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トランプ大統領が米国務長官と北朝鮮対応を協議か

立岩陽一郎InFact編集長
米中外相会談でのレックス・ティラーソン米国務長官(写真:代表撮影/ロイター/アフロ)

ホワイトハウスは22日の米東部時間午後6時(日本時間23日午前7時)からトランプ大統領がレックス・ティラーソン国務長官と夕食をともにすることを発表。日中韓歴訪を終えて帰国した国務長官と、北朝鮮への対応について話し合いがもたれるものと注目されている。

ティラーソン長官は日本、韓国、中国を巡り、各国首脳と北朝鮮への対応などで意見を交わしている。ティラーソン長官は韓国では、従来の米政府の北朝鮮政策は失敗だったとした上で、今後は軍事力の行使も含めたあらゆる選択肢を視野に北朝鮮政策を進めることを明らかにしている。

(参考記事:米トランプ政権、北朝鮮との事実上の「協議」入りをドタキャン(36))

一方で、中国での記者会見では、米中間で、「北朝鮮に対して自国の国民にとってより良い道と将来を選択するよう説得していくことで合意した」と語った上で、「米中両国は(北朝鮮との間に)如何なる衝突も起きないようあらゆることを行うことで合意した」と語っており、真意がわからないとの批判も出ている。

一方で、トランプ大統領は17日、「North Korea is behaving very badly. They have been "playing" the United States for years. China has done little to help!」とツイート。「北朝鮮は長年にわたって米国をおちょくってきた。中国は頼りにならない」と憤って見せており、ティラーソン長官の中国での記者会見は中国に向けた配慮だったとの見方が有力だ。

(参考記事:トランプの米国とどう向き合うか? (22)~ケネディ前駐日大使、トランプ大統領の外交政策に憂慮示す)

22日の2人の夕食についてホワイトハウスは具体的なことは明らかにしていないが、3か国訪問から戻ったティラーソン長官と各国とのやり取りや、そこから導き出される北朝鮮政策の選択肢について突っ込んだ話し合いが行われると見るジャーナリストは多い。

公共放送NPRのベテラン記者は、「トランプ大統領としてはこの夕食の場でティラーソン長官をねぎらうとともに、特に中国の対応について報告を直接聞いて、北朝鮮政策について議論を進めるのではないか。当然、注目は軍事力行使の検討だろう」と話している。

(参考記事:拉致の記憶~蓮池兄がたどる拉致事件))

InFact編集長

InFact編集長。アメリカン大学(米ワシントンDC)フェロー。1991年一橋大学卒業。放送大学大学院修士課程修了。NHKでテヘラン特派員、社会部記者、国際放送局デスクに従事し、政府が随意契約を恣意的に使っている実態を暴き随意契約原則禁止のきっかけを作ったほか、大阪の印刷会社で化学物質を原因とした胆管癌被害が発生していることをスクープ。「パナマ文書」取材に中心的に関わった後にNHKを退職。著書に「コロナの時代を生きるためのファクトチェック」、「NHK記者がNHKを取材した」、「ファクトチェック・ニッポン」、「トランプ王国の素顔」など多数。日刊ゲンダイにコラムを連載中。

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