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ペンタトニックス×リトグリが再びコラボ 日米を結ぶ歌の「絆」を世界に発信<後編>

田中久勝音楽&エンタメアナリスト
写真提供/ソニー・ミュージックレーベルズ

前編】に続き後編では、ペンタトニックス、Little Glee Monster(以下リトグリ)それぞれがコロナ禍で「歌」とどう向き合い、「伝える」ということについてコロナ前と後ではその「思い」は変わっていったのか、聞かせてもらった。

「このキャリアを通して僕らがたくさんの幸福や安心、心の拠り所などを提供できたらいいなと思っている」(ミッチ)

ペンタトニックス ミッチ・グラッシ
ペンタトニックス ミッチ・グラッシ

配信アルバム『ラッキー・ワンズ・デラックス』(9月10日配信)
配信アルバム『ラッキー・ワンズ・デラックス』(9月10日配信)

まずは、ペンタトニックス6年ぶりのオリジナルアルバム『ラッキー・ワンズ』は、10周年を迎えたタイミングということもあると思うが、このタイミングでオリジナルアルバムを制作、発表しようと思った理由を、ミッチ・グラッシに教えてもらった。

「結成10周年を迎えて、僕らはとても内省的になった。自分達の心の中を見つめ直すことによって、音楽を通して伝えたいことがまだまだたくさんあるってわかったんだ」というミッチの言葉通り、『ラッキー・ワンズ』は、メンバー一人ひとりの人生、これまでの経験が映し出された、よりパーソナルなアルバムになっている。自分達のことを“ラッキーワンズ”、ラッキーな自分達と言い切れるその“潔さ”が、ペンタトニックスが持つ親近感につながり、世界中で愛されている理由のひとつだ。そうミッチに伝えると、「ありがとう! そうだね、僕らはホントに“ラッキーな自分達”なんだ。人生は予想もしなかったことの連続で、それを大いに感謝している。このキャリアを通して僕らがたくさんの幸福や安心、心の拠り所などを提供できたらいいなと思っているよ」という答えが返ってきた。謙虚で、常に音楽と真摯に向き合い、歌で世界中のファンに幸せを届けるペンタトニックスというグループの魅力を、改めて感じることができた。

「歌は皆の心をひとつにする方法」(ミッチ)

ペンタトニックス 左からマット・サリー、スコット・ホーイング、カースティン・マルドナード、ケヴィン・オルソラ、ミッチ・グラッシ
ペンタトニックス 左からマット・サリー、スコット・ホーイング、カースティン・マルドナード、ケヴィン・オルソラ、ミッチ・グラッシ

世界中がコロナで包まれてしまい、絶望や不安の中で、希望を見いだそうとする人々にペンタトニックスとリトグリは、改めて「歌」という存在をどう捉え、届けようとしているのだろうか。

「歌うことへの結びつきがより強くなったかな。自分にとって、歌うことはいつも心を浄化してくれる作用がある。それに、誰かの感情を呼び起こす手段でもあって、何より皆の心をひとつにする方法でもあるんだ」(ミッチ)。

世界中の人々の心を一つにするために、歌を直接届けに行くことが、パンデミック終息後にペンタトニックスとして最初にやりたいことだとも教えてくれた。

「またいろんな場所を訪れて、世界中のファンの皆の前でパフォーマンスしたいとメンバー全員が思っているよ。パンデミックが終息したら、誰もがこれまでとはまったく違う人間になって、ささいなことに囚われることなく、与えられた人生をもっともっと大切にするようになると思う」(ミッチ)。

「お客さんと生で向き合って歌を届けることが、私達にとっても活力になる」(かれん)

「この状況になって悲しいことが多いけど、気づけた部分、成長できた部分もたくさんある」(MAYU)

Littte Glee Monster 左からかれん、MAYU、芹奈、manaka、アサヒ
Littte Glee Monster 左からかれん、MAYU、芹奈、manaka、アサヒ

こんな時代になってしまい、その中で人の声が持つパワー、届けてくれる感動の大きさや温もりを、アーティストも聴き手も改めて感じているのではないだろうか。現在ツアー中のリトグリは、その感情の交感を通して「歌」「音楽」というものについて、これまでと違う心持ちで向き合っているようだ。

「もちろんオンラインライヴでも十分伝わるものはあると思います。でもやっぱり生でお客さんと向き合って、歌を届けることが私たちにとってもすごく活力になるし、今できる最善を尽くして、人と触れ合うことはすごく大切なことだなって改めて感じています。コロナ禍で、改めて色々な方に支えていただいている、そのありがたさを感じることができました」(かれん)

「この状況下で、もちろんマイナスというか、悲しいことの方が多いと思いますが、でもその中でもポジティブに捉えられる部分ってあって。例えば今はまだライヴではファンの方は声が出せないので、それでも何か楽しめる方法はないかとコーレスバルーンという、振って音を出してみんなで楽しめるグッズを作りました。この状況になったからこそ、色々な形で音楽を届けることができるということがわかったり、気づけた部分や成長できた部分もたくさんあると思います。去年ライヴができなかった分、直接皆さんの顔を見ることが本当に嬉しくて、でももちろんライヴに行かないという選択をしてくれた方にもすごく感謝しています。何が正解で何が間違いというのはないので、皆さんそれぞれが正しい選択をしてくれていると思います。本当にたくさんの人に感謝しています」(MAYU)。

「歌っていて自分自身に言葉がより刺さってくるようになった」(かれん)

「直接的な応援歌でなくても、盛り上がる曲でも、言葉が心に沁みるようになった」(MAYU)

「コロナ禍で一番感じたのは、歌えることが当たり前ではないということです。ライヴ、フェス、音楽番組、当たり前だと思っていたことができなくなって、より歌えることの喜び、ありがたみを感じています。歌っていて自分自身に言葉がより刺さるし、多分聴いてくれている皆さんにも、そう感じていただけている思います」(かれん)。

「応援歌といわれるものがあると思いますが、直接的にそういう歌でなくても、聴くと元気が出たり、心に沁みると感じることが増えてきた気がします。例えばライヴで盛り上がる曲も、こういう状況になる前はただ楽しく盛り上がっている感じだったのに、今までより言葉がすごく刺さってくるなって感じることがあります。それは自分たちの曲に関わらず、自分が好きな曲とかでもすごく感じるようになりました」(MAYU)。

最後に二人から、ペンタトニックスへのメッセージをもらった。

「コラボレーションはしていても、2年以上会うことができていないので、次に会える時は一緒に歌えることを楽しみに、私たちは日本で歌を届け続けたいと思っています」(MAYU)。

「尊敬するアーティストであり、大好きなお兄さんお姉さん方なので、また一緒に会って歌いたいですって伝えたいです」(かれん)。

ミニアルバム『re-union』(9月22日発売/初回生産限定盤A)
ミニアルバム『re-union』(9月22日発売/初回生産限定盤A)

リトグリは9月22日にミニアルバム『re-union』をリリースする。 6月に配信限定リリースした「君といれば」を5人で歌唱した「君といれば-complete ver.-」や、休養中だった芹奈の復帰作「REUNION」他、多彩な楽曲が収録されている。さらに現在開催中の全国ホールツアー『Little Glee Monster Live Tour 2020→2021 >BRIGHT NEW WORLD<』初日の6月28日愛知公演で、芹奈がライヴ活動を再開後初めて5人で披露した「VIVA」のライブ音源が収録される。

「『君といれば』は4人バージョンと5人バージョン両方入っているので、アレンジの違いとかも楽しんでいただけると思いますし、聴き応えのあるミニアルバムになっていると思います」(MAYU)。

ペンタトニックスの最新配信アルバム『ラッキー・ワンズ・デラックス』には「ミッドナイト・イン・トーキョーfeat. Little Glee Monster」の他、K-POPグループのATEEZを迎えた「リトル・スペース feat. ATEEZ」等の計7曲が新しく収録され、英語、日本語、韓国語が飛び交う、ワールドワイドな内容になっている。“コラボレーション”についてミッチは「誰かとコラボするのはいつだってとてもワクワクする。自分達だけで作業していたら絶対に思いつかないだろう、より多くのアイデアと巡り合えるからね」と語り、10周年を迎えたペンタトニックスが、全力で音楽を楽しんでいる様子が伝わってくる一枚だ。

ペンタトニックス日本オフィシャルサイト

Little Glee Monster オフィシャルサイト

音楽&エンタメアナリスト

オリコン入社後、音楽業界誌編集、雑誌『ORICON STYLE』(オリスタ)、WEBサイト『ORICON STYLE』編集長を歴任し、音楽&エンタテインメントシーンの最前線に立つこと20余年。音楽業界、エンタメ業界の豊富な人脈を駆使して情報収集し、アーティスト、タレントの魅力や、シーンのヒット分析記事も多数執筆。現在は音楽&エンタメエディター/ライターとして多方面で執筆中。

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