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島田歌穂 50周年を前に、刺激的なセッションで決意を新たに――「果てなき挑戦を続けていきたい」

田中久勝音楽&エンタメアナリスト
写真提供/BS-TBS(全て)

来年デビュー50周年を迎える島田歌穂がミュージカル曲、J-POP、ジャズ、ジャンルが異なる3曲をカバー

シーンを代表する3人の人気アレンジャーが手がける、この日限りのアレンジと、凄腕ミュージシャンによる生演奏にこだわるライヴ番組『Sound Inn S』(BS-TBS/毎月第3土曜日18:30~)。

10月21日放送回には、来年デビュー50周年という節目を迎えるシンガー/ミュージカル女優・島田歌穂が登場。人生を変えた曲やJ-POP、ジャズの名曲3曲を披露する。島田が「力をいただきました」と語るセッションとは?

「人生を変えたくれた曲」、「On My Own」を斎藤ネコのアレンジで披露

島田は1974年にドラマ『がんばれ!!ロボコン』で子役としてデビューし、1982年ミュージカル『シンデレラ』で初舞台を踏んだ。1987年日本初演のミュージカル『レ・ミゼラブル』にエポニーヌ役として出演し一躍脚光を浴び、同作品への出演回数は1000回を超える。また、同作品の世界ベストキャストにも選ばれ、英国王室主催コンサート「ザ・ロイヤル・バラエティ・コンサート」(1987年)に出演。エリザベス女王の前で「On My Own」を披露し、絶賛された。この時のことを「生涯忘れられない光栄な思い出」と語り、「人生を変えてくれた曲」と大切に歌い続けている同曲を、この日は斎藤ネコのアレンジで披露。

斎藤ネコ
斎藤ネコ

斎藤と入念に音合わせし、生まれた世界観はどこまでも美しく、島田の情感豊かな歌に寄り添い、立てる斎藤と手練れのミュージシャンが紡いだサウンドはどこまでも繊細だ。この曲は『レ・ミゼラブル』の中で、青年マリウスに叶わぬ想いを寄せるエポニーヌの、片思いで苦しい胸の内を切々と歌い上げる、特に人気の高い劇中歌だ。この番組でも過去に、上白石萌音や昆夏美を始めとするミュージカルスター達が歌ってきた。島田の歌はどこまでもドラマティックで胸に迫ってくる。

「半端ないエネルギーを感じる歌」(斎藤)

以前から斎藤と親交があるという島田だが、斎藤のアレンジで歌うのはこの日が初めて。改めて島田の歌について斎藤は「素晴らしい。一緒に演奏して、指揮をしていてもこれをどう歌いたいか、こういう曲なんだ、ということがビシビシ伝わってきました。それが“説得力”になって、テレビをご覧の皆さんにも伝わるはず。半端ないエネルギーを感じました」と絶賛していた。

島田は斎藤のアレンジについて「歌っていて本当に幸せでした。人生の中で一番大事な曲を、50周年という節目を前に、こんなに豪華な素敵な演奏で歌わせていただいて、凄い力をいただきました」と語っていた。一流音楽家同士のいわば“真剣勝負”から生まれるエネルギーの凄まじさは、聴きどころであり、見ものだ。

「青春の思い出が詰まった」尾崎豊の「I LOVE YOU」を、冨田恵一の“深み”のあるアレンジで披露

島田は父がジャズピアニスト、母がタカラジェンヌという音楽一家に生まれ、子役としてデビューしたのち、1981年にはアイドル歌手としてレコードデビュー。そののち舞台女優としての道を歩み始めるが、並行して音楽活動も精力的に行なってきた。ジャズシンガーとしても頭角を表し、自身のコンサートではオリジナル曲、ミュージカル、ジャズ、民謡等あらゆるジャンルの歌を披露している。この日も、コンサートでも披露している「青春時代の思い出が詰まった」尾崎豊の「I LOVE YOU」を、冨田恵一のアレンジでカバー。

冨田恵一
冨田恵一

島田と冨田はこの日が初コラボ。冨田は島田について「上手さとコンテンポラリーさの両方を持ち併せていて、柔らかいのに強いというイメージ。本当に素晴らしい歌手」と語っていた。そしてその歌をさらに印象的に彩るアレンジを作り上げた。「オリジナルは8ビートでやっぱり若さを感じるけど、島田さんと僕がやるなら16ビートだと思った。島田さんの歌い方はルバート(テンポを揺らす)っぽいので、あのニュアンスをバックビートのあるオケでやるとすごくいいと思った。ソリッドなリズムセクションでも溜めたり崩したり、という部分のハマりが重要だけど、島田さんには絶対合うと思いました」と「心地よくて、ビートがありながらすごくメロウでロマンティックなアレンジ」(島田)に仕立て、原曲とはひと味もふた味も違う、大人の“深み”を感じる「ILOVE YOU」が生まれた。島田は「この曲がますます好きになりました」と笑顔で語っていた。

世界中のアーティストカバーしているジャズのスタンダードナンバー「It Don't Mean a Thing」を船山基紀のアレンジで披露

島田は即興性を大切にし、その場でしか生まれない化学反応が刺激的なジャズの世界と、長期間時間を共有するカンパニーで作品を作り上げる演劇の世界、フィールドこそ違えど、その正反対の世界を長年並行して追求してきた。女優として舞台に立ちながら、ジャズシンガーとしてライヴハウスのステージに立っていた。そのライヴハウスで「一番最後に盛り上がる曲」として歌っていたジャズのスタンダードで、世界中のアーティストがカバーしている「It Don't Mean a Thing」を名匠・船山基紀のアレンジで披露した。

船山基紀
船山基紀

船山は「“スウィングしなけりゃ意味がない”というタイトルなので、どれだけバンドがスウィングするかが勝負」と語っているように、凄腕揃いのビッグバンドでゴージャスなサウンドを作り上げた。その“美しい音圧”に包まれ、「思い出深い曲」を気持ちよく歌う島田。それを聴いた船山は「さすがとしか言いようがない。譜面に書いてない、予期しないことがどんどん起きて、本当に素晴らしい。絶対レディー・ガガ(のカバー)を超えた」と笑顔で語っていた。

「新しい挑戦の先には新しい世界が見えるんだと教えられたセッション」

全てのセッションを終え島田は「ミュージカルとJ-POPとジャズ、ジャンルが違う3曲を、初めてご一緒するアレンジャーの皆様にアレンジをして頂いて、最初はすごくドキドキしました。でも素晴らしい音に包まれて、びっくりするぐらい幸せな気持ちで歌わせていただきました。改めて新しい挑戦の先には新しい世界が見えるんだと教えていただいた気がします」と興奮気味に語っていた。挑戦なくして発見も成長もないと、50周年という節目を前に再確認できたセッションだった。

さらに「またここから初心に戻って新たなスタート切ろうと、大きな勇気と力をいただきました。これからも色々なジャンルの曲に挑戦して、年を重ねるごとにその時にしか歌えない歌、深い歌を歌っていけるように、果てなき挑戦を続けていきたい」と決意を新たにしていた。

島田歌穂のパフォーマンスは、10月21日(土)BS-TBSで18時30分から放送される。

『Sound Inn S』オフィシャルサイト

音楽&エンタメアナリスト

オリコン入社後、音楽業界誌編集、雑誌『ORICON STYLE』(オリスタ)、WEBサイト『ORICON STYLE』編集長を歴任し、音楽&エンタテインメントシーンの最前線に立つこと20余年。音楽業界、エンタメ業界の豊富な人脈を駆使して情報収集し、アーティスト、タレントの魅力や、シーンのヒット分析記事も多数執筆。現在は音楽&エンタメエディター/ライターとして多方面で執筆中。

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