新型コロナウイルス流行以前から、SDGs(Sustainable Development Goals:持続可能な開発目標)の達成に向けて、全世界的に取組みが進んでいた。ただ、日本での取組み、特に民間資金の活用が必ずしも活発とは言えない状況だった。また、SDGsの達成にも貢献するわが国の途上国への無償援助も、財政制約が厳しい折、新たな財源の確保なしに増額することは容易ではない状況だった。

そうした状況下で、2019年7月に、外務省は「SDGsの達成のための新たな資金を考える有識者懇談会」を設置し、SDGsの達成に必要な資金を確保するために、革新的資金メカニズム(IFM)をはじめとする資金調達の方法や使途とすべき分野等の論点を議論することとなった。

そして、2020年7月16日に、同懇談会の報告書(最終論点整理)を、茂木敏充外務大臣に手交した。

この報告書は、新型コロナウイルスの感染拡大前から議論しており、報告書案がほぼまとめられようとした頃に感染拡大が始まった。したがって、この報告書は、ワクチン提供支援だけに限定した議論ではなく、SDGsの諸課題を幅広く見渡した上で議論している(その意味では、本稿冒頭の写真は、SDGsのロゴなどが相応しく、ワクチンの写真だと若干偏りがあるものの、SDGsのロゴ等の使用は申請等の手続きがそれなりに必要なため、本稿では用いなかった)。

ただ、新型コロナウイルスが世に知られていなかった頃から懇談会で議論していたが、図らずも新型コロナウイルスの感染拡大でワクチン開発や接種の必要性が強く認識されるに至り、SDGsで以前から意識されていた途上国での感染症予防で注目されていたワクチン提供支援と、問題意識がぴたりと重なりあう今日の情勢になった。

SDGsの目標3は、「すべての人に健康と福祉を」であり、その中に、必須医薬品とワクチンへのアクセスを含むユニバーサル・ヘルス・カバレッジ(UHC)を達成することが盛り込まれている。

では、前掲の、「SDGsの達成のための新たな資金を考える有識者懇談会」の報告書(最終論点整理)では、どのような方向性を打ち出したのか。

国際連帯税

懇談会の議論では、当初、国際連帯税によって、SDGs達成に向けた政府の無償援助の財源を確保することが一つの方策として着目していた。国際連帯税は、フランスなどで導入されており、国際線の航空券に課税して財源を賄っている。

国際線の航空券といえば、わが国では、国際観光旅客税が2019年1月から導入された。国際観光旅客税は、航空だけでなく船舶でも日本から出国する旅客に課税する。ただ、その使途は特定されていないものの、導入経緯から、観光基盤の拡充・強化を図るための支出の財源確保を意識したものといえる。だから、国際観光旅客税の税収を、直ちにSDGsの達成のための支出に充てられるものではない。

とはいえ、国際観光旅客税が課税されるのは出国時であって、入国時には課税されない。そうみれば、入国時の課税は未導入ともいえる。ならば、入国時に課税してそれをフランス流にSDGsの達成などのために充てる、という考え方はできるのかもしれない。

そんな議論もありながら、2019年暮れの税制改正論議では、国際連帯税導入は結局前進しなかった。

というのも、