Yahoo!ニュース

『Sound Inn S』100回記念フェス開催 上白石萌音、三浦大知、リトグリ、yamaらが共演②

田中久勝音楽&エンタメアナリスト
写真提供/BS-TBS

生演奏にこだわり、“時を超えた、ここでしか聴くことができないサウンド”がコンセプトの音楽番組『Sound Inn S』(BS-TBS)が7月29日の放送で100回を迎えた。それを記念したコンサート 『Seiko Presents Sound Inn S 100回記念フェス 〜音楽は時を越えて〜』が6月28日、東京国際フォーラムホールCで行われ、伊東ゆかり上白石萌音松崎しげる三浦大知yamaLittle Glee Monsterが出演。このコンサートの模様が7月29日に続いて8月26日(土)に放送される。

「特別なアレンジ、ダイナミックな演奏で歌えるのが楽しみだった」(yama)

「特別なアレンジ、ダイナミックな演奏で歌えるのが楽しみだった」と語っていたyamaは、まずストリーミングの累計再生回数が3億回を突破した代表曲「春を告げる」を、冨田恵一のアレンジで歌った。飾らない歌詞と親しみやすいメロディが、圧倒的な透明感を湛えた歌声に乗り、客席に真っすぐ届く。冨田のアレンジは、原曲とはひと味違うクールでスリリング。ストリングスとホーンを加えた30名を越えるバックバンドとのセッションをyamaは楽しんでいた。

この日yamaのパフォーマンスを観るのは初めて、というお客さんも多かったはずだがアイマスクをしたアイコニックなビジュアルも、聴き手に色々な情報に惑わされることなく、自分の音楽をストレートに受け取って欲しいという思いからだと吐露しているが、その思いは伝わっていた。大人気アニメ『SPY×FAMILY』のエンディングテーマとしてロングヒットになっている美しいバラード「色彩」は、島田昌典のアレンジで披露。美麗なストリングスとホーンが印象的で、ファンキーさの中にも情緒を感じさせてくれるアレンジに乗せ、yamaのハイトーンボーカルが突き抜ける。言葉がクリアにそして凛とした佇まいで伝わってくる。

十川ともじのアレンジで歌った「slash」(TVアニメ『機動戦士ガンダム 水星の魔女』Season2 オープニングテーマ)は、2曲とはガラッと変わってロックチューンで、さらに感情が乗った力強い歌で、胸が苦しくなるようなせつない歌声が印象的だ。

46年前、この番組のMCを務めていた伊東ゆかりと松崎しげるはスペシャルゲストとして登場し、その唯一無二の世界観のボーカルを披露した。伊東は「ムーン・リバー」のカバーを笹路正徳の優雅で、温もりのあるアレンジで歌い、その伸びやかな高音と上品な低音で魅了する。あらゆるジャンルの曲を歌い続けて、今年歌手デビュー70周年を迎えたレジェンドシンガーの現在進行形の歌に、客席は聴き入っていった。

松崎しげるは代表曲の「愛のメモリー」を冨田恵一のアレンジで披露した。1977年に発表されたこの曲を、冨田はオリジナルアレンジをリスペクトしながらも、大胆にアレンジ。まさにこの番組のコンセプトでもある「時を超えた、ここでしか聴けない上質なサウンド」に仕上げた。ホーンとストリングスの音が芳醇で、繊細でクールな印象のサウンドに乗せ、松崎の変わらない圧倒的なボーカルと豊かな表現力の歌が感動を連れてくる。

ラストは豪華なバンドのゴージャスなサウンドに乗せ、オールキャストで「君の瞳に恋してる」(アレンジ/河野伸)を歌い、客席も総立ちとなり手拍子で盛り上げ、まさに大団円。

「こんなに豊かな音に包まれて、歌っている時も他の方が歌っている時も幸せな気持ちで、生きててよかったと思いました」(上白石)、「歌っててよかった、音楽をやっている自分はすごく幸せなんだなって改めて思った。音楽最高です!」(三浦)と興奮した様子で語っていた。

アーティストは原曲とはひと味違う新たなアレンジ、極上のサウンドに触れ、改めて音楽ができる歓びを、オーディエンスは良質な音と歌に包まれる歓びを感じることができた、一夜限りのスペシャルなライヴだった。

この模様は8月26日(土)BS-TBSで18時30分放送され、見逃し配信はTVerで放送直後から配信が開始される。

BS-TBS『Sound In S』オシャルサイト

音楽&エンタメアナリスト

オリコン入社後、音楽業界誌編集、雑誌『ORICON STYLE』(オリスタ)、WEBサイト『ORICON STYLE』編集長を歴任し、音楽&エンタテインメントシーンの最前線に立つこと20余年。音楽業界、エンタメ業界の豊富な人脈を駆使して情報収集し、アーティスト、タレントの魅力や、シーンのヒット分析記事も多数執筆。現在は音楽&エンタメエディター/ライターとして多方面で執筆中。

田中久勝の最近の記事