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トランプ大統領の息子のビジネス出張で国費1000万円以上!

立岩陽一郎InFact編集長
全米朝食祈祷会に出席したトランプ大統領(写真:ロイター/アフロ)

自身のビジネスと大統領職との線引きが不透明だと指摘されているトランプ大統領について、息子のウルグアイ出張に多額の国費が使われていたと米有力誌が報じた。線引きの不透明さが更に問題視される可能性も出ている。

●家族のビジネス出張で国費1000万円以上の出費

ワシントン・ポスト紙によると、トランプ大統領の息子のエリック・トランプ氏は今年1月初旬にトランプ・グループの仕事でウルグアイに出張。2泊したと見られている。トランプ大統領の就任前だったが、大統領警護にあたるシークレット・サービスと国務省の職員が同行し、その為の宿泊費は9万7830ドル、日本円にして1000万円以上で、国務省が支払ったとされる。

(参考記事:トランプの米国とどう向き合うか? (5)~米トランプ次期政権に娘婿入りで「利益相反」も問題に )

大統領の家族に警護がつくのは1917年に議会が承認して以降行われており、歴代大統領の家族もその対象となっている。しかし、トランプ大統領を取材しているワシントンの雑誌記者は、トランプ大統領の場合は状況が異なると指摘する。

●大統領の「利益相反」の疑いも

1つには、トランプ大統領が経営を息子のエリック・トランプ氏らに引き継いだものの、グループの株を手放すことを拒否したため、結果的に国費を使って守っているのが大統領の個人資産になってしまっていること。

もう1つは、エリック・トランプ氏がシークレット・サービスや国務省の職員を海外出張に同行させることで、ビジネス相手に米国政府がバックについているという誤ったイメージを与え、それが結果的にグループの利益になってしまう懸念が有ること。

(参考記事:トランプの米国とどう向き合うか? (4)~トランプ次期大統領に反縁故法の逆襲か?

トランプ大統領をめぐっては就任前から、グループの利益と大統領としての職務との間が不透明だとする「利益相反」の問題が指摘されてきた。経営権を引き継いだだけではこの「利益相反」の問題に幕引きをはかることが難しい状況が濃厚になってきている。

前述の雑誌記者は、「トランプ大統領はビジネスを完全に手放していないので、今後もいろいろな問題は出てくるだろう。今は無視していても、そのうち無視できなくなるだろう」と話している。

InFact編集長

InFact編集長。アメリカン大学(米ワシントンDC)フェロー。1991年一橋大学卒業。放送大学大学院修士課程修了。NHKでテヘラン特派員、社会部記者、国際放送局デスクに従事し、政府が随意契約を恣意的に使っている実態を暴き随意契約原則禁止のきっかけを作ったほか、大阪の印刷会社で化学物質を原因とした胆管癌被害が発生していることをスクープ。「パナマ文書」取材に中心的に関わった後にNHKを退職。著書に「コロナの時代を生きるためのファクトチェック」、「NHK記者がNHKを取材した」、「ファクトチェック・ニッポン」、「トランプ王国の素顔」など多数。日刊ゲンダイにコラムを連載中。

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