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アメリカの戦略を読み解けない「平和ボケ」

田中良紹ジャーナリスト

フーテン老人世直し録(61)

如月某日

なぜ日本はアメリカの戦略を読み解けないのか。自民党の衛藤晟一参議院議員が動画サイト「ユーチューブ」に投稿した国政報告を見て、あまりに子供じみた日米関係の理解に開いた口がふさがらなかった。

安倍総理の靖国参拝に「失望」を表明したアメリカに対し、衛藤議員は「こちらの方が失望した」と述べ、続けて「安倍政権は民主党政権で崩れた日米関係修復に非常に大きな力を割いてきた。なぜ同盟関係にある日本を大事にしないのか」、「米国は中国にちゃんとものが言えないようになりつつある。声明は中国に対する言い訳に過ぎない」とアメリカを批判した。

当たり前の話だがアメリカは自国の利益になる事を追求している。それ以上でもそれ以下でもない。自民党は民主党政権で日米関係が崩れたと考えているが、アメリカから見れば民主党政権でも自民党政権でもアメリカの利益にさえなればどちらでも良い。

同盟関係があるから日本を大事にするなどと言う理屈はそもそも成り立たない。同盟関係は利益があれば維持され、不利益になれば廃棄される。運命を共にする契約を結んだ訳ではない。同盟関係にあるからと言ってアメリカを日本の味方と考えるのは100%以上の「平和ボケ」である。

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ジャーナリスト

1969年TBS入社。ドキュメンタリー・ディレクターや放送記者としてロッキード事件、田中角栄、日米摩擦などを取材。90年 米国の政治専門テレビC-SPANの配給権を取得。日本に米議会情報を紹介しながら国会の映像公開を提案。98年CS放送で「国会TV」を開局。07年退職し現在はブログ執筆と政治塾を主宰■オンライン「田中塾」の次回日時:5月26日(日)午後3時から4時半まで。パソコンかスマホでご覧いただけます。世界と日本の政治の動きを講義し、皆様からの質問を受け付けます。参加ご希望の方は https://bit.ly/2WUhRgg までお申し込みください。

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