Yahoo!ニュース

車CMソング= “次”を担う最注目アーティスト競演の場 光る、Kroiの音楽の存在感

田中久勝音楽&エンタメアナリスト

ダイハツのCMから流れてくるKroiの音楽の存在感

車のCMから流れてくる音楽に“耳が釘付け”になった。ダイハツROCKY-e:smartが颯爽と駆け抜ける映像と、太いベースがうなるサウンドとハイトーンボーカルがひとつになって、わずか15秒の中にエネルギーとカッコよさを充満させている。5人組ミクスチャーバンド・Kroiの「Juden」だ。急いで「Juden」をチェックすると、このCMの「気持ちよさが走り出す。」というキャッチコピーのように、腰から踊らせてくれる力強いビートが印象的なファンクミュージックは、新鮮かつ斬新でこの曲が収録されているEP『nerd』を聴くと、様々な音楽が内包されたKroiスタイルのミクスチャーは、圧倒的なオリジナリティを放ち、“クール”と同義語としての“面白さ”に満ちあふれている。要注目バンドとして音楽シーンですでに存在感を放っている理由が『nerd』が伝わってくる。

今年もKori、藤井風、緑黄色社会、Vaundy、WurtSなどが起用された車のCMは、“次”の音楽シーンを牽引するアーティストの登竜門

車のCMは、その注目度から様々なCMの中でも“花形”といっていい。若者の「車離れ」ということが言われるようになって久しいが、車のCMと音楽の関係、相乗効果は計り知れない。各メーカーのCMには、そのイチオシの車が持つストーリーを含めての世界観やメッセージとマッチした楽曲が使用される。スタイリッシュさ、疾走感や楽しさなど、その車が持つ要素を言葉や文字で説明することも必要かもしれないが、音楽はその言葉たちを軽々と超えて、一瞬で魅力を伝える力を持っている。そうして非常に印象的な映像となる。

今年もKoriを始め、藤井風や緑黄色社会、Vaundy、WurtSなど注目を集めているアーティストが車のCM音楽に起用されている。過去にもSuchmos、Nulbarich、SIRUP、King Gnu、[Alexandros]、 Friday Night Plans等々数多くのアーティスト達が車のCMをきっかけに注目度がさらに高くなり、大きく飛躍していった。新しい車は当然ユーザーに長年愛され、スタンダードになっていって欲しいという、その車の誕生に携わった全ての人の祈りが込められて、送り出される。そしてCMという晴れ舞台に登場する時の音楽にも、同様に次の音楽シーンの主役になりうる、スタンダードナンバーになる楽曲を作り、歌えるアーティストが起用されている。もちろん、洋楽や大物アーティスト、過去曲が使用される場合もある。“イメージ”をきちんと伝えたいというメーカーの思い、その時の時代の“気分”など、様々な要素から音楽が決められると思うが、車のCMに起用されるアーティストが次に大きく跳ねる、というイメージを持っている人は少なくないはずだ。

多彩な才能を持つメンバーが、それぞれ多様な活動を展開するKroi

Kroiは、内怜央(Vo)、長谷部悠(G)、関将典(B)、益英知(D)、千葉樹(Key)の5人組バンドで2018年に結成し、今年ポニーキャニオン/IRORI RECORDSからメジャーデビューを果たした。音楽活動だけでなく、ファッションモデルやデザイン、楽曲プロデュースなどメンバーそれぞれが多様な活動を展開、発信している。1stアルバム『LENS』(6月)を始め、今年早くも3枚CDを発売し、その音楽がどんどん広がっている中で「Juden」がダイハツROCKY-e:smartのCMに起用され、その広がり方はさらに加速している。車のCMで流れる=車の中で聴きたい音楽という見方もできるが、Kroiの音楽ももちろんそうだ。どんなシーンでも盛り上がてくれる彼らのエンタテイメント性が高い音楽は、一度聴くとヤミツキになり、そして必ずライヴに行きたくなる。Kroiとその音楽を、これからも注目していきたい。

Kroiオフィシャルサイト

音楽&エンタメアナリスト

オリコン入社後、音楽業界誌編集、雑誌『ORICON STYLE』(オリスタ)、WEBサイト『ORICON STYLE』編集長を歴任し、音楽&エンタテインメントシーンの最前線に立つこと20余年。音楽業界、エンタメ業界の豊富な人脈を駆使して情報収集し、アーティスト、タレントの魅力や、シーンのヒット分析記事も多数執筆。現在は音楽&エンタメエディター/ライターとして多方面で執筆中。

田中久勝の最近の記事