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顔を出さずとも、“圧倒的な親近感”でファンを増やし続けるGReeeeN 12年目の新鮮さ

田中久勝音楽&エンタメアナリスト

『うれD』は、10周年イヤーを機に、またフレッシュな気持ちで音楽を奏でるという4人の意志表示

『うれD』(4月11日発売)
『うれD』(4月11日発売)

GReeeeNが、ニューアルバム『うれD』を4月11日にリリースする。“うれしいを通りこしてもはやうれD”という意味のタイトルのこの作品は、デビュー12年目に突入しても全く新鮮さを失わないどころか、さらにフレッシュさが増ている。今回の作品には、話題の映画『ママレード・ボーイ』(4月27日公開)の主題歌「恋」を始め、昨年NEWSに提供した「U R not alone」のカバー、東京ワンピースタワーテーマソング「4 ever ドーン!!!!!」などの新録曲の他に、GReeeeNを題材にした映画『キセキ-あの日のソビト-』(菅田将暉、松坂桃李W主演)の主題歌「ソビト」、フジテレビ系の平昌オリンピック中継テーマソングだった「ハロー カゲロウ」の強力既発曲、そして「ユメノート」「福ある島」「キミマツ」など初CD収録のタイアップ曲や、映画『キセキ~』で菅田将暉ら、グリーンボーイズもカバーしたGReeeeNインディーズ時代の名曲「声」が、新たにセルフカバーされ「声 〜koe2018〜」として収録されるなど、とにかく盛り沢山だ。

『ALL SINGLeeeeS~& New Beginnings~』(2017年1月24日発売)
『ALL SINGLeeeeS~& New Beginnings~』(2017年1月24日発売)
1stアルバム『あっ、ども。はじめまして。』(2007年)
1stアルバム『あっ、ども。はじめまして。』(2007年)

盛り沢山といえば、デビュー10周年イヤーの2017年もかなり賑やかな一年だった。初のさいたまスーパーアリーナ公演、夏には5度目の全国ツアーを敢行、そして映画『キセキ~』の公開、そしてベスト盤『ALL SINGLeeeeS~& New Beginnings~』を発売。これまでの集大成的な雰囲気を醸し出しつつも、次の10年に向かうべく新たなスタートを切るんだという4人の意志は、ベスト盤のタイトルに含まれる“New Beginnings”という言葉にも表れている。そして、この『うれD』というアルバムを早く届けたかったという、想いが伝わってくる。『うれD』のジャケットをよく見ると、記念すべき1stアルバム『あっ、ども。はじめまして。』(2007年6月)のジャケットにも登場している、あの外国人が顔をのぞかせている。これからもフレッシュな気持ちで音楽を奏でていくんだという、4人の気持ちの表れだ。

2007年のデビュー以来、様々なシーンで鳴り続けるGReeeeNの音楽

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思えば2007年のデビュー以来、GReeeeNの名前と音楽が、聴こえてこない日はなかった。それは様々なテレビドラマ主題歌、テレビ番組、CMソング、映画主題歌、スポーツ選手の登場曲他、あらゆるシーンでGReeeeNの音楽は“鳴っている”。その親しみやすいメロディと真っ直ぐな言葉は、世代を超えて愛され、どんなシーンでも“応援歌”として人々の心を時には癒し、時には鼓舞してくれる。彼らは、メンバー全員が歯科医師免許を持ち、医療との両立のために顔を出さずに音楽活動を続けている。歌っている表情がうかがい知れないからこそ、どんな映像とも親和性が高いともいえる。顔を出さない事で、その歌の世界は聴き手の想像力をさらに掻き立てる。しかし、一般人でありながらもミュージシャンとして活動しているという事実は、誰もが知るところで、だからこそ飾らないどこまでも真っ直ぐなメッセージを、わかりやすく明るく伝える事で、より身近に感じ、共感、共鳴できるのではないだろうか。

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GReeeeNは顔は見えないが、その“圧倒的な親近感”がファを虜にし、愛され続けている。昨年のさいたまスーパーアリーナ公演では、1万6千人を動員。顔を出さないからこそ、最新のVR技術を使った、新しいエンターテインメント空間を生み出すことができ、ファンはこれまで経験した事がない空間で、リアルな言葉を投げかけられ、若いファンも親子2代で来ているファン、老若男女全てのファンが、胸を撃ち抜かれる。

新生活がスタートしたこの時期、GReeeeNの歌に希望を感じる人が多い

GReeeeNの音楽は老若男女に愛されていると書いたが、それは彼らの音楽性にも要因がある。歌詞については先述したが、どこかフォーキーな素朴さと、光と影を感じさせてくれるメロディ、ドラマティックなコード進行の曲を、4人の異質な声の混成が、情感豊かなものにして、聴き手の心に届ける。幅広い層の聴き手が違和感なく受け取れる。

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ニューアルバム『うれD』も、変わらずその“圧倒的な親近感”をまとい、そこにHIDE、navi、92、SOH、メンバー4人の、まさに“ニューフレッシュ”宣言とでもいうべき、新鮮な空気が充満している。新生活がスタートするこの時期、この季節に、GReeeeNの言葉とメロディに希望を感じる人が多いはずだ。1stアルバム『あっ、ども。はじめまして。』を聴き、GReeeeeNの音楽にハマった人が多かったように、『うれD』を聴いて、同じく“GReeeeNの事が気になる”人が増えそうだ。

GReeeeNオフィシャルサイト

音楽&エンタメアナリスト

オリコン入社後、音楽業界誌編集、雑誌『ORICON STYLE』(オリスタ)、WEBサイト『ORICON STYLE』編集長を歴任し、音楽&エンタテインメントシーンの最前線に立つこと20余年。音楽業界、エンタメ業界の豊富な人脈を駆使して情報収集し、アーティスト、タレントの魅力や、シーンのヒット分析記事も多数執筆。現在は音楽&エンタメエディター/ライターとして多方面で執筆中。

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