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人気ミュージカルスター・濱田めぐみが、熱いセッションを繰り広げ、圧巻の歌を披露

田中久勝音楽&エンタメアナリスト

ミュージカルスター・濱田めぐみが、3人のアレンジャー、豪華ミュージシャンと共に一夜限りのセッション

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現在、IHIステージアラウンド東京で上演されている、宮藤官九郎脚本の注目の舞台、『新感線☆RS「メタルマクベス」disc1』に出演しているミュージカル女優・濱田めぐみが、『Sound Inn “S”』(BS-TBS)で、圧巻の歌を披露―――“時を超えた、ここでしか聴くことのできないサウンド”がコンセプトの『Sound~』で、彼女は3人のアレンジャーとがっぷり四つに向き合い、数々の名曲を披露したが、1曲1曲のいい意味での“破壊力”は、まさに圧巻。スタジオが感動に包まれた。

濱田は1995年劇団四季に入団し、わずか3カ月後に『美女と野獣』のヒロイン、ベル役に抜擢されデビューを飾る。その後、同劇団の『ライオンキング』の初演、『アイーダ』の初演、『ウィキッド』の3作品でヒロインを務め、看板女優として15年間在籍した。退団後も数多くの作品に出演し、ミュージカルシーンにはなくてはならない存在、“ミュージカル界の女王”の異名を持つ。そんな彼女が、日本を代表する3人のアレンジャーと凄腕ミュージシャンが揃うバンドと共に、思い入れの強い曲を、一夜限りのアレンジで披露してくれた。

ちあきなおみ「黄昏のビギン」は、繊細な表現力でその世界観を伝える

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1曲目は、十川ともじのアレンジで「黄昏のビギン」(1959年)を披露。この曲は彼女が「コンサートでも必ず歌う」という、尊敬する昭和の名歌手・ちあきなおみがカバーしたことで有名になり、以後多くのシンガーがカバーしているスタンダードナンバーだ。濱田のパフォーマンスはその指先の動き、表情、視線、どこまでも繊細な表現力で、歌の世界観を伝え、引き込まれてしまう。まさに“濱田めぐみ劇場”だ。でも決してオーバーパフォーマンスではなく、歌を伝えようとするその“姿勢”に感動する。十川は「声の出し方が滑らかで、ちあきなおみさんへのリスペクトが詰まったいい歌になりました」と、絶賛していた。

「ミュージカルのオーディションで何回も歌った」思い入れの強い名曲

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2曲目は濱田が「ミュージカルのオーディションで何回も歌った」という、思い入れの強い曲、コーラスラインから「What I Did For Love」。先日亡くなった、劇団四季の創設者・浅利慶太氏が、訳詞を手掛けている作品でもある。アレンジは斎藤ネコ。アレンジポイントを「曲のテンポ」に置き、ミュージカルの楽曲を誰が聴いても心地よく感じる、ポップなサウンドで表現。リハーサルでは、反対に濱田がテンポを握る、テンポフリーバージョンをピアノ一本で披露するなど、スタジオセッションならではのシーンもあった。斎藤は「どんな歌い方でもできる。職人気質を感じた」と、ミュージカルスターの歌の表現力に脱帽していた。

越路吹雪に敬意を表して「愛の賛歌」。「この曲は普通の人生を送っていたのでは歌えないくらい深い歌」

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濱田めぐみと服部克久
濱田めぐみと服部克久

3曲目は越路吹雪が歌ったことで、誰もが知る曲となった、エディット・ピアフの「愛の賛歌」に初チャレンジ。アレンジは日本を代表する音楽家・服部克久。濱田は「大先輩である越路吹雪さんは憧れの存在。いつか歌いたいと思っていました」と、昭和の大歌手に敬意を表し、この歌を歌える幸せをかみしめていた。越路と面識がある服部は「愛の賛歌」について、「彼女は単にラブソングを歌うのではなく、実体験や経験を歌に映すから、聴き手に伝わる」と、越路の歌が多くの人から支持される理由を教えてくれた。本番直前、濱田は「私は舞台の上で色々な人生を生きています。でもこの曲は普通の人生を送っていたのでは歌えないくらい深い歌。自分の中から出てくるものをそのまま出して歌ったらどうなるのか。歌ったあとが楽しみ」と語り、歌い始めた。歌を引き立てる、服部の繊細かつ心を震わせる美しいアレンジと、彼女の情感豊かな歌とがひとつになって、まさに名演となった。一夜限りというどこか儚さも手伝って、忘れられないテイクになったはずだ。

「歌うことでどんどん元気になっていく。自分が根っからの歌好きということが再確認できたセッションだった」

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収録を終えた濱田は、この日のセッションについて「歌うことによって、ポジティブなエネルギーがどんどん出てきて、元気になっていくのがわかりました。根っから歌が好きなんだということを再確認できました。聴いている人が、まるでその歌の世界の中にいるような感覚になるような歌を、これからも歌い続けたい」と語っていた。

セッションというスタイルから出てくる、“エネルギー”により、濱田のパフォーマンスが、徐々に熱を帯びてくる、その一部始終を楽しんで欲しい。ミュージカルスターの圧倒的な歌のうまさと、表現力に改めて感動するはずだ。『Sound Inn“S”』は8月18日(土)23時からBS-TBSでオンエアされる。

『Sound Inn “S”』オフィシャルサイト

音楽&エンタメアナリスト

オリコン入社後、音楽業界誌編集、雑誌『ORICON STYLE』(オリスタ)、WEBサイト『ORICON STYLE』編集長を歴任し、音楽&エンタテインメントシーンの最前線に立つこと20余年。音楽業界、エンタメ業界の豊富な人脈を駆使して情報収集し、アーティスト、タレントの魅力や、シーンのヒット分析記事も多数執筆。現在は音楽&エンタメエディター/ライターとして多方面で執筆中。

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