米副大統領訪日時に議論されていた日本の防衛負担増
米国のマイク・ペンス副大統領が日本を訪問した際に、日米安保体制における日本の役割や負担増について話し合いが行われていた模様だ。米主要メディアでコラムニストが明らかにした。
記事はペンス副大統領とともに日本を訪れたワシントンポスト紙のコラムニスト、ジョシュ・ロギン解説委員が執筆。この中で、東京でペンス副大統領を取材した際に、副大統領が、トランプ政権は安倍総理が日本として独自に行うことを更に支援すると語った上で、次の様に話したという。
「トランプ大統領は日本のようにその能力を持った同盟国には共通の防衛のために更に大きな役割を担ってもらいたいし、そのための負担を更に担ってもらいたい。その考えは日本の一般の人々の考えと合致するものだ」
そして、ペンス副大統領は、安倍総理との会談の中で日本側の防衛負担増について直接踏み込んだ話を行ったことを明らかにしたという。
ペンス副大統領は4月18日に日本で安倍総理と会談している。その際に、北朝鮮が脅威であることの認識で一致するとともに、強固な日米同盟が重要であるとの認識で一致したことなどが報じられている。しかし、ロギン解説委員の記事によると、実際には、日米防衛における日本側の負担増についてペンス副大統領から要請が有り、安倍総理もそれを肯定的に受け止めたことになっている。
(参考記事:トランプの米国とどう向き合うか? (27)~「トランプ船に乗った安倍総理」 米ジャーナリストから見た日米首脳会談)
記事によると、ペンス副大統領は麻生副総理との会談でも日米安保体制における日本側の負担増について議論をしていたということで、その際、麻生副総理は、日本は既にどの国よりも多くの負担をしていると応じたという。
記事は、安倍総理は北朝鮮や中国に対処できる攻撃力とミサイル防衛システムの整備を目指しており、その実現のための長期的な戦略を描いているとしている。その一方で、トランプ政権には長期的な外交戦略がないため、日米関係が今後どのような方向に進むのかは不透明だとしている。
ワシントンポスト紙の国際担当でアジアでの取材経験のあるデスクは、コラムについては一切関与していないし記事についてコメントすることはできないとしつつ、次の様に話した。
「トランプ政権の最大の問題は、外交のプロがその力を発揮できる状況にないことだ。北朝鮮政策が良い例で、国務省が『外交努力によって暴発を抑える』とした矢先に、副大統領が軍事力の行使を示唆する発言をしている。そんなことは過去の政権ではなかった。トランプ政権のそういう部分が、周辺国を不安に陥れている。日本が独自に防衛力を強化することで東アジアが安定するのか?それを米国が後押しするべきなのか?国務省の外交のプロはそうは見ていない。ホワイトハウスの暴走という気もするが、それを含めて、トランプ政権には長期的な戦略が無いという記事の趣旨は理解できる」
米国の新聞では記者や論説委員とは別に、コラムニスト(記事中は便宜的に解説委員としている)を置いており、大学や研究機関などで専門的に研究した人物をあてている。コラムニストの記事は編集、論説から分離されており、独立している。ジョシュ・ロギン解説委員はニューズウィークやCNNで外交問題の分析を行ってきてた。日本での留学経験もあり、日本の政治情勢についても詳しいという。