年末年始に相応しい和の要素も取り入れながらバランスを整え、華やぎが感じられるアイテムを揃えて完成させたといいます。

既に多くの予約が入っていますが、まだ予約受付中ということなので、是非とも試してみてはいかがでしょうか。

グランド ハイアット 東京

グランド ハイアット 東京の「村上隆“お花”アフタヌーンティー テイクアウトボックス」/ホテル提供
グランド ハイアット 東京の「村上隆“お花”アフタヌーンティー テイクアウトボックス」/ホテル提供

年末年始のテイクアウトといえば、おせちなどの料理を思い浮かべるかもしれませんが、アフタヌーンティーもテイクアウトできるのです。

世界の製菓大会で活躍するパティシエを輩出してきたグランド ハイアット 東京では、個数限定のテイクアウトアフタヌーンティー「村上隆“お花”アフタヌーンティー テイクアウトボックス」(2人用、18,000円、税別)が販売されています。

11種類のスイーツと4種類のセイボリーはどれも魅力的。花やカラフルなムース、グラスジュレ、マシュマロにプロフィットロールと、スイーツはどれも可愛らしいデザインです。

村上隆氏がこのためだけにデザインしたオリジナル風呂敷に包まれているのも注目。アート作品としての品質を保つため、受け取りから2時間以内に食べるように推奨されており、こだわりの強さが感じられます。

広報の小山真弓氏は「今年初めて販売された商品。外食を躊躇されるゲストにも優雅なアフタヌーンティーを楽しんでいただきたいと考えた」と話します。

考案されたきっかけは、森美術館で開催している「STARS展:現代美術のスターたち―日本から世界へ」でした。コラボレーション企画を考えるにあたり、参加していた村上氏の代表作であり、世界的にも有名な作品「お花」をモチーフにすることになったのです。

10月中旬から本格的に着手し、試作や確認作業を数回重ねていき、11月26日の予約開始に至りました。

「食べ物でアーティストの世界観を崩さずに表現することにこだわった。グランド ハイアット 東京のラグジュアリーさを忘れないよう、黒トリュフの香り漂うトルティーヤやフォアグラを合わせたお花をつけたフレンチトーストも加えている」

週末に予約が特に入っており、自宅での集まりや手土産に購入されているようです。ホテルでのアフタヌーンティーのテイクアウトは増えていますが、こういった個性的なものがより人気を博していくことになるでしょう。

年末年始のテイクアウトで活力を

昨年までであれば、年末年始に海外や国内へ旅行し、年を越す人が多かったかもしれません。実家や親戚の家に集まって過ごすという人も少なくなかったでしょう。

しかし今年は例年と異なり、あまり遠くへと移動できません。そのため、自宅で過ごす方がほとんどかと思います。

ただ、普段と同じように自宅で過ごすだけでは、メリハリがなく、日々が平坦なものとなるのではないでしょうか。そういった時に、非日常的な年末年始のテイクアウトを利用すれば、日常に色が与えられ、再び活力が得られるように思います。

来年へ向けて気分を新しくできるように、是非ともホテルや飲食店のすごいテイクアウトも利用していただきたいです。

グルメジャーナリスト

1976年台湾生まれ。テレビ東京「TVチャンピオン」で2002年と2007年に優勝。ファインダイニングやホテルグルメを中心に、料理とスイーツ、お酒をこよなく愛する。炎上事件から美食やトレンド、食のあり方から飲食店の課題まで、独自の切り口で分かりやすい記事を執筆。審査員や講演、プロデュースやコンサルタントも多数。

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