溢れるYMO愛 40周年を記念し、遺伝子を受け継ぐミュージシャンが集結 一夜限りのライヴはまさに祝祭

Photo/三浦憲治

豪華な「Yellow Magic Children Band」をバックに、豪華なアーティストが次々登場し、YMO愛溢れる歌を披露

1978年に結成、1983年“散開”、活動期間はわずか5年ながら、世界中を熱狂させた日本が世界に誇る3人組イエロー・マジック・オーケストラ(YMO)。今年結成40周年ということで、それを記念して、YMOの音楽的遺伝子を色濃く受け継ぐミュージシャンが集結した、一夜限りのYMOトリビュートライヴ『Yellow Magic Children~40年後のYMOの遺伝子~』が、3月14日、YMOと同じく、開館40周年を迎えた新宿文化センターで行われた。

高野寛
高野寛

YMOに薫陶を受けた、YMOチルドレンのミュージシャンたちが「Yellow Magic Children Band」を結成。メンバーは、「YMOは自分の源流」と語る高野寛(G,Vo)をバンドマスターに、高田漣(G,Vo,etc)ゴンドウトモヒコ(Computer,etc)沖山優司(B)白根賢一(Dr)網守将平(Key)という凄腕ミュージシャンが揃い、素晴らしい音とゲストの歌の共演に、始まる前からワクワク感が会場に充満している。

「YMOがいなければ、ここに立っていないミュージシャンが集った、一夜限りのお祭り」(高野寛)

HANA
HANA
坂本美雨
坂本美雨

高野寛が「YMOがいなければ、ここに立っていないというミュージシャンが集った一夜限りのお祭りです」と語っていたように、ステージも客席もYMO愛溢れる素晴らしい時間だった。その高野と13歳のシンガーHANAによる「CUE」からライヴはスタート。HANAのオーガニックかつ、深みを感じさせてくれる瑞々しい声が会場を包む。1994年に坂本龍一プロデュースで発表された、高野の極上のポップス「夢の中で会えるでしょう」は、手練のバンドが原曲のアレンジを忠実に再現。豊潤な音が、楽曲に彩りを与える。

“リアル”チルドレンも登場

ゴンドウトモヒコ(Computer,etc)
ゴンドウトモヒコ(Computer,etc)

リアルチルドレン、坂本美雨が登場。高野から「美雨ちゃんにとってYMOとは?」と聞かれると、少し考えて「親?」と答えると、客席が沸く。そして「坂本さんのアレンジに忠実にやります」という高野の言葉通り、坂本龍一作詞・曲の「The Other Side of Love」を披露。坂本の美しい声が広がっていく。続いて、坂本が娘のことを念頭に置き、書き下ろした「ONGAKU」を伸びやかに歌う。ゴンドウトモヒコが、軽やかに奏でるフリューゲルホルンが響き渡るイントロも印象的だった。

YUTA
YUTA
高田漣(G,Vo,etc))
高田漣(G,Vo,etc))

「Tighten Up」で「イエロー・マジック・グランド・チルドレン!」と呼び込まれたのは、ベーシスト・YUTA。太いベースがグルーヴを作り上げる。「THE MAD MEN」では高田漣がボーカルをとり、坂本がコーラス、YUTAが圧巻のテクニックで、重厚なサウンドを演出。演奏を終えるとYUTAは、祖父譲りの「火星歩行」でステージから去っていき、客席からは拍手と笑いが起こっていた。サービス精神旺盛である。

高橋幸宏のアイディアで、ニューウェーブファッションに身を包んだ野宮真貴が、「東京は夜の七時」を新しいアプローチで披露

野宮真貴
野宮真貴
カジヒデキ
カジヒデキ

「高橋幸宏さんに、衣装を相談したら『ニューウェーブでしょ』と言われたので」と、当時の雰囲気を意識した鮮やかな衣装で野宮真貴が登場すると、ステージ、空気が一気に華やかになる。まずはカジヒデキと共に「東京は夜の七時」を披露。YMOのフレーバーを散りばめた新しいアプローチだ。「君に、胸キュン。」はカジがボーカルをとる。

ファン投票1位の楽曲は「MAD PIERROT」

事前に、ファンからリクエストを募り、1位に輝いた「MAD PIERROT」を演奏。YMOの1stアルバム『Yellow Magic Orchestra』(1978年)に収録されている細野作品を、坂本と同じ東京藝大出身、1990年生まれの注目のコンポーザー・網守がアレンジ。曲全体にみなぎるスピード感と、キャッチーなメロディに引き込まれる。

片寄明人、DAOKO
片寄明人、DAOKO
白根賢一(Dr)
白根賢一(Dr)

父親がYMOのデザインチームの一人で、その影響で、小さい頃からYMOの音楽を聴いていたというDAOKOと、彼女のプロデューサーでもある片寄明人が登場。DAOKOのメジャーデビューアルバム『DAOKO』(2015年)に収録されている「高い壁には幾千のドア」を披露。ピアノのリフレインには、YMOの「体操」のリフを散りばめる。続く「在広東少年」は、坂本プロデュースの矢野顕子のアルバムに収録されている楽曲で、初期YMOのステージでも頻繁に演奏されたナンバーだ。DAOKOの、キュートで表情豊かなボーカルで生まれ変わる。白根のドラムが作り出す極上のビートが、さらに曲を盛り上げ、片寄のギターも加わり、GREAT3の音も楽しめるという、ファンには嬉しい瞬間。

「僕らよりもずっと前に、色々なものをミックスさせ、新しい音楽を作ってきた先輩たち」(宮沢和史)

宮沢和史
宮沢和史
沖山優司(B)
沖山優司(B)

高野の30年来の友人という宮沢和史が登場。まずは YMO『浮気な僕ら』(1983年)に収録されている、以前二人でカバーしたという「LOTUS LOVE」を共演。THE BOOMの代表曲のひとつ「島唄」は、宮沢が細野の影響で、沖縄の音楽に興味を持ったことをきっかけに生まれたという。「僕らよりもずっと前に、色々なものをミックスさせて、新しい音楽を作ってきた先輩たち。その先輩に憧れて僕らも色々な音楽をミックスさせた。その道をただたどるのではなく、路地を歩いて生まれた曲」と「島唄」を熱唱。会場に沖縄の風が吹いてくる。間奏部分に、YMOの「Absolute Ego Dance」のメロディと指笛をマッシュアップさせて客席を盛り上げ、沖山のシンセベースが炸裂した本編ラストの「中国女」では、原曲に忠実なアレンジの中に、このバンドならではの新しいスパイスを振りかけ、さすがのライヴアレンジ。

一曲一曲、一音一音に感じるYMO愛

網守将平(Key)
網守将平(Key)

鳴りやまない拍手に迎えられ、再びメンバーが登場し「Fire Cracker」を披露。キーボード網守が、ソロで圧倒的なテクニックを披露すると、繰り出される音の熱量に、客席の温度が上昇する。一夜限りのスペシャルなショウは終了し、最後は出演者全員がステージに登場。YMOの遺伝子をしっかりと表現したそのパフォーマンスに、客席から大きな拍手が贈られた。一曲一曲、一音一音にYMO愛とリスペクトを感じる事ができた、素晴らしいライヴだった。バンマスであり、このライヴを企画した高野寛に改めて、大きな拍手を贈りたい。

現在、YMO40周年リイシューシリーズ、第1弾の『イエロー・マジック・オーケストラ』『イエロー・マジック・オーケストラ<US版>』『ソリッド・ステイト・サヴァイヴァー』の3作に続き、第2弾『増殖』『パブリック・プレッシャー』が発売中だ。「YMO40」オフィシャルサイトでは、YMOと深い関係のアーティストや関係者の対談動画や、様々なオリジナルコンテンツ、今後のラインナップの発売情報が、随時アップされている。