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Funky Galaxy4年ぶりに始動 こだわりが詰まった新作で見せた、“表現者”3人の現在地と未来

田中久勝音楽&エンタメアナリスト
写真提供/LOG-IN

4年ぶりに始動。復帰第一弾シングル「Cassette」で見せた“こだわり”

「Cassette」(10月23日発売) フィルムカメラを使い、アナログ感にこだわったジャケット
「Cassette」(10月23日発売) フィルムカメラを使い、アナログ感にこだわったジャケット

K-POPグループ・SUPERNOVAのラップ担当、グァンス、ゴニル、ジヒョクの3人によるスピンオフ・ヒップホップユニットFunky Galaxyが、2015年ユニット初のアルバム『Funky Galaxy』を発売したのち、約2年間の兵役を終え4年ぶりに再始動し、復帰第一弾シングル「Cassette」を10月23日に発売した。まだカセットテープで音楽を聴いていた、1970~90年代のシティポップスを彷彿させる、どこか懐かしいメロディと、“詩”のような歌詞が印象的な作品だ。ゴニルを中心に作り上げた今回のクリエイティヴは、これまでのFunky Galaxyとはひと味違うこだわりで、新境地を見せてくれる。3人は音楽以外にも映画、舞台、ドラマで役者としても活躍しており、“表現者”としてこだわりがますます強くなっているようだ。そんな3人に、新曲「Cassette」について、そして“表現”するということについての考え方を聞かせてもらった。通訳なしでインタビューに答えてくれた3人の、淀みない日本語は美しく、よりその思いが伝わってきた。

「『HOTEL GALAXY』という短編小説を書き、そこに登場する5人の気持ちを歌で表現していく」(ゴニル)

ゴニル
ゴニル

「昔の音楽が好きで、よく聴いていたのですが、周りもそういう人が増えてきて、レトロな音楽も流行っていて、流行が一周回った気がしていて。僕はよく国内外に旅行に出かけるのですが、行った都市で友達に『一番いい音楽が流れているスポットを教えて欲しい』と必ず聞いて、行ってみるのですが、タイで行ったクラブの店名が「CASSETTE」で。生演奏でレトロな音楽を次々から次へと聴かせてくれて、すごくよくて、『Cassette』という曲を作り始めました」と、ゴニルが今回の作品のコンセプトを教えてくれた。歌詞についてもゴニルが書いた短編小説が元になっている。

「僕が書いた『HOTEL GALAXY』という短編小説があって、ホテルに集まった5人の主人公それぞれが、何を探しに、どうしてここに来たのかという自分の話をしていって、それがどんどん広がっていくという内容です。それでこの小説を、アルバムにしたら面白いかも、ということになって、だから「Cassette」は5人のうちのひとり、ある老人の物語なんです。昔のいい時代に戻りたいという気持ちを描いていて、その時代を象徴するものとしてカセットが出てきます。「da Vinci」は若い芸術家の男性を描いていて、「Pay No Mind」は、女のコが主人公です。次のシングルも「HOTEL GALAXY」からのシングルで、「HOTEL GALAXY」に集まった5人の気持ちを、僕達たち3人が歌を通して表現しています」(ゴニル)。

「『Cassette』は、新しい僕達の音楽性を見せる事ができた」(ジヒョク)

ゴニルが作り上げた「HOTEL GALAXY」の世界観、曲について他のメンバーはどう感じているのだろうか。

「「Cassette」を始め、どの曲もメロディラインがすごくよくて、歌詞も世界観があるので、新しい僕達の音楽性を見せる事が出来ていると思う」(ジヒョク)。

「「Cassette」は個人的にもすごく好きなジャンルの曲で、今まで歌ってきた曲の中でも特にお気に入りです。他のメンバーもそうだと思うので、これこそFunky Galaxyのオリジナルというものができあがったと思う」(グァンス)。

「『HOTEL GALAXY』という曲は、小説の一番最初の文章をフランス人の女のコがナレーションしているのですが、この声のオーディションを10人くらいやりました、声を録ってイメージ通りの声のコを探したり、サウンドも生楽器にこだわりました」(ゴニル)。

ラッパー3人によるこのユニットを、ゴニルは音楽だけではなく、その世界観を楽しんで欲しいという。

「最近は、ラッパーとかボーカリストという壁がなくなっているんじゃないかなと思っていて。今自分がいいなと思う音楽って、歌が上手いとか下手は関係なく、声とかスタイルとか、その人の考え方とか、そういうものを含めていいって思えるもので。だから自分たちも3人のこだわりや、ファッション、スタイル、そういう部分を見て好きになって欲しいです」(ゴニル)。

三人の共通点は俳優としても映画、舞台、ドラマで活躍し、高い評価を得ていることだ。歌と演じるという表現方法に、それぞれどんな思いで臨んでいるのだろうか。

「感情を使うというのが共通点だと思います。でも役者として演じるときは、自分の考えというよりは作家さんが言いたい、監督さんが伝えたいことを、僕を介して表現しなければいけない。どうすればもっとうまく表現できるかを考えるのがお芝居で、歌は自分たちが作った歌詞やメロディを、みんなに聴かせるということなので、もう少し自分に近いと思います。自分が今まで直接経験したものと、間接的に経験したものを混ぜて、本当のリアルな自分と役を、ちゃんとしたバランスをとって作品の中で自分を生かしたいという思いがあるし、音楽をやっている時は、100%以上自分でいられるので、例えば自分が作った音楽では、その音楽を歌って踊っている自分は、一番自然体なのでそこの違いはあります」(ゴニル)。

ジヒョク
ジヒョク

「歌はもう10年間やっているので、3分間の中であらゆる表現をするのは得意ですが、演技する時は時間も長いし、細かい表現も求められます。でも一から全て自分でその役、キャラを作るのはとても難しいし、役者という仕事が合っているか合っていないか、悩みはずっとあります。でも音楽は顔、感情、歌詞、ダンスで表現できます。演技は自分とは違う人になることなので、難しいです。でも音楽と演技は、人の心を動かす仕事だと思うので、両方とも大切にしたいです」(ジヒョク)。

「音楽をやっている時は、リアルな自分、ありのままの自分でいられる」(グァンス)

グァンス
グァンス

「僕は超新星(現SUPERNOVA)としてデビューするまで、子役でお芝居の仕事をしていて、偶然、超新星というグループに入っていきなりアーティスト活動を始めました。だからラップやダンスはグループに入ってから教えてもらって、最初はぶっちゃけそこまで真剣にやりたくないという気持ちもありました。まだ自分はお芝居をやりたいという気持ちが強かったのだと思います。でも日本での活動を重ねながら、自分にとってこの音楽活動がものすごく大きくて、大切なものになって。演技を観て下さっている皆さんや、音楽を聴いて下さるファンの皆さんに、夢を与える仕事をやらせていただいていると思っています。リアルな自分、ありのままの自分でいられるっていうのは、音楽だと思うので、それはグループ活動やこのユニットでの自分だと思います」(グァンス)。

「やっぱりお芝居は音楽に似ているところもあると思いますが、芸術に近いと思います。特に映画作りはそう感じます。役者という仕事は、70歳、80歳になっても完成しないと思うし、いい作品に巡り合って、それを一生懸命頑張って乗り越えて、ゆっくり時間をかけて成長していければいいと思っています。今回、このシングルを制作していて、本当に音楽が好きなんだって改めて思いました。音楽というのは時代が読めなければいけないという部分もあるので、音楽をやるということは、色々な事に常にアンテナを張っていなければいけないという緊張感を、自分に与えてくれます。それも成長につながります」(ゴニル)。

「Funky GalaxyはSUPERNOVAとは全く違うものにしたい」(ゴニル)

これからFunky Galaxyというユニット、SUPERNOVAというグループはどこに向かっていくのだろうか。

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「僕たち3人が考えているのは、Funky GalaxyとSUPERNOVAは全く違うものとして見せたいんです。別のコンセプトで、フィールドが違うと思うのでアイドルとしてというよりは、より音楽好きの人にアピールしていきたいと考えていて。4~5年後に僕たちがどうなっているのか、自分達でも楽しみです」(ゴニル)。

来年1月22日、2ndシングル「Sketch」のリリースが決定している。そして、『Funky Galaxy 2020 Live Tourスペシャル公演「Hotel Galaxy X」』を、1月19日東京・豊洲PIT、26日大阪ビジネスパーク円形ホールで行う。

Funky Galaxy オフィシャルサイト

音楽&エンタメアナリスト

オリコン入社後、音楽業界誌編集、雑誌『ORICON STYLE』(オリスタ)、WEBサイト『ORICON STYLE』編集長を歴任し、音楽&エンタテインメントシーンの最前線に立つこと20余年。音楽業界、エンタメ業界の豊富な人脈を駆使して情報収集し、アーティスト、タレントの魅力や、シーンのヒット分析記事も多数執筆。現在は音楽&エンタメエディター/ライターとして多方面で執筆中。

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