差別撤廃の象徴だったルイス議員の死がトランプ大統領の再選にマイナスな理由

ルイス議員の地元ジョージア州を訪れたトランプ大統領(写真:ロイター/アフロ)

キング牧師の公民権運動に参加し、アメリカで人種差別の撤廃を求めた公民権運動を指導したジョン・ルイス下院議員が80歳で死去した。彼の死は、再選を目指すトランプ大統領にとってマイナスに働くと見て良い。

公民権運動の英雄の死と伝えたCNN(CNNデジタルから筆者が接写)
公民権運動の英雄の死と伝えたCNN(CNNデジタルから筆者が接写)

ルイス議員が死去したニュースは日本では短く報じられる程度だが、アメリカではあらためて人種差別撤廃の必要性を考える機会となっている。

ルイス議員は若いころキング牧師の公民権運動に感銘を受けて参加。白人と黒人の若者が同じバスに乗って全米を回って差別撤廃を訴えた「フリーランド運動」などに取り組む。その後、81年に政界入り、87年に下院議員。以後、差別撤廃や社会の公正などを訴えてきた気骨の政治家として知られる。

実は、ルイス議員の言動が再び注目を集めたのは2017年1月。大統領に就任するトランプ氏の差別的な言動などを問題視し、NBCテレビのインタビューで、「トランプ氏には大統領になる正当性が無い」と発言。併せて、大統領就任式への出席を見合わせることを表明した

これに対してトランプ氏がツイートで、「ルイス議員はしゃべるだけ。ひどい状態にある自分の州を何とかすべき」などとルイス議員と地元のジョージア州を揶揄したため、州最大の新聞が一面で「How dare you(なんて奴だ!)」と次期大統領を批判する異例の事態にもなっている。

ルイス議員の就任式辞退発言に多くの民主党議員が呼応。トランプ氏の政権移行チームはルイス議員や民主党議員に対して就任式への参加を呼び掛けたが、ルイス議員は「我々は立ちあがる必要のある時には立ち上がり、声を出さなければいけない」と語るなど、その姿勢を変えなかった。結局、ルイス議員を含め民主党議員約60人が就任式をボイコットしている

大統領選挙まで残り4か月を切って劣勢が伝えられるトランプ大統領だが、ルイス議員の死は、就任時の記憶を多くの人に呼び覚ますものとなっている。再選に向けて黒人票の取り込みに必死なトランプ大統領だが、ルイス議員の死がトランプ大統領にとってマイナスに働くことは間違いない。