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ペンタトニックス×リトグリが再びコラボ 日米を結ぶ歌の「絆」を世界に発信<前編>

田中久勝音楽&エンタメアナリスト
写真提供/ソニー・ミュージックレーベルズ(以下同)

ペンタトニックスとリトグリのコラボ第2弾は、東京を舞台にした「ミッドナイト・イン・トーキョー feat. Little Glee Monster」

『ラッキー・ワンズ【ジャパン・デラックス・エディション】』(9月15日発売)
『ラッキー・ワンズ【ジャパン・デラックス・エディション】』(9月15日発売)

世界的アカペラグループ・ペンタトニックスが、今年2月に発売した通算2作目のオリジナルアルバム『ラッキー・ワンズ』に、新曲7曲を追加したデラックス版『ラッキー・ワンズ・デラックス』配信版を9月10日に、『ラッキー・ワンズ【ジャパン・デラックス・エディション】国内盤を9月15日にリリース。その中にLittle Glee Monster(以下リトグリ)とのコラボ第2弾「ミッドナイト・イン・トーキョー feat. Little Glee Monster」が収録されている。昨年12月に発売された「Dear My Friend feat.Pentatonix」(作詞・曲 亀田誠治)に続いて完全リモートで制作された「ミッドナイト~」は、ポップでキャッチーでペンタトニックスとリトグリのハーモニーが交錯し、溶け合うドラマティックな楽曲に仕上がっている。日本を愛するペンタトニックスが、日本語詞を取り入れていることでも話題だ。

この作品について、メンバーのミッチ・グラッシにメールインタビュー、そしてリトグリ・MAYUとかれんにオンラインインタビューを敢行した。<前編>では「ミッドナイト・イン・トーキョー feat. Little Glee Monster」について、そして<後編>ではそれぞれがコロナ禍で改めて「歌」というものの存在をどう捉え、「伝える」ということにどう向き合ってきたのかを聞かせてもらった。

「僕らにとって、東京はいつだって最高にハッピーが詰まっている場所」(ミッチ)

ミッチ・グランシ(ペンタトニックス)
ミッチ・グランシ(ペンタトニックス)

アカペラ・グループ史上初の全米No.1獲得、3年連続グラミー賞受賞、YouTube総再生回数52億回等、その眩しいくらいの実績を誇る世界的なアカペラグループが、今なぜ東京を舞台にした『ミッドナイト・イン・トーキョー』を歌い、発信しようと思ったのかを聞いてみると――。

「僕らにとって、東京はいつだって最高にハッピーが詰まっている街なんだ。訪れる度にアットホームな雰囲気を感じているよ。パンデミックの間、誰もが日常から逃げ出すことを夢見て、僕らが曲中で歌っているように『今あるものはすべて置いていってしまおう』みたいになっていたんじゃないかな。また近いうちに東京へ戻れることをとても楽しみにしているよ!」(ミッチ)と、閉塞感を感じながら生活していく中で、“その先”に待っている明るくハッピーな日常のシーンを言葉とメロディにして、日本のファンはもちろん、多くの人に元気を与えてくれる。

また日本語によるオリジナルソングに初挑戦ということで、日本語の歌詞について制作する上で大変だった部分、こだわった部分を教えてもらった。

「丹念に感情を切り取ることによって、日本のオーディエンスの皆に今僕らが伝えようとしている気持ちを理解してもらえればと思った。なかなかやりがいのある挑戦だったけど、日本の皆が僕らの努力を喜んでくれるといいな」(ミッチ)と語ってくれた。

この曲についてリトグリのMAYUとかれんは――。

「とてもキャッチーな曲で、私たちにとっても身近な原宿や渋谷が歌詞に出てきて、より親近感が湧きます。ペンタトニックスが日本語で歌っている姿が、すごく素敵です」(MAYU)

「口ずさみやすいし、今はまだなかなか旅行とか行けないと思うので、行けないけど曲を聴いているだけで色々なところを飛び回ってるような気分にもなれるので、ドライブソングとしてもすごくいいなと思います」(かれん)。

「Dear~」に続いて、オンラインレコーディングになったことについては、「テクノロジーの発展のおかげで、アーティスト達がアイデアを送り合うスピードがとても速くなった」(ミッチ)

「そんなに離れている感もなく、ペンタトニックスのことを身近に感じながら制作できた」(かれん)

「英語と格闘しながら、テンションをあげて楽しみながらレコーディングできた」(MAYU)

昨年本当はペンタトニックスとリトグリは「Dear~」をLAでレコーディングする予定だった。しかしそれは叶わずオンラインになってしまった。今作「ミッドナイト~」も完全オンラインレコーディングで作りあげた。コロナがもたらした手法ともいえるが、ボーカルグループ2組が、どのようなモチベーションで曲と向き合い“合わせて”いったのだろうか。

「コラボするなら実際に会ったほうがお互いのアイデア交換がより円滑に進むのは確か。だけどテクノロジーの発展のおかげで、アーティスト達がアイデアを送り合うスピードがとても速くなったよね」(ミッチ)。

「オンラインでのレコーディングは『Dear~』で初めて経験しているので、本当は一緒にレコーディングできるのが一番だと思いますが、そんなに離れている感もなく、ペンタトニックスのことを身近に感じながら、今回も制作できました。一番の問題は英語の発音でした(笑)。気をつけながら、でもグルーヴが出るように歌いました」(かれん)

「私も英語が得意ではないのでいつも苦戦しますが、この曲はすごく楽しい曲なので、苦戦しながらも、楽しんで体を揺らすイメージのテンションでレコーディングしました」(MAYU)。

「MVは曲中にみなぎるカラフルなパワーとうまくマッチしている」(ミッチ)

『ミッドナイト~』はMUSIC VIDEO(MV)にも注目が集まっている。ソニー初の電気自動車“VISION-S Prototype”が登場する近未来的なイメージが描かれていて、レコーディング同様LAと東京での遠隔撮影が行われ、日本では大型のLEDディスプレイを使った“バーチャルプロダクション”という手法で制作された。

「とてもステキだよね、ホントに! 自分達をデジタル化する作業はすごくワクワクするものだった。今回のMVも曲中にみなぎるカラフルなパワーとうまくマッチしていると思う」(ミッチ)。

「街並みの映像などを実際に後ろに流しながら撮影をしたのは初めてで、車の中も、音で包む込んでくれるようなシアターみたいな感じで、近未来という感じがしました」(MAYU)。

「本当に後ろから包み込まれる感じが気持ちよかったです。映像も、夜景が車に反射してるところとかもすごくリアルで、本当にドライブしているみたいでした」(かれん)。

「Little Glee Monsterは、ポップスター以上の存在」(ミッチ)

2014年のペンタトニックス初来日イベントでの共演以降、2組は交流を深め、昨年初コラボが実現。7年の時を経て、その歌やアーティスト像はそれぞれの目にどのように映っているのかを改めて聞いてみた。

「Little Glee Monsterのことが大好きなのは、音楽と音楽性への愛が溢れているから。彼女達はポップスター以上の存在だと思っている。自分達が作り上げる音楽に全力で魂を込めていると強く感じるよ」(ミッチ)。

「いつ見てもすごいパフォーマンスで、昔から大好きという気持ちと、同じアカペラグループとしてのリスペクトは変わりません。私たちのことをすごく大事にしてくれたり、日本が大好きなところは、日本人としても嬉しいです」(MAYU)。

「こうやって交流ができる前から、ペンタトニックスの曲や動画はメンバーみんなで観たり聴いたりしていたので、そういう方たちとこうやってコラボできるなんて嬉しすぎます。メンバーの皆さんが私たちのことを愛してくださって、一方通行ではなく両思いなのがすごく嬉しいなって改めて感じました」(かれん)。【後編】に続く

ペンタトニックス 日本オフィシャルサイト

Little Glee Monster オフィシャルサイト

音楽&エンタメアナリスト

オリコン入社後、音楽業界誌編集、雑誌『ORICON STYLE』(オリスタ)、WEBサイト『ORICON STYLE』編集長を歴任し、音楽&エンタテインメントシーンの最前線に立つこと20余年。音楽業界、エンタメ業界の豊富な人脈を駆使して情報収集し、アーティスト、タレントの魅力や、シーンのヒット分析記事も多数執筆。現在は音楽&エンタメエディター/ライターとして多方面で執筆中。

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