緊急事態だと言って民間には自粛を求め、それで国会議員は約2200万円の報酬に領収書抜きの経費年1200万と年720万円の使い方自由の事務費。加えて政党全体で350億円の政党交付金。これら全部税金。今こんなにもらうのは申し訳ないと思う国会議員は日本の国にはいないのか!」

橋下氏のツイート

橋下徹氏は4月13日にこうツイートした。橋下氏は出演したテレビ番組でも同様の主張を繰り返しており、ツイッターも拡散を続けている。4月19日現在で16万超リツイート、49万超のいいねを獲得し、更に拡散を続ける勢いだ。橋下氏の言説には批判も有るが、国会議員713人(衆議院465人、参議院248人)という多さを考えると、無視できる話ではない。まずはその内容を確認したい。

国会議員の歳費は「国会議員の歳費、旅費及び手当等に関する法律」で決められており、月額129万4000円となっている。つまり年間だと約1553万円となる。これに上記法律で決められた期末手当が加わる。それは在任期間によるが、通常は約635万円になる。このため、歳費の合計は年間で2188万円。これは橋下氏の指摘する「約2200万円の報酬」と符合する

次に「領収書抜きの経費年1200万」を調べる。この経費は金額と「領収書抜き」という条件から、文書通信交通滞在費のことと考えられる。文書通信交通滞在費は「公の書類を発送し及び公の性質を有する通信をなす等のため」と規定されており、前述の「国会議員の歳費、旅費及び手当等の法律」で、議員1人につき月100万もらえると規定されている。つまり国会議員1人につき年間1200万円が支払われている。これも橋下氏の指摘通りだ

その次に「年720万円の使い方自由の事務費」を見てみよう。この事務費は立法事務費で、「国会における各会派に対する立法事務費の交付に関する法律」に基づいて支払われている。この立法事務費は国会議員の立法に関する調査研究の推進に資するための必要な経費として支払われることになっており、議員1人あたり65万円で、年間780万円になる。議員それぞれに渡されるのではなく、国会内の会派に支払われることになっているが、1人でも会派の届け出をすれば受け取れることから、実質的に議員1人に配られると計算しても間違いではない。これは実際には橋下氏の指摘より額が大きい。

これらは全て国費から賄われており、橋下氏が指摘しているように、「これら全部税金」であることも間違いない。

もう1つ橋下氏が指摘している「政党全体で350億円の政党交付金」を見てみよう。

これは政党助成制度によるもので、「国が政党に対し政党交付金による助成を行うことにより、政党の政治活動の健全な発達の促進及びその公明と公正の確保を図り、もって民主政治の健全な発展に寄与することを目的」としている。つまり税金で政党の活動を支えるというもので、総務省によると2020年は317億円余の支出額が4月に確定し、共産党を除く各党に今後、段階的に支払われることになる。

この金額は国民1人あたりに250円を掛けた金額となっており、乳幼児を含めた国民1人あたりコーヒー1杯分を負担するという計算だ。橋下氏指摘の「350億円」は実態より多いが、指摘の趣旨が異なるものというほどの違いではない。

国会議事堂(筆者撮影)
国会議事堂(筆者撮影)

ところで、自民党と立憲民主党が、国会議員の報酬を一律20%削減することで合意したという。その削減は月額で1人あたり20万円余となっている。それによって浮く国費は国会議員713人で17億円余でしかない。

ただ、仮に橋下氏が報酬2200万円を返上しろという趣旨であれば、私はそれは違うと思っている。例えば、国会議員は無報酬でやるべきという意見は昔からある。しかし、それでは資産家しか国会議員になれなくなってしまう。それは冷静さを欠いた議論かと思う。

そこで、この危機に際して、報酬以外の「手当」の返上を提案したい。先ず文書通信交通滞在費と立法事務費について、今年分は返上する。加えて共産党を除く各政党に配られる政党交付金も返上してもらう。それで合計で450億円余が捻出できる。報酬20%削減で浮く17億円余を加えれば、政府による布マスクの配布、いわゆるアベノマスクの費用を上回る額となる。それを厳しい環境の中で日々、自分の身を削って奮闘している医療機関への支援に使うべきだ。それは医療従事者を支援する貴重な財源となるだけでなく、国会が医療従事者を支えるという姿勢を示すものとなる。

国会議員報酬の削減は、こうした取り組みと一緒に行われなければ、単なるポーズだと批判されても仕方ない。人々の状況が更に厳しくなることが予想される中、批判は今後強まるだろう。今からでも遅くはない。国会は直ぐにでも総額450億円余の返納を決め、それを新型コロナの対策費に充てるべきだ

※インファクトはFIJの新型コロナウイルスに関する情報のファクトチェックの取り組みに参加しており、この記事の調査にはFIJリサーチャーの藤直哉が関わっている。