有名YouTuberのサイゼリヤ大量食べ残しはテレビと何が違うのか?

伊藤初美(ハツ)氏撮影

Tweetが発端

食のインフルエンサーである伊藤初美(ハツ)氏のTweet(元Tweetは削除されたので関連Tweetを紹介)に端を発して、大きな問題となっている事件があります。

以下のように早速記事がいくつも作成されていることから、反響の大きさが分かるでしょう。

事件の概要

伊藤氏による以下の最初のTweetが全てを物語っています。

サイゼで飲んでたらYoutuberがいて、広いソファ席を陣取って動画の撮影してた。

寝たり騒いだりしていて、まぁ迷惑で。店員さんも困惑。先に帰っていった彼らのテーブルを見たら、この有り様。ほとんど食べてない、この残骸。

消えてほしいです、切実に。

#チョコレートスニッカーズ #Youtuber

出典:伊藤初美氏のtwitterアカウント

その時の画像がこちらです。

サイゼリヤで行われていたYouTuberの撮影現場を目撃し、食べ残しが大量に発生していたので思うところがあったということです。

食べ残しについて

この事件の根底にある「食べ残し」については、<ホテルは食品ロスを削減できるのか? 農林水産省との初めての意見交換会を通して得られた3つの気付き>などで食品ロス削減を推進している私はもちろん、多くの方が「適切ではない」「不愉快である」と批判しています。

批判されているYouTuberは、サイゼリヤから撮影の許諾を得ており、他の客を映さないように注意していたということなので、飲食店における撮影の段取りは守られていたと考えてよいでしょう。

ただ、その現場に居合わせた客からすれば、いくら番組の企画や演出とは言え、食べ物に対するリスペクトが感じられなかった状況を目の当たりにしてショックを受けたことは事実です。従って、YouTuberが批判を浴びたことは止むを得ないでしょう。

では、YouTubeではなく、テレビにおいて、食に関する番組を製作する場合にはどうなのでしょうか。

テレビ東京「TVチャンピオン」の優勝を機に、これまでに100本以上のテレビ番組に出演してきた私の経験から、テレビと比べながら考察していきます。

食べ残しの分量

問題となった企画はサイゼリヤの全メニューを食べてみるというコンセプトですが、テレビでも同じようなコンセプトを有する番組はたくさんあります。

その場合に、出演者が本当に全てを食べているかと言えば、決してそんなことはありません。テレビでは「次の料理もあるので、無理はないようにしてください」「カメラが回っているだけで大丈夫です」と、出演者はとても気を遣ってもらえます。出演者が提供者や食にリスペクトを抱いている場合にはできるだけ頑張って食べようとしますが、ロケでは飲食店をハシゴすることになるので、肉体的にも全てを食べることは無理であると考えてよいでしょう。

ただ、味見という観点からもディレクタが食べたり、食事時間も取る余裕のないスタッフが食べたりするので、食べ残したもの全てがそのまま残飯になることは少ないです。

飲食店内ではなく、食べ歩きの撮影では、買ってそのまま持ち帰るので、出演者が食べ残したものは持ち帰ったりされます。

費用に関しては、未だに多くの利益を上げているテレビにおいては、極めて予算のない番組や、金銭を要求するステマすれすれの番組以外では、実費もしくはそれを超える金額が支払われるものです。そのため、宣伝される側である飲食店からすれば、今回のサイゼリヤも同じだと思いますが、よほどのことがない限りは、声を大にして文句を言うことはありません。

撮影の規模

YouTubeとテレビの番組とでは、製作規模も異なります。今回の撮影では、ほぼYouTuberのメンバーだけで撮影されていますが、テレビであれば、出演者に加えて、ディレクタ、カメラマン、音声がいます。どんなに最低でも出演者だけということはなく、最低でもディレクタはいるでしょう。反対に多い場合であれば、撮影現場の責任者であるプロデューサーや担当以外のディレクタ、進行補助、メイク、さらには出演者のマネージャーなどがいるので、非常に多くの人数が撮影現場にいることになります。

多くの人数がいれば、撮影現場と来訪客とを遮断することができるので、撮影において関係者以外に不快な思いをさせることは少ないです。YouTubeの撮影では、そこにいるスタッフも少なく、通常利用の延長といった雰囲気であるだけに、余計に食べ残しが不快感を煽っていると感じられます。

テレビではたくさんのスタッフがおり、食べ残したものを食べる人も多いので、食べ残しの分量もYouTubeほど多くはないでしょう。

時代の流れ

<「マツコの知らない世界」のケーキバイキングでやってはならない5つのこと>でも述べましたが、テレビでも昭和の時代やバブルの感性を引きずっている感があります。

これが面白いか面白くないかは、私は専門外なので詳しく言及しませんが、時代によって「受け入れられること」「受け入れられないこと」が変わってくるのは当然のことでしょう。

従って、「受け入れられること」「受け入れられないこと」ではなく、「面白い」「面白くない」という観点だけで語ると、フジテレビが保毛尾田保毛男氏を安易に再登場させたような問題に発展すると思います。

現在では世界をあげて、日本では農林水産省を中心として、食品ロスの問題に取り組んでおり、日本人の食べ残しに対する意識が高まっています。

食欲は生物の根本欲求のひとつであり、先進国の人間であれば飢餓で死ぬことはほとんどありませんが、先進国でなければそうではありません。

自分たちが食べているものは、どこでどうやって作られ、どのように提供されているのか、非常に注目されています。だからこそ、遺伝子組み換えの食材、食材の産地、どの会社が製造しているのか、誰が調理しているのか、もしくは、どの会社が販売しているのかをとても気にしているのです。

日本語には「もったいない」という言葉があり、日本人は食に対しても「有用なのにそのままにしておいたり、むだにしてしまったりするのが惜しい」という感覚を持っているはずです。

テレビでもYouTubeでも、食材、食材の生産者、料理の作り手、食品の運び手、食品の売り手に感謝の念を抱くべきであり、食に関しても「受け入れられる」「受け入れられない」という観点で番組を製作しなければならないでしょう。

意味もなく無理にたくさん食べる企画や、バケツを用意してまで行われる大食い競技が、時代に即しているとは到底思えません。

食に関心を寄せるコンテンツ

事件が起きて話題となった2017年11月23日(木)は、奇しくも11月の第4木曜日にあたり、アメリカの「サンクスギビングデー」=「収穫感謝祭」にあたりますが、この日は1621年を起源とし、神に収穫を感謝する日です。

今もなお圧倒的な影響力を誇るテレビはもちろん、特に若年層が積極的に視聴するYouTubeでは、食べ物を粗末にしたり、食べ散らかしたりして、歓心を買うのではなく、メディアの力を最大限に用いて、日本人が食に対して関心を寄せるような、食育となるコンテンツを製作してもらいたいと、切に願います。

続編<有名YouTuberのサイゼリヤ大量食べ残し続編。本質的な3つの問題点>もご覧ください。