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GoToキャンペーンと大阪都構想

土居丈朗慶應義塾大学経済学部教授・東京財団政策研究所研究主幹(客員)
大阪でも新型コロナ感染症の新規感染者が増加し、「大阪モデル」で黄信号に(写真:アフロ)

7月17日、東京都で新型コロナウイルス感染症の1日の新規感染者が過去最多を記録する中、政府は「GoToトラベルキャンペーン」を東京のみを外して7月22日から開始することを決めた。

その決定に至るまでには、紆余曲折があった。

拙稿「緊急経済対策に伴う補正予算はどうなった」で詳述したように、2020年度第1次補正予算で1.7兆円を計上したGoToキャンペーンのうち、GoToトラベルキャンペーンを8月から始める予定にしていたが、観光・宿泊業界の要望で、開始時期を前倒しすることにした。

ところが、東京都で1日の新規感染者が200人を超え始めてから、GoToトラベルキャンペーンを前倒しで全国的に開始することに疑問の声が出始めた。

14日に、吉村洋文大阪府知事が、感染拡大を懸念してGoToトラベルキャンペーンを全国的に実施するのは反対である旨を、赤羽一嘉国土交通相に伝えた。大阪府では12日に1日の新規感染者数が32人となり、感染状況を判断するための独自基準「大阪モデル」に基づき、警戒を呼び掛ける「黄信号」を点灯させていた。

大阪府には、今ここで感染が拡大しては困る理由がある。もちろん、住民の健康を守ることがその第一の理由である。それに加えて、大阪独自の事情がある。それが、「大阪都構想」である。

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慶應義塾大学経済学部教授・東京財団政策研究所研究主幹(客員)

1970年生。大阪大学経済学部卒業、東京大学大学院経済学研究科博士課程修了。博士(経済学)。慶應義塾大学准教授等を経て2009年4月から現職。主著に『地方債改革の経済学』日本経済新聞出版社(日経・経済図書文化賞とサントリー学芸賞受賞)、『平成の経済政策はどう決められたか』中央公論新社、『入門財政学(第2版)』日本評論社、『入門公共経済学(第2版)』日本評論社。行政改革推進会議議員、全世代型社会保障構築会議構成員、政府税制調査会委員、国税審議会委員(会長代理)、財政制度等審議会委員(部会長代理)、産業構造審議会臨時委員、経済財政諮問会議経済・財政一体改革推進会議WG委員なども兼務。

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