ガラッと変わった相続法 ここに注意!vol.3 相続人以外の者による貢献の考慮

相続人でない「長男の嫁」などが、相続財産から配分を受けられるようになります。(ペイレスイメージズ/アフロ)

平成30年7月6日、「民法及び家事事件手続法の一部を改正する法律」(改正相続法)が成立して相続の姿がガラッと変わりました。

そこで、相続法が変わったことによる注意点をシリーズでご紹介します。

第1回の自筆証書遺言の残し方、第2回の自筆証書遺言の保管制度に続いて、今回は「相続人以外の者による貢献の考慮」です。

今まで~相続人以外は相続財産から配分を受けられなかった

亡くなった方(=被相続人)を療養看護等する者がいたという場合に、その者が相続人であれば、相続人の協議でこの者の寄与分を定め、協議が調わないときは、または協議ができないときは、寄与した者の請求により家庭裁判所が寄与分を定めることができます(民法904条の2第1項・2項)。

一方、その者が相続人ではないというときには、相続財産から何らの分配も受けることはできません。このような結果は、被相続人の療養看護等を全くしなかった相続人が相続財産から分配を受けることと比較して不公平ではないかという指摘がされてきました。

こう変わる~親族が相続財産から配分を受ける対象になった

そこで、相続人以外の親族(例えば、義理の父親を介護した長男の嫁)の中で、無償で被相続人に対する療養看護その他の労務の提供により被相続人の財産の維持または増加について特別の寄与をした者(=特別寄与者)は、相続人に対して金銭の支払い(=特別寄与料)を請求できるようにしました(民法1050条1項)。

特別寄与料の請求方法

まずは、特別寄与者と請求相手方である相続人との間の協議で決めます。この協議が調わないとき、または協議をすることができないときは、特別寄与者は、家庭裁判所に対して「協議に代わる処分」を請求することができます(民法1050条2項本文)。

ここに注意!~相続人以外の者による貢献の考慮

特別寄与者は親族のみ

特別寄与者になりえる者は、被相続人の親族に限定されています。したがって、事実婚や同性カップルのパートナーは対象とされていません。

特別寄与者に該当しない者は、いくら被相続人の財産の維持・増加に特別の寄与をしたとしても、特別寄与料の請求をすることはできません。

特別の寄与

特別寄与料の請求が認められるためには、「被相続人に対して無償で療養介護その他の労務の提供したことにより被相続人の財産の維持又は増加について特別な寄与をした」ことが要件となっています(民法1050条1項)。

なお、相続人の特別の寄与と比べて、特別寄与者が求められている特別の寄与の程度は、やや程度が低く考えられているようです。

特別寄与料の請求が認められないケース

次のようなケースでは、特別寄与者による特別寄与料の請求は認められません。

・特別寄与者がその寄与について被相続人から対価を得ていたとき

・被相続人に対する貢献に報いるために、特別寄与者に利益を与えるために、契約や遺言で対応がされた場合

期間が制限されている

特別寄与者が相続の開始および相続人を知った時から6か月を経過したとき、または相続開始の時から1年を経過したときは、特別寄与者は、家庭裁判所に対して協議に代わる処分を請求することができなくなります(民法1050条2項ただし書き)。

このように、亡くなった方の療養看護に尽力しても、親族でなければ特別寄与者に該当しません。したがって、内縁や事実婚のパートナーへ療養看護等の労務に報いるために死後に財産を残したい場合は、遺言を残すしかありません。

また、たとえ義理の父を介護した長男の嫁のように特別寄与者に該当したとしても、相続人との協議が調わなければ特別寄与料がすんなりと支払われることはありません。

決め手は遺言

このように、特別寄与料をすんなりと受け取るのには困難が予想されます。そのため、相続人以外の者から療養看護を受けている者は、その労務に報いるために、遺言を残すことが大切です。また、現に義理の親などの介護をしている方は、遺言を残してもらうようにお願いするのも一つの考えです。ただし、遺言を残すのはあくまでも本人の意思です。無理強いは決していけません。

なお、今回ご紹介した相続人以外の者による貢献の考慮は、今年7月1日から施行されます。

ガラッと変わった相続法 バックナンバー

vol.1 自筆証書遺言の残し方

vol.2 自筆証書遺言の保管制度