総選挙の各党の環境と森林・林業政策を見てみた

(写真:ロイター/アフロ)

 すでに選挙戦も終盤。

 今回の解散総選挙は、あまりに突然で目的も争点もわからない有り様なので、各党とも公約づくりには苦労しているようだ。憲法改正や消費増税、原発政策……などをあわてて盛り込むのが精一杯で、環境分野や地方創生・農林業分野は手薄になっている。

 それでも今更ながら、各党の公約の中に森林や林業に関わるものにどんなものがあるかチェックしてみた。

 自民党と公明党は、与党のせいかあまり以前と変わらない。

 林業の成長産業化を謳い、森林の管理経営を集積・集約化するとか、林道・作業道の整備を支援するとか。そして公共建築物等の木造化、CLTの利用促進、木質バイオマスの利用促進……。

 少し目立つのは両党とも「森林環境税(仮称)の創設」だろうか。ようするに増税である。国民から森林整備を名目に一人当たりいくらか取り立てようという案である。

 しかし、同様の森林環境税は、すでに37府県と横浜市が独自税として導入しており、それとは別に国が同じ名目で課税すれば「二重課税」になる代物だ。しかも、使い道は市町村に直接渡して任せるというのだから、都道府県からすれば国から頭ごなしに地域政策に手を突っ込まれるようなものである。

 消費税の引き上げの可否は騒がれているが、こっそり別の増税案も出ていることに注意しよう。

 希望の党は、農林水産業に関してはほとんど触れていないが、「花粉症ゼロ」を掲げている。「ゼロ」と謳うのは標語みたいなものだと大目に見るとしても、いったいどうやって花粉症をなくすのか方策が何も示されていない。そもそも可能なのか。

 この場合、イメージしているのはスギ花粉症なのだろうが、ヒノキ花粉症もあればシラカバ花粉症もある。ほか里山林の多くを占めるコナラやクヌギ、クリの花粉症も。これらを合わせると、日本の森林の半分を超えるのではないか。さらにブタクサやイネの花粉症も見つかっているのだから、花粉症の元を絶つとしたら、もはや日本の森林や農業を壊滅させなければ花粉症はなくせないだろう。

 せいぜい花粉症を根治できる医薬品の開発をめざすしかないが、これは言われなくても多くの医薬品会社が取り組んでおり、それでもなお開発できていないのだ。あと何十年かかるだろうか。

 立憲民主党は、設立も急なら公約も急ごしらえだが、「農業者戸別所得補償制度」や「森林・林業再生プラン」が入っている。これらは、旧民主党時代にも立てられて政権時に一部実行に移された政策である。この2点は、社民党も同じ。

 前者は林家にも関わるだろう。一方「森林・林業再生プラン」は、私は当時停滞していた林業政策を大胆に動かしたという点では評価していたが、肝心の方向性が林業の規模の拡大ばかりで、逆に森を荒らしたのではないかと思っている。その反省なり新しい方向性が見えない。そもそも現政権下でも、名前は消えても一応は同じ路線が取られている。

 むしろ気になるのは、立憲民主党には「パリ協定に基づく地球温暖化対策の推進」が入っていることだろうか。ほとんど無視してきたようなパリ協定を取り上げれば、おそらく森林政策にも関わって来るだろう。

 社民党で面白いのは樹木葬で森づくり……なんてのが入っていること。これ、私の著作『樹木葬という選択』のテーマというか、提言である。ちょっぴり好感(笑)。

 共産党は、農林漁業の振興を地域振興の柱としつつ、林業に関して具体策は「公共建築への国産材利用促進」ぐらいか。

公共建設など建設全体の7%ぐらいしか占めないし、現政権でもやっていること。むしろ税金で国産材使っても業界の構造改革は進まないどころか改革努力の芽を摘みかねない。民間が国産材を使いたくなる仕組みが必要なのだが……。

 日本維新の会は、いくら探しても農林水産業に触れている箇所が見つからなかった。もともと環境や森林には興味を持っていない政党である。「日本のこころ」も一緒だ。

 以上、いずれもパッとしない。どうも森林・林業政策に関しては、与野党とも変わり映えがしない現状維持か、荒唐無稽な目標を掲げるのが精一杯の印象だ。

 ただ農林水産業は地味だが、地方の浮沈、そして地球規模の環境につながる問題であることをお忘れなく。