不要不急だからこそ求められる、コロナ時代のリモートエンタメの可能性【#コロナとどう暮らす】

有料で約5000人を動員した劇団ノーミーツ(出典:門外不出モラトリアム)

Yahoo!ニュースでは新型コロナウイルスを経験した社会が今後どのようにしていくべきなのか、皆さんが不安に感じていることをコメント欄に記載する記事を公開しています。その中から「コロナ禍以降、音楽や演劇などの文化活動はどうなるか」と不安に感じている人がいましたので、私なりの考えをご紹介しておきたいと思います。

新型コロナウイルスの感染拡大以降、様々な産業が甚大な被害を受けています。

その中で、「不要不急」という言葉によって、緊急事態宣言解除後も活動再開の目処がなかなか立たないものの一つが、音楽や演劇などのイベントや文化活動でしょう。

休業要請の緩和が進んでいるとはいえ、予断を許さない状況が続きそうです。

あわせて、音楽や演劇などの産業に携わる方々が長期間にわたって収入を得られなくなり、それによって産業そのものが衰退してしまうのではないかという懸念も高まる一方です。

私たちはコロナ禍が過ぎ去るまで、音楽や演劇などの文化活動を楽しむことは諦めなければならないのでしょうか?

音楽や演劇などの産業に携わる方々は、今は我慢して待つしかないのでしょうか?

もちろん、そんなことはありません。

実は、すでに一部のアーティストや劇団などが、様々な形でコロナ禍後の新しい生活様式を見据えた音楽や演劇の模索をはじめています。

私たち一人一人ができるコロナ禍における文化活動のたのしみ方、応援の仕方をご紹介したいと思います。

■アーティストや役者のSNSをフォローして応援してみよう

あらためて、自分が興味があるアーティストや役者の方々の名前でツイッターやインスタグラムを検索してフォローしてみましょう。

コロナで外出自粛になった影響もあり、多くのアーティストや役者の方々が、新たにSNSを開始したり、力を入れて更新をされたりしています。

例えば宇多田ヒカルさんは、インスタライブを5月限定で毎週日曜の夜に『自宅隔離中のヒカルパイセンに聞け!』とインスタグラムの生番組を配信して、大勢の人を楽しませていましたし、星野源さんがインスタグラムに公開した「うちで踊ろう」が今や日本だけでなく世界中のアーティストと様々なコラボを生み出しているのは皆さんもご存じでしょう。

外出自粛や三密回避で手持ち無沙汰になっているのはアーティストの方々も同じですが、それぞれに私たちを楽しませてくれるための模索をしてくれているのです。

こうした取り組みの大きなものは、ニュースサイトやテレビの報道番組経由でも知ることはできますが、小さなものは取り上げられませんし、インスタのストーリーズは24時間で消えてしまうなど、後からは参加できないものもたくさんあります。

また、SNSの多くは「いいね」やコメントなどを通じて、アーティストや役者の方々を応援することが可能です。

有名人も人の子、皆さん一人一人の応援のコメントは必ず力になるはず。

こんな時だからこそ、是非SNSを通じて暖かい応援の言葉を送ってみましょう。

■オンラインコンテンツをお金を払って楽しんでみよう

アーティストや役者の方々が今後も活動を継続していく上で、当然重要なのは収入を継続的に得ることができるかどうかです。

音楽のコンサートやライブ、演劇やミュージカルというものは、これまで劇場やコンサートホールというリアルの場所だからこそ楽しめるものであり、お金も払ってもらえるものだと考えられてきました。

しかし、新型コロナウイルスは、そうしたリアルのイベントをすべて中止に追い込んでしまいました。

もちろん、音楽や演劇にもDVDや動画配信などの選択肢はありますが、インターネット上ではほとんどのコンテンツは無料で公開されている場合が多く、大手の優良コンテンツはNetflixのような動画配信サービスや、Spotifyのような音楽配信サービス経由で利用されます。

そのため、なかなか中小や中堅のコンテンツは、インターネット上で収益に結びつけるのが難しいと言われてきました。

しかし、そうしたこれまでのインターネットの「常識」に一石を投じる動きが出てきています。

SHOWROOMのようなライブ配信サービスにおいては、ライブ配信視聴中に配信者に対してプレゼントを購入することで、配信者が収入を得る手段が提供されています。

また、YouTubeのライブ配信においても、登録者が1000人いるなどの条件はありますが、スーパーチャットという投げ銭機能を使うことができます。

3月には、4人組のゲーム実況&音楽ユニット、M.S.S Projectが無観客ライブをYouTubeで配信し、1億円超をスーパーチャットで集めたらしいと大きな話題になりました。

参考:新型コロナで公演中止のM.S.S Project、無観客ライブ配信にファンの“投げ銭”止まらず 

インターネット経由でもアーティストが収入を得られるのであれば、アーティストはコロナ禍においても活動を続けることができます。

是非、積極的にこうしたライブ中継で投げ銭に挑戦してみてください。

■未来のコンテンツを感じさせるリモートエンタメ

さらに、通常のコンサートをオンライン配信するという形ではなく、リモートワーク時代ならではの「リモートエンタメ」とでも呼ぶべき新しい創作活動の流れも生まれてきています。

例えば、冒頭でご紹介した星野源さんの動画からは、さまざまなコラボ動画が生まれましたが、なかでも印象的だったのは、オーケストラや吹奏楽部などの大勢の演奏者による演奏でしょう。

全国の様々なオーケストラや吹奏楽部が、星野源さんの音楽をリモートで演奏。

新しい音楽の作り方を体現していました。

また、Zoomを活用して演劇を行う「Zoom演劇」と呼ばれるリモートエンタメに取り組む劇団が、この2ヶ月ほどの間に複数登場。

劇団テレワークや、劇団ノーミーツに、オンラインノミなど、様々なアプローチでフルリモートでの演劇活動に挑戦しています。

特に印象的だったのは、5月に旗揚げ公演を有料のチケット販売で実施した劇団ノーミーツ。

通常のチケットが2500円という、ネット動画としては高額の部類にはいる値付けにもかかわらず、初公演から500人を動員。

リモートでの生の演劇にもかかわらず、録画で放送しているのではないかと疑ってしまうほどの凝った演出や、緊急事態宣言下の時流を捉えたストーリーが口コミで話題を呼び、翌日の千秋楽は3倍近い1400人に増加。

最終的に、再演もふくめて5回の公演で約5000人を動員することに成功していました。

無名の劇団が、2ヶ月で達成した実績としては快挙といえるでしょう。

オンライン上の演劇でも、しっかりしたコンテンツを作れば、ちゃんと有料のチケットを通じて収益をあげられることを証明してくれたのです。

さらに、フォートナイトというゲーム内では、著名なラッパーであるトラヴィススコットがコンサートを開催し、1230万人が視聴したという度肝を抜くような成功事例も生まれてきています。

現実世界では三密回避を考えると、コンサートやイベントにはしばらくリスクがある状態が続いてしまうのが明らかですが、実はデジタルの世界は「コロナフリー」です。

SNSやビデオ会議、VRにゲームなど、デジタル技術を組み合わせることで、緊急事態宣言下においても音楽や演劇などの創作活動を続けることはできることを、様々なアーティストや役者の方々が証明してくれているのです。

過去にも天災や疫病、戦争など、さまざまな困難に芸術家は直面し、乗り越え、今に続く文化の礎を作ってきてくれました。

歴史を振り返れば、今がデジタルを通じた創作活動の転換点かもしれません。

私たちが文化活動の火を消さないためにできること

もちろん、新型コロナウイルスによる三密や不要不急の活動の自粛がいつまで続くかは分かりません。

ただ、1つ明らかなのは、今は三密や不要不急と呼ばれて、自粛が要請されている音楽や演劇などの文化活動は、確実に私たちの生活を豊かにしてくれていた、ということです。

今後、ウイルスの感染を抑え込むことができ、ワクチンが開発されれば、元のように音楽や演劇を楽しむことができる日常が戻ってくるかもしれません。

しかし、その日常が戻ってくるのを、ただ待つだけでは、自粛期間中に音楽家や役者の方々が創作活動を続けていくことができなくなり、コロナウイルス後の世界の文化活動は大きく縮小してしまう可能性もあります。

そういう意味では、私たちはコロナウイルス以前のライブ鑑賞や演劇の観劇ができる日を、ただじっと待つのではなく、デジタルを通じた活動やリモートエンタメに挑戦するアーティストや役者の方々を、応援することが重要だと感じます。

ひょっとしたら、そうした努力によって生まれた新しいリモートエンタメが、能や歌舞伎のように新しく日本を代表するコンテンツに育つ可能性すらあるのです。

私たちが自粛要請下で生まれている新しい創作活動を適切に支援することができれば、創作活動の火は、新型コロナウイルスに消されることなく未来に向かって続いていくはず。

そんな風に想像しながら、オンラインコンテンツやリモートエンタメを楽しんでみてはいかがでしょうか。

※記事をお読みになって、コロナ後の生活についてさらに知りたいことや疑問に思っていること、自分なりの乗り越え方などのアイデアがありましたら、是非下のFacebookコメント欄にお寄せください(個別の回答はお約束できませんのでご了承ください)

また、Yahoo!ニュースでは「私たちはコロナとどう暮らす」をテーマに、皆さんの声をヒントに記事を作成した特集ページを公開しています。

【この記事は、Yahoo!ニュース個人編集部とオーサーが内容に関して共同で企画し、オーサーが執筆したものです】