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4月1日「相続登記の申請義務化」スタート➂ ~「10万円の過料」が科せられるケース

竹内豊行政書士
相続登記の義務化に違反すと「10万円以下の過料」が科せられる可能性があります。(写真:イメージマート)

本日、令和6年4月1日から相続登記の申請義務化がスタートしました。義務に違反すと10万円以下の過料が科せられる可能性があります。だれでも過料を払いたくはないでしょう。そこで、相続登記の過料について深掘りしたいと思います。

※相続登記の義務化については、本日、相続登記の申請義務化スタート~義務違反には10万円以下の過料も! 本日、相続登記の申請義務化スタート~登記の期限は?登記義務の不動産は?10万円の過料も!? も合わせてご覧ください。

「過料」とは

そもそも過料とはなんでしょうか。過料とは行政上の秩序の維持のために違反者に制裁として金銭的負担を課すものです。刑事事件の罰金とは異なり,過料に科せられた事実は,前科にはなりません。

過料が課せられるケースとは

正当な理由がないのに相続登記をしない場合、10万円以下の過料が科される可能性があります。

「正当な理由」があれば過料は科せられない

したがって、相続登記を行わないことについて「正当な理由」があれば過料が科せられることはないということになります。そこで「正当な理由」があると認められると思われるケースを5つご紹介します。

1.相続登記の義務に係る相続について、相続人が極めて多数に上り、かつ、戸籍関係書類等の収集や他の相続人の把握等に多くの時間を要する場合
2.相続登記の義務に係る相続について、遺言の有効性や遺産の範囲等が相続人等の間で争われているために相続不動産の帰属主体が明らかにならない場合
3.相続登記の義務を負う者自身に重病その他これに準ずる事情がある場合
4.相続登記の義務を負う者が配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護等に関する法律(配偶者暴力防止法)(平成13年法律第31号)第1条第2項に規定する被害者その他これに準ずる者であり、その生命・心身に危害が及ぶおそれがある状態にあって避難を余儀なくされている場合
5.相続登記の義務を負う者が経済的に困窮しているために、登記の申請を行うために要する費用を負担する能力がない場合

もっとも、これらに該当しない場合においても、個別の事案における具体的な事情に応じ、登記をしないことについて理由があり、その理由に正当性が認められる場合には、「正当な理由」があると認められる可能性があります。

相続登記の申請義務化は所有者不明土地による社会問題を解消するために設けられました。「過料が科せられるから登記を行う」ではなく「所有者不明土地をなくすために登記を行う」という姿勢が住みよい社会形成に求められるのではないでしょうか。

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行政書士

1965年東京生まれ。中央大学法学部卒業後、西武百貨店入社。2001年行政書士登録。専門は遺言作成と相続手続。著書に『[穴埋め式]遺言書かんたん作成術』(日本実業出版社)『行政書士のための遺言・相続実務家養成講座』(税務経理協会)等。家族法は結婚、離婚、親子、相続、遺言など、個人と家族に係わる法律を対象としている。家族法を知れば人生の様々な場面で待ち受けている“落し穴”を回避できる。また、たとえ落ちてしまっても、深みにはまらずに這い上がることができる。この連載では実務経験や身近な話題を通して、“落し穴”に陥ることなく人生を乗り切る家族法の知識を、予防法務の観点に立って紹介する。

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