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福岡から全国へ、注目の10神ACTOR初の連続ドラマが話題 脚本家・池浦さだ夢氏が語るその魅力

田中久勝音楽&エンタメアナリスト

10神ACTORとは?『10神スパイ大作戦~コード・バリカタ~』とは?

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九州出身・在住者で構成される、福岡を拠点に活動する人気上昇中の10人組ボーイズ・エンターテインメント集団・10神ACTOR(テンジン・アクター)。彼らが初の主演を務める連続ドラマ『10神スパイ大作戦~コード・バリカタ~』が、地上波10局で放送され、話題を集めている。10神ACTORが全員実名で出演し、タレントである同時に正義の組織であるFSK(福岡スパイ協会)所属のスパイとして、二足のわらじを履き地下組織や裏組織から、福岡の街を守るというストーリーで、メンバーの岡進太郎、北田祥一郎、坂田隆一郎、関岡マーク、中島裕貴、松島勇之介、三岳慎之助、山田健登、MOTOの他に、10神ACTORとはゆかりの深い京都の劇団・ヨーロッパ企画の石田剛太、酒井善史、土佐和成、永野宗典、そしてNHK朝の連続ドラマ『まんぷく』に出演中の注目の女優・小川紗良が、レギュラー出演している。

ドラマの脚本を手がける、池浦さだ夢氏が“スパイコメディ”に込めた思い

このドラマの脚本を手掛けるのは、注目の京都のダンスカンパニー・男肉 du Soleil(オニク・ド・ソレイユ)の団長で、演出・脚本家の池浦さだ夢氏。池浦氏にこの“スパイコメディ”に込めた思い、そして10神ACTOR(以下10神)というグループが持つ可能性について、話を聞いた。

『10神スパイ大作戦~コード・バリカタ~』の脚本を手掛ける、京都のパフォーマンス集団・男肉 du Soleil団長・池浦さだ夢氏
『10神スパイ大作戦~コード・バリカタ~』の脚本を手掛ける、京都のパフォーマンス集団・男肉 du Soleil団長・池浦さだ夢氏

「10神との出会いは、2018年1月に彼らの舞台の演出をやらせていただいたのがきっかけでした。最初、会うまでは、独断と偏見で(笑)、地方のイケメンアイドルって、もっと売れたいんだけどって拗ねていて、イケメンやからいけ好かない、ちょっと意地悪な子たちやったら堪らんなと思ってました(笑)。でも実際に会うと、よくも悪くも業界ぽくないというか、素直でカッコいいんですけど、いい意味で一般の人の匂いがするというか。でもオーディションで選ばれているので、タレント力というか、やっぱりもっているものはもっているんですよ。舞台の稽古と本番合わせて、1か月間福岡に住んで、一緒に芝居をやりながら彼らの面白いなって思ったこととか、記憶に残ったことを今回のドラマのストーリーに生かしました。毎日、天神の風を浴びながら、彼らとご飯を食べたりして、その人となりもわかっているので、そこを強調したり、そういう意味では本は書きやすかったです」。

「全員実名で出演しているので、一話一話メンバーのキャラを浮かび上がらせ、彼らの良さが引き立つような内容にした」

10神のことをそう評価する池浦氏だが、舞台を一緒に作り上げたことから、メンバー一人ひとりのキャラや性格を把握し、それが今回のストーリーに生かされ、全員が主役になっている。10神は福岡を中心に、歌、ダンスを中心としたライヴ活動、テレビ、ラジオ、舞台、ラジオなど全方位で活動し、コントや漫才、ラップにもチャレンジしており、先日行われたツアーでは、コントの台本をメンバー自身が手がけるなど、マルチな才能を有する集団だ。

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「今回のドラマの素というかネタは、元々舞台をやるにあたって考えた、企画の中のひとつでした。スパイものが個人的に好きということもありますが、10人いてアベンジャーズ感があるというか、色々な個性のやつがいて、一つのチームで何かをするってなった時に、ヒーローものとかでも面白いんですけど、それはちょっと子供っぽすぎるというか。リアルではないですけど、そういうのをやった時に、スパイってどこかスタイリッシュな感じの、かっこよくもできるし、その中でおバカなこと、コメディとかも書けるので、それを合わせると面白くなると思いました。それでプロットを考えて、一話一話メンバーのキャラを浮かび上がらせるように、この回はラップの回だとか、この回は(関岡)マークの映画みたいな回だとか、彼らの良さが引き立つようなものにしました」。

「自分の劇団でもやっているように、男だらけの現場が発する熱量はすごいと思いますが、その中で小川紗良の抜群の清涼感、ヨーロッパ企画の皆さんの存在は大きい」

10神は今回が連続ドラマ初主演、さらに初の全国エリアネットでのオンエアということで、メンバーのみならず、池浦氏も特別な思いで作品に取り組んでいる。

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「10神が初めて主役を務めるドラマが、これまで活動の拠点としてきた九州エリアだけでなく、北は北海道、西は福岡まで各地で放送され、『みなさん、初めまして』という感じなので、もちろん一人一人を主役にしているし、僕も連ドラを全話自分でやるというのが初めてだったので、僕は僕で勝負でもあったし。でも自由に伸び伸びとやらせてもらって、全員の熱い思いが、ドラマに昇華されていると思います。僕が自分の劇団でもやっているように、全員がグシャってなる、男だらけの現場が発する熱量はすごいと思いますが、そこに小川紗良の抜群の清涼感が加わって、いい空気が生まれていると思います。それとヨーロッパ企画の皆さんは、カレーの福神漬けのような(笑)、いい仕事をしてくれています」。

「USJの、とにかく人を喜ばせるためにいい意味で節操がないところが好き。自分の劇団もこのドラマにも通じるものがある」

池浦氏が団長を務める、京都のダンスパフォーマンス集団・男肉 du Soleilがやっていることと、『10神スパイ大作戦』が目指している世界観とは親和性があり、そこも熱量の高さにつながっていると池浦氏は言う。

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「融合性はすごくあって、10神のいいところってマルチなところで、僕はUSJがすごく好きで。USJってディズニーランドのようにストレートな夢の世界を描くだけではなく、色々なものとコラボレーションしたり、とにかく人を喜ばせるために、いい意味で節操がないところがよくて(笑)。僕は、元々ゲームやアニメ、マンガからのオマージュや引用を組み合わせて、自分の舞台を作っていて、そもそもダンスも芝居もやってという感じだったので、情報過多でもどんどん上に重ねていくのが好きなんです。そういう意味では今回のドラマは、10神のマルチな感じと融合させてできあがったものです」。

「ハリウッド映画でやることを、ドラマの規模に合わせてギュッと圧縮してできることをやる」

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『10神スパイ大作戦』は、30分番組ながら、画面から感じる熱量や情報量の多さが圧倒的だ。「このドラマは、情報過多で、置いてけぼりになるくらいの方がいいのではと思って書きました」と池浦氏が言うように、60分、90分番組でもおかしくないほどの濃度の高い内容を、30分の中で観せるのだから、当然濃い30分になる。

「単純にハリウッド映画が好きで、しかもB級ハリウッドアクションとかが大好きで。もちろん『ミッション:インポッシブル』とか『アベンジャーズ』とか大作といわれるものも観ますが、そういうハリウッド映画でやることを、このドラマの規模に合わせてマクロ、ミクロにギュッと圧縮してできることをやろうという感じです。戦うシーンは、本当はハリウッドみたいな大がかりなものにしたいけど、当然そんな予算もないので、全部実況でやろうとか(笑)。DVDで観直さないとわからないようなものを作ろうというのが、基本的なスタンスです。パッと観だと18%くらいしか伝わらないと思うので(笑)、でも観直すと150%楽しめる、そんな理解の範疇のひとつ先をいきたいというのは、いつも考えていました」。

「脚本家、演出家として、10神は面白い素材。次は何をやろうか、勝手に考えてしまう」

ドラマの撮影は先日クランクアップし、改めて10神ACTORという“素材”について聞いてみると、「いち作家、演出家から見てあの10人は面白い素材だと思うので、次もし何か一緒にやるとしたら何が面白いかな、ということは勝手にぼんやりと考えたりします。例えば、山で遭難して脱出しようとする10人のサバイバルな感じの物語とか……でもむちゃくちゃお金かかりそうですけど(笑)」。

10神ACTOR オフィシャルサイト

音楽&エンタメアナリスト

オリコン入社後、音楽業界誌編集、雑誌『ORICON STYLE』(オリスタ)、WEBサイト『ORICON STYLE』編集長を歴任し、音楽&エンタテインメントシーンの最前線に立つこと20余年。音楽業界、エンタメ業界の豊富な人脈を駆使して情報収集し、アーティスト、タレントの魅力や、シーンのヒット分析記事も多数執筆。現在は音楽&エンタメエディター/ライターとして多方面で執筆中。

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