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復活『クレイジージャーニー』ゴールデンタイムでも危険映像が続々、一方で松本人志の発言に唯一「ピー音」

田辺ユウキ芸能ライター
(写真:アフロ)

10月17日、『クレイジージャーニー』(TBS系)のレギュラー放送が再スタートした。

同番組は、独自の視点やこだわりを持って世界や日本をめぐる旅人たちに同行するなどし、そこで遭遇する危険な出来事、特異な体験を放送するもの。2015年4月より約4年半にわたって深夜帯でレギュラー化され、その過激かつ好奇心をくすぐる内容が好評をあつめて人気番組となった。ところが2019年8月14日放送回の内容のなかにやらせがあったことが発覚。同年9月4日の放送回をもって終了した。

しかし2021年5月19日大復活2時間スペシャルが再スタートのきっかけとなり、そして今回、ゴールデンタイム(月曜日夜9時)でのレギュラー放送で完全復活。

その初回放送では、危険地帯ジャーナリストの丸山ゴンザレスが、麻薬ビジネスを追いかけるためにパナマとメキシコへ。奇界遺産フォトグラファーの佐藤健寿は、ノルウェー領スヴァールバル諸島のスピッツベルゲン島にある、「世界最北のゴーストタウン」のピラミデンへと渡った。

ギャングに接触した丸山ゴンザレス、一歩踏み込んだ視点の佐藤健寿

SNSでは当初、ゴールデンタイムへ進出したこと、そして昨今のコンプライアンスの状況から、同番組特有の刺激が薄まっているのではないかと不安視する声もあがっていた。だが、それは杞憂に終わった。番組進行役の松本人志(ダウンタウン)が「1発目からきましたね」と話したように、かなり攻めた内容となっていて非常に見ごたえがあった。

たとえば丸山ゴンザレスと番組スタッフはパナマで、殺された仲間の報復に向かう直前だったギャングチームと接触。机の上に置かれたピストル、顔を隠したギャングのメンバーたち、さらに忠誠心の証明として弾を抜いたピストルを握らされる丸山ゴンザレスの姿など、観る側も息をすることを忘れるくらい緊張感あふれる映像が流された。さらにメキシコでは、野外で大麻を吸う女性の様子、さらに殺人事件現場で毛布に包まれた死体などをとらえた。

ちなみに丸山ゴンザレス、佐藤健寿、ともにすばらしかったのは鋭い観察眼である。丸山ゴンザレスは、ギャングチームのリーダーの衣類にペンキがついており、体も筋肉質であることから「ちゃんと働いている人物じゃないか」と推測。働いて金を稼ぐ大変さを知っている人物だからこそ「リーダーに会ったとき、安心するところがあった」とし、取材が成り立つことを確信したという。

佐藤健寿も、旧ソ連時代の文化や生活の名残がそのままとなっているピラミデンの廃墟のなかで、極秘書類を保管している部屋の隠し扉に気づいたり、KGB(ソ連国家保安委員会)が使用していた部屋の扉の分厚さを指摘したり、一歩踏み込んだ視点で状況を伝えてくれた。

松本人志が発した単語にコンプラ、視聴者「ピー案件なのか」

そうやって腰を引くことなく、ゴールデンタイムの番組としてかなり挑戦的な番組構成となっていた復活版『クレイジージャーニー』。

デンジャラスな場面を放送する一方、「そこは気にしなければならないのか」と落差の大きさに思わず笑ってしまったのが、松本人志のとある発言に「ピー音」が入った部分である。

それは佐藤健寿がグスタフ・ヴィーゲランの彫刻が並ぶ公園を訪れた際、裸の男児が怒っている作品『おこりんぼう』を鑑賞するVTRが流れたあとのこと。松本人志は、彫刻の男児の性器がやや硬直しているのではないかと気づき、それを単語としてコメントした(ここはある意味、松本人志の観察眼が光ったと言える)。そこで今回、唯一の「ピー音」がかぶせられ、またテロップも「伏せ字」となった。以降も松本人志は、「小さいときは怒るとそうなることがある」など丁寧に説明。ただやはり、単語については「コンプライアンス」に配慮した編集がなされた。

SNSでも、その単語について「ピー案件なのか」「この時間だとダメなのか」と笑いが起きていた。スリリングな映像の数々は問題なく、その単語はテレビ番組的にNGというギャップから生じた、ねじれたおもしろさがあったのではないだろうか。

ゴールデンタイム版『クレイジージャーニー』は今後、どこまでがセーフでなにがアウトなのか、試金石的なものになるかもしれない。

芸能ライター

大阪を拠点に芸能ライターとして活動。お笑い、テレビ、映像、音楽、アイドル、書籍などについて独自視点で取材&考察の記事を書いています。主な執筆メディアは、Yahoo!ニュース、Lmaga.jp、Real Sound、Surfvote、SPICE、ぴあ関西版、サイゾー、gooランキング、文春オンライン、週刊新潮、週刊女性PRIME、ほか。ご依頼は yuuking_3@yahoo.co.jp

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