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マシュー南が復活、ポッドキャスト新番組で感じたテレビシリーズ時からの変化

田辺ユウキ芸能ライター
(写真:築田純/アフロスポーツ/bj-league)

2001年から約5年半にわたって放送されたバラエティ番組『Matthew's Best Hit TV』シリーズ(テレビ朝日系)。そのMCをつとめていたマシュー南が、ポッドキャスト番組『Matthew’s Matthew マシュー南の部屋の中のマシュー』をスタートさせた。

1月27日の初回配信では、アイドル歌手として『桃色片想い』(2002年)など数々のヒット曲を発表し、現在は活動休止中の松浦亜弥がゲストで登場。マシュー南を相手に、子育てのことや今後の活動復帰の可能性などについて話を繰り広げた。

それにしても同配信で印象的だったのが、久しぶりに表舞台へ出てきたマシュー南の変化だ。今回は彼の経歴などを振り返りながら、マシュー南のどんな部分が変わったかを考察する。

マドンナを取材したという雑誌社勤務時代

マシュー南の本名は、マシュー・弦也・南。イギリス国籍で、日本人の父親とイギリス人の母親の間に生まれた。

父親は国際的に活躍するチェロ奏者で、バッキンガム宮殿でのコンサートで伯爵令嬢の母親と出会い、恋愛へ発展。しかし母親の家族は交際を反対し、ふたりは駆け落ちをしてアメリカへ。そこでマシュー南が誕生した。彼は2005年4月6日放送の『徹子の部屋』(テレビ朝日系)出演時、「生まれた」ではなく「ひり出た」と表現している。

その後は京都の叔母に育てられ、ジャーナリストを目指してオックスフォード大へ進学。学生時代にはバンド、スクランブルエッグザモンスターに在籍。卒業パーティのときにかけた音楽の選曲が地元音楽雑誌の編集者の目に留まり、そこで3年間勤務。マドンナなどの取材を担当したという。ちなみにマドンナの印象について、「守りではなく、攻めの人」と語っている。

35か国で放送されていたBBCの出演番組『Best Hit TV』が話題となり、テレビ朝日関係者が「ウチでマシュー南の番組を作りたい」と来日を熱烈にオファー。そして『Matthew's Best Hit TV』シリーズが製作されることになった。

2021年に藤井隆が衝撃告白「マシュー南は私でした」

まず触れておかなければならない点が、当時は「お笑い芸人・藤井隆とは別人である」と言われていたこと。あくまで「似ているだけ」と強調していた。

2000年代のお笑い界はほかにも、ガレッジセールのゴリに似たゴリエ、友近にそっくりな水谷千重子らが活躍。2010年代も、古坂大魔王がプロデュースするピコ太郎、企画シリーズ『ロバート秋山のクリエイターズ・ファイル』に出演するロバート・秋山竜次を彷彿とさせるクリエイターたちなど、有名人とは似て非なる人物がテレビ番組などを賑わせてきた。マシュー南は、2000年代以降の「激似キャラ」「別人キャラ」の流れのひとりである。

ところが2021年4月21日に放送されたバラエティ番組『あちこちオードリー 〜春日の店あいてますよ?〜』(テレビ東京系)に藤井隆が出演した際、「あれは私でした」とマシュー南を演じていたことを告白。別人設定を貫くことへの葛藤を抱えていたそうで、「解放されたかった」と口にした。

写真:築田純/アフロスポーツ/bj-league

松浦亜弥の前で号泣、マシュー南の変化

『Matthew’s Matthew マシュー南の部屋の中のマシュー』の初回配信は、マシュー南の変化を感じさせるものだった。

番組冒頭、「あの扉の向こうに(松浦亜弥が)いる」と緊張と興奮を隠しきれず、松浦がスタジオに入ってきた途端、言葉にならない声を上げて喜んだ。さらに松浦が自分の子どものエピソードを話し出すと、こらえきれずに涙を流した。

テレビシリーズ時のマシュー南は、確かにテンションは高かったが、スターとして終始振る舞い、気持ちが大きくブレることはなかった。『徹子の部屋』出演時も、両親のほろ苦い恋愛について話したとき、ハンカチで目を押さえたが、その姿はスマートだった。だが同配信では、松浦と再会し、嬉しさのあまり感情が激しく揺れていることがはっきりうかがえた。これは、2000年代のテレビシリーズ時にはなかったマシュー南の反応だ。

『あちこちオードリー』で「マシュー南=藤井隆」と明言したこともあって、キャラをキープするプレッシャーがなくなったのかもしれない。マシュー南が素の感情を見せてくれたからこそ、同配信のリスナーも素直に感動することができた。そういう意味では、かつてのマシュー南の印象とは多少違いがあったものの、しかしそれは良い変化だったと言える。

彼は、涙もろくなった理由として「歳をとったせい」と語っていた。同配信のなかで「37歳になった」と年齢を公表して、すぐに「42歳」と訂正。かつて「永遠の17歳」を自称し、その年齢についてはさまざまな憶測が飛んでいたマシュー南。時の流れを受け入れて、現実味のある年齢を明かした点も好感をいだくことができた。

何より、松浦亜弥へのインタビューが素敵だった。プライベートな話を聞き出すときは、「ダメならダメと言ってね」と前もって伝えたり、「ぎりぎりを攻めても良い?」と断りを入れたり、とても丁寧だったのだ。松浦は、久々のメディア出演について「マシューの番組だから出たんだよ」としきりに口にしていたが、マシュー南の優しいコメントを聴いていると、彼女がこの番組を選んだワケがよく分かった。

『Matthew’s Matthew マシュー南の部屋の中のマシュー』はAmazonオーディブルにて、毎週木曜日に新エピソードを配信する予定。

芸能ライター

大阪を拠点に芸能ライターとして活動。お笑い、テレビ、映像、音楽、アイドル、書籍などについて独自視点で取材&考察の記事を書いています。主な執筆メディアは、Yahoo!ニュース、Lmaga.jp、Real Sound、Surfvote、SPICE、ぴあ関西版、サイゾー、gooランキング、文春オンライン、週刊新潮、週刊女性PRIME、ほか。ご依頼は yuuking_3@yahoo.co.jp

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