「帰化」とは~白鵬関が帰化取得に動く。日本人と結婚すると日本国籍が取得できるか。「永住」との違いは。

横綱白鵬関が帰化許可申請に動いたと報道されました。(写真:アフロ)

4月17日に「横綱白鵬関がモンゴル国籍離脱を申請」というニュースが流れました。白鵬関が帰化許可申請の準備を始めたというのです。今回は、帰化について見てみましょう。

日本国籍を取得する方法

日本国籍を取得する原因には「出生」「届出」そして「帰化」の3つがあります。国籍とは、人が特定の国の構成員であるための資格のことを指します。

出生で取得するケース(国籍法第2条)

出生で取得するのは次の3つのケースです。

1.出生の時に父又は母が日本国民であるとき

2.出生前に死亡した父が死亡の時に日本国民であったとき

3.日本で生まれ,父母がともに不明のとき,又は無国籍のとき

届出によって取得するケース(国籍法3条・17条)

届出による国籍の取得とは、一定の要件を満たす人が法務大臣に対して届け出ることによって日本国籍を取得するという制度です。

1.認知された子の国籍の取得

2.国籍の留保をしなかった方の国籍の再取得(国籍法17条)

外国で生まれた子で、出生によって日本国籍と同時に外国国籍も取得した子は、出生届とともに日本国籍を留保する旨を届け出なければ、その出生の時にさかのぼって日本国籍を失ってしまいます。

しかし,日本国籍を留保しなかったことによって日本国籍を喪失した子は、届出の時に20歳未満であることおよび日本に住所を有することのふたつの要件を満たしていれば、法務大臣に届け出ることによって日本国籍を再取得することができます。

3.その他の場合の国籍の取得

帰化によって取得するケース(国籍法4条から第9条)

横綱白鵬関が日本国籍を取得しようとしているのは帰化によるものです。

帰化とは、その国の国籍を有しない者(外国人)からの国籍の取得を希望する旨の意思表示に対して,国家が許可を与えることでその国の国籍を与える制度です。

日本では,帰化の許可は法務大臣の権限とされています(国籍法第4条)。つまり、日本に帰化するとは、外国籍の者が法務大臣から許可を得て日本国籍を取得することを意味します。

国籍法4条(帰化)

1.日本国民でない者(以下「外国人」という。)は、帰化によつて、日本の国籍を取得することができる。

2.帰化をするには、法務大臣の許可を得なければならない。

どうしたら帰化できるか~帰化許可条件(国籍法第5条)

帰化の許可を得るには、次の条件を満たさなければなりません。ただし、これらの条件を満たしていたとしても,必ず帰化が許可されるとは限りません。これらは,日本に帰化するための最低限の条件を定めたものです。

1.住所条件(国籍法5条1項1号)

帰化の申請をする時まで、引き続き5年以上日本に住んでいること。住所は適法なものでなければなりません。当然ですが不法在留など違法滞在の期間はカウントされません。

2.能力条件(同条1項2号)

年齢が20歳以上であって、かつ、本国の法律によっても成人の年齢に達していること。

3.素行条件(同条1項3号)

素行が善良であること。素行が善良であるかどうかは,犯罪歴の有無や態様,納税状況や社会への迷惑の有無等を総合的に考慮して、通常人を基準として社会通念によって判断されます。

4.生計条件(同条1項4号)

生活に困るようなことがなく,日本で暮らしていけることが必要です。この条件は生計を一つにする親族単位で判断されます。したがって、申請者自身に収入がなくても、配偶者やその他の親族の資産または技能によって安定した生活を送ることができればこの条件を満たします。

5.重国籍防止条件(同条1項5号)

帰化しようとする方は、無国籍であるか、原則として帰化によってそれまでの国籍を喪失することが必要です。白鵬関がモンゴル国籍の離脱を申請しているのはこのためです。

6.憲法遵守条件(同条1項6号)

日本の政府を暴力で破壊することを企てたり、主張するような者、あるいはそのような団体を結成したり,加入しているような者は当然ですが帰化が許可されません。

その証として、帰化許可申請の際に、「私は、日本国憲法及び法令を守り、定められた義務を履行し、善良な国民となることを誓います。」という内容の「宣誓書」に署名して提出します。

なお、日本と特別な関係を有する外国人(日本で生まれた者、日本人の配偶者、日本人の子、かつて日本人であった者等で一定の者)については以上の帰化の条件を一部緩和しています(国籍法6条から8条まで)。

許可までの期間

許可申請は、住所地を管轄する法務局・地方法務局にします。帰化申請については標準処理期間が設けられていません。申請書類に不備がなく、許可基準を満たしていればおおむね半年から1年程度で許可が下りているようです。なお、不許可になっても不服申立ての法的手段はありません。

許可が下りると

法務大臣が帰化を許可した場合には,官報にその旨が告示されます。帰化は,その告示の日から効力を生じます(国籍法10条)。そして、帰化が許可された人は戸籍を創設することになります。

国籍法10条

1.法務大臣は、帰化を許可したときは、官報にその旨を告示しなければならない。

2.帰化は、前項の告示の日から効力を生ずる。

帰化許可者数

法務省民事局が発表した「帰化許可申請者数、帰化許可者数及び帰化不許可者数の推移」によると、昭和27(1952)年4月28日から平成30(2018)年までの帰化許可者数は55万9456名(昭和27年4月27日以前は333名)となっています。なお、平成30(2018)年は9,074名で許可者の内訳は、韓国・朝鮮が4,357名、中国が3,025名となっており、許可者の約75%を占めています。

日本人と結婚すると日本国籍が与えられるか

日本人と結婚すると自動的に日本国籍が取得できると思っている方がいますが、そのようなことはありません(ただし、帰化の許可条件は一部緩和されます)。

日本人と結婚して日本に在留する場合は、法務大臣から許可を得れば「日本人の配偶者等」という在留資格が与えられます。なお、この在留資格には就労制限はありません。そのため、偽装結婚による「日本人の配偶者等」の在留資格の不正取得が後を絶ちません。

在留資格「永住」との違い

また、在留資格「永住」と帰化が混同されることがあります。在留資格「永住者」は、在留活動、在留期間のいずれも制限されないという点で他の在留資格と比べて大幅に在留管理が緩和されます。ただし、国籍は本国のままです。その点が帰化と決定的に違うところです。