新時代における宴会マナー。客と飲食店それぞれに絶対やってもらいたい2つのこと

(写真:アフロ)

外食の機会が多い時期

12月に入り、宴会の時期になりました。会社で行う大規模な宴会だけではなく、気の置けない友人との楽しい会食や家族や親類とささやかな食事会など、複数人で外食を利用する機会は多いことでしょう。

宴会や会食の時におけるマナーはちょっと調べれば、山のようにでてきます。席次や案内方法、お酒の注ぎ方や注がれ方、新入社員の振る舞い方からお酒が飲めない場合の応対など、実に様々なものが掲載されているので、典型的なマナーを知りたければこれで十分です。

この記事では、今の時代だからこそ、客と飲食店にやってもらいたい、新しいマナーについて述べます。

客が気をつけるべきこと

この時代だからこそ、客が気をつけるべきことは次の通りです。

  • しっかりと食べる
  • 忘れずにキャンセルする

しっかりと食べる

<ホテルは食品ロスを削減できるのか? 農林水産省との初めての意見交換会を通して得られた3つの気付き>でも述べましたが、今日本では国や自治体が食品ロスの削減に力を入れており、飲食店や消費者の間でも意識が高まっています。

宴会や会食では、コミュニケーションをとることが一番の目的であるだけに、食べることが二の次となりがちです。そうすると、食べ残しが多くなって、食品ロスにつながってしまいます。

その場に居合わせた人々でコミュニケーションを交わすのはもちろん大切なことですが、そこで提供された食べ物が無残に廃棄されてしまうのは、あまり後味がよいものではないだけに、しっかりと食べるようにしましょう。

国や自治体が宴会での食品ロスを削減するべく、「最初の30分と最後の10分は食事に集中しましょう」という主旨の運動「3010運動(さんまるいちまるうんどう)」を促進しています。

食べきるための方法は他にもあるので、必ずしも「3010運動」に従う必要はありませんが、重要なことは、食事を通して開催された会であることを認識し、食べる時間をしっかり取ることです。

コミュニケーションをとることは大切なことですが、宴会や会食で一緒においしいものを食べたという記憶も人と人との非言語的なコミュニケーションであり、つながりであると私は考えています。

目の前に提供された食べ物に想いを馳せ、「これおいしいね」などを感想を言い合うだけで、食の体験はより深まって、共に食べた人々の間でより絆が深まっていくのではないでしょうか。

その結果、食べ残しによる食品ロスも削減できると私は考えています。

忘れずにキャンセルする

ウェブからのレストラン予約が充実して当たり前となっている現代では、予約をウェブから数クリックで簡単に行うことができますが、その便利さの反面として、料理や料理の作り手に対する意識が希薄になりがちです。

予約したという実感が乏しくなり、ノーショー(無断キャンセル)やドタキャンに対する罪の意識も薄れてしまいます。

特に複数予約していた場合には、周囲の調整を経てようやく実施店が決まったという安堵感や、これからの段取りで頭が一杯となり、候補となった飲食店の予約をキャンセルし忘れがちです。ウェブからの予約はもちろん、電話での予約も合わせて確認して、忘れずにキャンセルするようにしましょう。

ノーショーやドタキャンが起きても、他の客が入るから大丈夫なのではと考えるのはいけません。<「SNSによるSOS発信からの感動話」に潜む3つの問題>でも述べたように、こういった感動話はごく一部の場合だけであり、だからこそ、記事となって反響が起きているのです。ほとんどの場合には、飲食店が泣き寝入りすることになります。

また、ノーショーやドタキャンをしても自分には痛みがないのでよいと思う人もいるかも知れません。しかし、予想外の損害が与えられた結果、飲食店は次回からノーショーやドタキャンを考慮した値段を設定するようになります。長い目でみると、消費者に負のコストが課されてしまうので、得することなどありません。

使われるはずだった食材や提供されるはずだった料理は全て廃棄されることになり、食品ロスにもつながるので、必要なくなったら忘れずに予約をキャンセルしましょう。

飲食店が気を付けるべきこと

飲食店が今の時代に気を付けるべきことも挙げます。

  • 予約を確認する
  • 料理を説明する

予約を確認する

ノーショーやドタキャンの責任が客にあることは確かです。しかし、飲食店がノーショーやドタキャンに対して全く何もなす術を持っていないかと言うと、そうではありません。効果的な対策はあるので、できる限り対策しておくべきでしょう。

効果的な対策として挙げられるのは、予約確認です。どんなに最低でも前日には確認しておいた方がよいでしょう。当日になって開始時間を過ぎてからノーショーが判明することと、前日ドタキャンされることを比べたら、後者の方が取れる戦略が多く、効果も大きいからです。

ノーショーやドタキャンになったら困る予約であればあるほど、確認はこまめにしておくべきです。飲食店では調理スタッフもサービススタッフも常に忙しいことは承知していますが、ランチとディナーの合間やアイドルタイムを利用して、電話したり、メールしたりすることが重要だと思います。

最初に予約を受ける時に、詳細を尋ねたり、キャンセルポリシーについてはっきり述べたりし、ノーショーやドタキャンに対して釘を刺しておくことも効果的です。

また、もしかすると、何かの手違いで、客がキャンセルしたにも関わらず、スタッフが予約状況をアップデートしていない可能性もあります。その場合には事前確認がとても役に立つでしょう。

レストラン予約台帳のサービスでは、ウェブで予約をキャンセルできる機能もあります。その場合には、何かの手違いで予約がキャンセルされなかったということはないので、安心です。

年末の繁忙期であるからこそ、客を逃してはもったいないので、忙しいながらも予約確認を行うことが重要ではないでしょうか。

料理を説明する

料理を説明することは、食品ロスを削減するのに効果的です。客が食べ残すのは、単にお腹が一杯だから、好きなものではないから、というだけではありません。その料理の背景を知らないと感情も動かされず、食べ残し易くなるのです。

母親が作った料理がおいしい理由は、作っている人がどのような人なのか、料理がどのようにして作られているかを知っているからです。恋人が作ったものでも同じでしょう。食材や料理は単なるものであれば食べ残し易くなりますが、単なるものでなければ食べ残しづらくなります。

<ホテルは食品ロスを削減できるのか? 農林水産省との初めての意見交換会を通して得られた3つの気付き>で農林水産省 食料産業局バイオマス循環資源課 食品産業環境対策室 室長の河合亮子氏が述べているように、料理人から料理を説明されるだけで、その後の食の進み方が全く違ってきます。

料理人がキッチンからわざわざ客席まで赴いて説明するのは、繁忙期では特に難しいでしょう。もちろん、そうであればサービススタッフが料理を説明するのでも十分です。アルバイトが中心なので説明するのが難しいという場合には、メニューに説明を細かく記載しておくだけでも、客の食べ方は違ってきます。

ただ単においしいものを作ればよいという時代は終わり、料理の背景を説明したり、物語に深みをもたせるための工夫も必要となってきました。また、そもそもの話、相手に食べてもらうものについて、何も説明がないというのは失礼なことです。

食べ残されないようにするためには、より興味をもってもらう努力をしなければなりません。

これからのマナー

宴会や会食では、もちろん旧来のマナーも大切ですが、これからの時代には、国や外食産業が大きな問題としている食品ロス、ノーショーやドタキャンへの対策も重要であり、この記事で挙げたことが当然のマナーになればよいと考えています。