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モグライダーが語る「勝負ネタの出しどころ」、『M-1』優勝候補たちは決勝までどのように戦い抜くのか

田辺ユウキ芸能ライター
モグライダーの芝大輔(左)、ともしげ(右)/写真提供:関西テレビ放送

8月1日より『M-1グランプリ 2022』の予選1回戦がスタートした。今回もお笑い芸人たちが、12月にひらかれる決勝戦を目指して熱戦を繰り広げる。

ここで気になるのが各組の「勝負ネタ」だ。予選から準決勝までどういう持ちネタで戦い、そして決勝に進んだ場合はどのネタをピックアップするのか。なかでも注目度の高い賞レースで結果を残しているコンビらは、そういった舞台ですでに「勝負ネタ」を披露してしまっている場合がある。『M-1』ではネタの新鮮さやサプライズ感も勝敗を左右することから、一度広く知られてしまったネタは出しづらくなるのではないだろうか。

9月17日、18日に大阪工業大学常翔ホールで開催される『TOKYO GEININ COLLECTION』は、まさに出演芸人の「本気の勝負ネタ」にクローズアップしたライブイベントだ。

『M-1』など年末の各賞レースのことを考えると、こういった場で「勝負ネタ」をどんどん見せてブラッシュアップする方が正解なのか、それとも温存して新鮮さやサプライズ感を高めた方が良いのか、芸人によって判断が分かれるところだろう。

芝大輔「僕らは、まわりの芸人ほど『勝負ネタ』を意識しなくて良い」

『TOKYO GEININ COLLECTION』に出演するモグライダーに、その点についてインタビューをおこなったところ、芝大輔からこんな答えがかえってきた。

「僕らのネタの場合は、漫才のシステム的にもやるたびに中身が違うので、そのあたりはまわりの芸人よりも意識はしていないんです。あとライブでは、僕らは言っちゃいけないことも言うし、時間もあまり気にせずやる。ただテレビの賞レースだとそうはいかないじゃないですか。時間もきっちり守らなきゃいけないし。だから僕らは基本的に、舞台と『M-1』などの賞レースの場では、同じネタでもやっていることがかなり変わってくるんです」

一方の相方・ともしげは「本当におもしろいネタであれば、何度観ても笑えるはず」と分析する。

「尊敬する先輩のアンタッチャブルさんは、『M-1』で優勝した2004年の準決勝を大阪で受けたらしく、そこでイチウケしたと聞きました。僕は以前まで、ウケなかったときは『お客さんが悪い』とか言っちゃってたんですけど、おもしろい人って場所とか状況って関係ないんだなって、そのエピソードを聞いて思いました。あと『勝負ネタ』は出し惜しみせず、言葉はアレですけど練習のつもりでたくさんやった方が良い。僕らは今年も『M-1』に出ますが、自分に言い訳せず、いろんなところで『勝負ネタ』をぶつけていきたい。そして『このネタだったら笑ってもらえるんじゃないか』とか考えるのではなく、そういうものも超越できるようになりたいです」

ともしげ「ごっつぁんゴールで良いんです」

写真提供:関西テレビ放送
写真提供:関西テレビ放送

モグライダーは2021年の『M-1』で、トップバッター史上最高得点を叩きだした。そういった実績から、今回の優勝候補の一角にあげるお笑いファンも多いはず。さらに2022年はテレビなどでも大ブレーク。これまでにないほどの場数を踏んでいることも強みに働くのではないか。

特に意外だったのが、不器用なタイプのともしげが、トーク番組でうまくハマっているように思えるところ。芝大輔も「そうなんですよ。それ、いろんな人に言われます」とこちらの指摘に深くうなずく。さらに芝大輔は、このように話を続ける。

「単純にまわりのレベルが高過ぎるから、僕らがうまくいっているように見える部分もある。やっぱりライブとテレビのトーク番組ってそもそも全然違うから。たとえばライブにしか出ていない人でも、それなりに実力があればテレビでも良いところまではいくはず。ただ、高い水準でトーク番組をやられてる方は持っている力がまったく違うんです。いろいろ出させてもらって気づきました。今のところ、僕らはこれまでやってきたこととなにも変わってはいない。だけど、いろんなものを見させてもらえるようになった状況は、経験としてめちゃくちゃデカいです」

ともしげは「テレビに出るとき『自分ができることを1個は必ずちゃんとやろう』と決めています。それ以上はきっと無理なんで」とテレビでの立ち回り方を自分なりに考えているという。

「ごっつぁんゴールで良いんですよ。だって明石家さんまさん、ダウンタウンさん、東野幸治さん、上沼恵美子さんとか、やっぱりものすごいですから。『あ、君はなにもしなくて良いから。あとはこっちでやっておくよ』ってくらいなんで。こっちが『はい』しか言わなくても、物事が全部うまくいくんです。しかも必ずなにかトピックが立つ。だから僕は、『ボールを蹴って』と言われたら、ちゃんと蹴ることだけに集中しようって。そういう立ち位置でやっていたらトーク番組でも落としどころとして編集されて、ハマっているように見えるだけだと思っています」

ともしげは2021年の『M-1』は「絶対に優勝できる」と信じて疑わなかったという。2022年はどんな結果になるのか。芝大輔は「去年はトップバッターになっちゃったけど、自分の思い通りにいかないから楽しいんですよ。今年もどうなるか分からないけど、みんなが『おもしろい』と言ってくれることにチャレンジしていきたいです」と、挑戦者として今回も『M-1』に臨む構えだ。

芸能ライター

大阪を拠点に芸能ライターとして活動。お笑い、テレビ、映像、音楽、アイドル、書籍などについて独自視点で取材&考察の記事を書いています。主な執筆メディアは、Yahoo!ニュース、Lmaga.jp、Real Sound、Surfvote、SPICE、ぴあ関西版、サイゾー、gooランキング、文春オンライン、週刊新潮、週刊女性PRIME、ほか。ご依頼は yuuking_3@yahoo.co.jp

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