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『FNSラフ&ミュージック』で激震、松本人志はなぜ太田光に『M-1』審査員を「公開オファー」したのか

田辺ユウキ芸能ライター
(写真:つのだよしお/アフロ)

9月10日に放送された特番『FNSラフ&ミュージック2022〜歌と笑いの祭典〜』(フジテレビ系)の第1夜。

2021年夏の第1弾につづいて今回も「歌と笑いの融合」をテーマとし、松本人志(ダウンタウン)、中居正広、ナインティナインらの進行のもと、多数のミュージシャンや芸人が出演した。

松本人志が生放送中にオファー「『M-1』の審査員とかやらへんの?」

同番組の第1夜最大の目玉となるはずだったのが、Snow Manと吉本大喜利苦手芸人が大喜利で競い合う「生IPPONグランプリ」。両軍ともにスベり倒して得点がなかなか伸びない状況となり、SNSでは「地獄絵図」「放送事故」との声があがった。ただ「笑えなさすぎて逆におもしろい」というねじれた展開が見どころだった。

しかし、同番組の本当のトピックスはそのあとに控えていた。ユルさや楽しいムードいっぱいの同番組に、一瞬だけ緊張感が走った。それは「生IPPONグランプリ」につづいて、ネタをおこなった空気階段、爆笑問題が参加したトークコーナーである。

同コーナーでは、太田光(爆笑問題)が登場するやいなや「まっちゃん(松本人志)とは共演NGなのに」「今は一緒に住んでいる」など、以前流れていた「犬猿の仲」の噂をネタにするなどして場を荒らしまくった。さらに「ダウンタウンさんと爆笑問題さんに憧れていた」と感無量の表情で語る水川かたまり(空気階段)に対し、飛沫防止の仕切り板をいきなりぶつけるなどやりたい放題。太田光らしさを見せ、同じくトークコーナーに出演した演歌歌手・石川さゆりも苦笑いを浮かべるほどカオスな状況に。

しかし、そんな混乱のなかで身が引き締まる瞬間があったのだ。松本人志が太田光に対して、「マジで聞きたいんやけど、『M-1』の審査員とかやらへんの?」と問いかけたのである。

松本人志、太田光、互いのリスペクトがオファーにつながった?

写真:Splash/アフロ

生放送中の「公開オファー」ととれる、この発言。さすがに冗談やリップサービスでこんなことは言えないはず。実際、毎年『M-1グランプリ』の審査員をつとめてきた上沼恵美子、オール巨人(オール阪神・巨人)が、2022年大会はその座を辞退すると公言している。つまり2022年は現状、いくつかの席が空く予定なのだ。

前述したように、かつて「不仲」とささやかれていた両者。ただ2014年の『笑っていいとも! グランドフィナーレ』(フジテレビ系)で同じステージにあがった際に言葉を交わしたと言われており、そこから雪解けの気配が漂った。2021年の『FNSラフ&ミュージック』などでもふたりは顔を合わせており、2022年も今回だけではなく、10月8日放送の特番『お笑いの日2022』(TBS系)でも共演予定だ。

たしかに関係性に進展があったことも「公開オファー」の要因のひとつになっているだろう。しかしそれ以上に、松本人志が爆笑問題や太田光のパフォーマンスをリスペクトしているからこそ、異例の「公開オファー」につながったはず。

もちろん逆も然りだ。太田光が番組内で、4月3日開催『伝説の一日』でダウンタウンが約31年ぶりに漫才を披露したことについて「あんなの見逃せないじゃない。ダウンタウンが久々に漫才をやるなんて、そりゃ興味はありますよ。会員になって(配信チケットを買って)観ましたよ」と語ったところも、ダウンタウンへの敬意が感じ取れた。

お互いがお笑い芸人として認め合っていることが、番組を通してはっきりと伝わってきた。実はとても重要かつ感動的な場面だったのではないか。

漫才練習で声を枯らした太田光の真摯な姿勢

あと太田光が漫才終了後、声をガラガラに枯らしながらトークコーナーにやってきたところも、松本人志の琴線に触れたように思えた。

太田光は「(事前に)漫才の練習をしすぎた」とガラガラ声の理由を説明。まわりから「真面目」と笑われたが、どれだけ破天荒なことをやっても漫才に真摯に向き合うその姿勢に、松本人志は好感を持ったのではないだろうか。

『M-1』の審査員をオファーされたとき、太田光は「やらない。審査員なんかできないですもん。またどうせボケちゃうし。俺は絶対に我慢できないから。1点とかいれちゃうもん」と首を横に振った。ただこのときの太田光の表情や身振り手振りは、「どう反応して良いか分からない」という感じがした。焦っているようにも見えたし、どこか嬉しそうでもあった。松本人志はそれに対して、ほとんどコメントをしなかった。勝手な推測ではあるが、真剣なオファーだからこそ多くを語れなかったのではないか。

松本人志のなかにはもともと、太田光を審査員として迎えるプランがあったのかもしれない。そして番組内で垣間見せた太田光の漫才への向き合い方などに触れて、あらためて確信を持ち、決意の「公開オファー」へと至ったのではないか。

『M-1』決勝まで、あと約3か月。「審査員・太田光」の姿が観たいお笑いファンは多いはずだ。

芸能ライター

大阪を拠点に芸能ライターとして活動。お笑い、テレビ、映像、音楽、アイドル、書籍などについて独自視点で取材&考察の記事を書いています。主な執筆メディアは、Yahoo!ニュース、Lmaga.jp、Real Sound、Surfvote、SPICE、ぴあ関西版、サイゾー、gooランキング、文春オンライン、週刊新潮、週刊女性PRIME、ほか。ご依頼は yuuking_3@yahoo.co.jp

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