5つの分類から考える、プレミアムフライデーはどうあるべきか?

(写真:Rodrigo Reyes Marin/アフロ)

初めてのプレミアムフライデー

2017年2月24日の金曜日、つまり今日、初めてのプレミアムフライデーを迎えようとしています。

プレミアムフライデーは、月末の金曜日に15時で退社することを促すことによって、人々の消費機会を創出しようとする試みです。

経済産業省と経団連や小売りなどの業界団体は個人消費を喚起するため、毎月末の金曜日を「プレミアムフライデー」とする取り組みを来年2月24日から始める。企業が従業員に対して午後3時には仕事を終えるよう呼びかけ、長時間労働の是正など働き方改革にもつなげる考えだ。

出典:日本経済新聞

経済産業省はプラミアムフライデーの認知と普及に力を入れており、株式会社博報堂に委託して「プレミアムフライデー事務局」とその公式サイトを立ち上げています。

さらにはロゴまで制作し、申請すれば使用できるようにするなど力を入れているのです。

ポジティブな印象

プレミアムフライデーは国が主導して動いていますが、消費者の反応はどうでしょうか。

OZmallの女性に対するアンケートからは、プレミアムフライデーに対する認知度は高く、ポジティブな印象を持っていることが窺えます。

  • 認知率は74%。普及への関心は高いよう
  • 職場での取り組み実施は半数以上が“未定”
  • 早めの退社は嬉しいけれど、しわ寄せが不安
  • 働く東京女性の消費見込みは81%!?
  • ほぼ半数が“ひとり時間”に充てたい
出典:OZmall

マイナビニュースのアンケートからも、プレミアムフライデーをポジティブに捉えている消費者が多いという結果になっています。

アンケートの結果、プレミアムフライデーを歓迎する人がおよそ6割と、歓迎しない派を上回る結果となった。

歓迎する派からは、「とにかく早く帰りたい」と働きすぎの緩和に期待する意見が目立つ。具体的には、プライベートの充実や気持ちのリフレッシュに充てたいというコメントが見られた。サービス業などに従事する人から消費拡大を期待する声も。

出典:マイナビニュース

ホテル、レストラン、百貨店の施策

プレミアムフライデーをポジティブに考えている消費者に対して、商品やサービスを提供する側は何を用意しているのでしょうか。

ホテルやレストラン、百貨店では以下の施策を発表しています。

  • 東京ステーションホテル

2月24日から3日間、直営5店のプラン全てにシャンパーニュが付く

シャンパーニュのフリーフローやコースと飲み放題がセットのディナー、 国産と海外産の長期熟成ウィスキーの飲み比べを提供

  • ザ・プリンス さくらタワー東京

女性向けに、 庭園を望むレストランでフォトジェニックなストロベリーアフタヌーンティーと、 ブロアバス付きの客室プラン

  • グランドプリンスホテル新高輪

男性におひとりさま向け宿泊プラン

  • 第一ホテル東京

「ラウンジ21」に16時来店で通常2時間のパーティプランが最大4時間まで利用可能

鉄板焼「一徹」に16時来店で、隣の「ラウンジ21」でスパークリングワインを飲んでから17時に鉄板焼

  • 第一ホテル東京シーフォート

「グランカフェ」に17時30分入店で19時までの利用に限り幼児無料、小学生・大人・シニアは料金をディスカウント

  • リーガロイヤルホテル東京

「中国料理 皇家龍鳳」で「金」曜日に掛け合わせ、食べ放題の自家製窯焼き北京(金)ダック、ふかひれの煮込み、6種類から選べるデザートが付いたディナーを提供

2日前までに予約すると「ガーデンラウンジ」で 赤ワイン、白ワイン、シャンパーニュもフリーフローとなる「 プレミアムハイティー 」を2時間繰り上げて15時から実施

  • ANAインターコンチネンタルホテル東京

「シャンパン・バー」でハッピーアワー価格でボトルのシャンパンを楽しめる「Share The Sparkles」を15時から開始

「MIXXバー&ラウンジ」でビールとワインのフリーフローを16時からスタートし、通常2時間が3時間利用可能

  • ホテルオークラ東京

テイクアウトコーナー「シェフズガーデン カメリア」で15時から18時に初めてのタイムセール

  • 帝国ホテル 東京

「インペリアルラウンジ アクア」では軽食とスパークリングワイン1杯、フリードリンク(ビール・白ワイン、赤ワイン・ソフトドリンク)のプランを提供

「ランデブーラウンジ・バー」

アフタヌーンティーにカクテル、生ビール、好きなソフトドリンクが1杯付いた「カクテル付アフタヌーンティー」を提供

ホテルショップ「ガルガンチュワ」ではテイクアウト用にプレミアムフライデー限定のセットやパンを販売

  • ホテルニューオータニ

「ガーデンラウンジ」では通常18時30分からのジャズ公演を16時から開始

「トレーダーヴィックス 東京」では通常よりも2時間早くハッピーアワーを開始

  • ストリングスホテル東京インターコンチネンタル

バー「バブルズバー」のハッピーアワーを15時から20時の5時間に延長

レストラン&バー「ザ・ダイニングルーム」のアフタヌーンティーセットにシャンパン1杯が付く

  • ホテルニューオータニ幕張

「ザ・ラウンジ」で人気のストロベリーデザートブッフェ「ホテルでいちご狩り」を、2月24日から毎週金曜日ディナーにも特別開催

「SATSUKI」の「ハッピーアワー」を15時から開始し、15時から18時の来店でソムリエがセレクトしたグラスワインやカクテルなどの飲み物(ボトルを除く)が半額

17時からビストロメニューを注文すると、スパークリングワインまたはグラスワインを1杯サービスし、 窓側のプレミアムシートを確約(1日6席限定で前日までの予約制)

  • The Place of Tokyo

来館すると「Terrace Dining TANGO」のディナーチケット2000円分プレゼント

  • ダイヤモンドダイニング

100店舗が15時オープン、6店舗が16時オープン

17時まで生ビール・ハイボール・カクテルが199円(税抜)、もしくは、17時までの入店で会計10%割引

  • カフェ&ブックス ビブリオテーク

パンケーキを制限時間内で何個もオーダーできる食べ放題プランを提供

  • 松坂屋上野店

社員証の提示で食品フロアやレストランで利用できるクーポンをプレゼント

  • ジョイナス・横浜高島屋・横浜モアーズ・横浜駅西口振興協議会

15時に仕事を終えた会社員を対象に、映画「フラガール」で知られる福島県いわき市の「スパリゾートハワイアンズ」の1泊2日ツアーを企画し、横浜駅から発車する往路バスでは軽食や飲み物も付く

  • ホテル大阪ベイタワー

スカイラウンジ「エアシップ」で テーブルオーダーバイキングの飲み放題にビールを追加

日本料理「磯風」でドリンク半額

鉄板焼「瑠璃」の「ゴールド」コースが通常15444円を12355円になる

  • 京都ホテルオークラ

17階 トップラウンジ「オリゾンテ」のディナーバイキングに1000円追加でシャンパーニュ「ローランペリエ」を飲み放題

  • スイスホテル南海大阪

「ザ・ラウンジ」に15時以降に来店して特定メニューを注文するとスパークリングワイン1杯が付く

  • 伊豆今井浜東急ホテル

特定日時に来場した人全員に、シンガポールのブランドティー「TWG Tea」の人気商品「アルフォンソティー」をテイクアウト専用カップで無料配布

ざっと挙げただけでも、以上のようにたくさんあり、どこも消費喚起のために様々な施策を考えていることが分かります。

施策を大別

施策は大きく分けて5つに分類できます。

  • 時間を早める
  • 利用時間を延長する
  • アルコールを絡める
  • 割り引きする
  • 何かを贈る

5つの分類について見ていきましょう。

時間を早める

まず最も多いのが、会社員の退社時間が早くなったことに合わせて、普段よりもオープン時間やプランや商品の提供開始時間を早めるという施策です。

早く退社して時間に余裕のある会社員が利用したり、家族で訪れたりすることを期待しています。

これまで15時という早い時間にあまり帰ることがなかった会社員にとっては、やることが思い浮かばないので、よい提案になるかも知れません。

利用時間を延長する

フリーフローなど利用時間が決まっているものに対して、時間を拡大するという施策です。

これは店のオープン時間やプランの開始時間が早まったことと関係しています。プレミアムフライデーでは、普段は提供していない早い時間から、プランを提供できるので、利用時間を少し長くしても客が回転すればあまり損をしません。

翌日は土曜日で解放感があるだけに、消費者にはとっては長い時間利用できるのは嬉しいのではないでしょうか。

アルコールを絡める

プレミアムフライデーに、特別プランが提供されることも多いですが、その多くはアルコールに関係しています。

アルコールを含めたドリンクがフリーフローになったり、1杯付いたり、半額などに割り引きされたりしているのです。

休日前の就業日である金曜日の夜ということで、解放感があるアルコールを含めたプランが多いのでしょう。

もしもプレミアムフライデーではなく、プレミアムマンデーであれば、アルコールを絡めるのではなく、この一週間を乗り切るためのヘルシーフードやパワードリンクのプランが多くなったかも知れません。

割り引きする

何かのコースやプランが通常よりも割り引きになるという施策です。

プレミアムフライデーで外食する機会も増えるだろうということで、値段を下げて利用し易くしています。

家族での利用を促進するために、子供の料金を割り引きしたり、無料にしたりすることもあります。

割り引きは消費者の財布には優しいかも知れませんが、プレミアムフライデーならではの施策と言うほどのものではないでしょう。

何かを贈る

アルコールが付く以外に、クーポンが還元されたり、何かの商品がもらえたりする施策です。

クーポンは割り引きと同じ施策で、消費者にとってお得であることは確かですが、プレミアムフライデーならではのものではないでしょう。

商品がもらえる施策もプレミアムフライデーの特性とは関係ないことに加えて、他社の商品を贈る場合には、自社の魅力を伝えることにもつながらないので、よい施策には感じられません。

プレミアムフライデーならではのもの

プレミアムフライデーの施策を見てきましたが、15時退社ということから時間を早めたり利用時間を延長したりする施策、もしくは、金曜日の就業後ということからアルコールを絡めた施策が多いです。

こういったものは確かに、金曜日15時退社だからこそ意味を持つものなので、訴求力があります。

反対に、割り引きしたり何かを贈ったりする施策は、お得ではありますが、プレミアムフライデーではなくても全く可能なことです。そのため、施策が生み出された背景にもあまりメッセージ性もなく、魅力的に映らないかも知れません。

注目の施策

注目したい施策もあります。

第一ホテル東京の鉄板焼「一徹」ではオープン前の16時に来店することで、隣の「ラウンジ21」でスパークリングワインを飲んでから鉄板焼を食べることができます。

時間が早まったこと、アルコールが付くこと、さらには、アルコールを飲むのに相応しいラウンジで飲めることが融合されたもので、まさにプレミアムフライデーを満喫するための施策であると言えるでしょう。

ジョイナス・横浜高島屋・横浜モアーズ・横浜駅西口振興協議会と、横浜駅周辺の施設や団体が知恵を絞ったプランがユニークです。横浜駅から「スパリゾートハワイアンズ」へバスで直行できるというもので、軽食や飲み物も付きます。

もともと、週末に旅行へ行く場合、時間を最大限有効に利用するために、金曜日の夜に発つことが多いものです。従って、プレミアムフライデーで15時に退社するのであれば、退社した後ですぐに出発するのは自然な考え方でしょう。

バス送迎は普段から行われていますが、このプランにだけ軽食やドリンクが付くので、お得感もあります。

意味のあるプレミアムフライデーとなるために

プレミアムフライデーについては、冷静な調査結果も発表されています。

  • プレミアムフライデーによる消費押し上げ効果は0.2~0.3兆円
  • プレミアムフライデーによる個人消費の押し上げ効果は、現段階では期待薄
  • サービス消費、特に旅行への支出増加には期待
出典:みずほ総合研究所

プレミアムフライデーの大きな目的は経済を活性化することですが、それには消費者がよい体験をすること、そして、提供する側は自身の魅力を知ってもらうことが、最も重要ではないでしょうか。

提供する側が自身の魅力を知ってもらい、消費者がよい体験ができたならば、きっと次の消費活動にもつながるからです。

始まる前から賛否両論がありますが、せっかく新しい施策を行うのであれば、提供する側はプレミアムフライデーにしかできない施策で興味を引き、消費者はそれらを肯定的に捉えてプレミアムフライデーにしかできないことを満喫するのがよいと思います。