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ドロ沼サスペンス?『さよならマエストロ』今期No.1ドラマの予感 芦田愛菜&當真あみ再名演にも期待

武井保之ライター, 編集者
TBS日曜劇場『さよならマエストロ~父と私のアパッシオナート~』公式サイトより

 TBS日曜劇場『さよならマエストロ~父と私のアパッシオナート~』がスタートした。地方の市民オーケストラの成長と親娘関係の再構築が主軸になるホームドラマかと思いきや、サスペンスフルな展開を匂わせて第1話を締めた。

 本作は、ある事件で家族も音楽も失った天才指揮者・夏目俊平(西島秀俊)が主人公。そんな父を拒絶し、音楽を嫌う娘・響(芦田愛菜)が、地方のオーケストラを通して情熱を取り戻し、親娘の絆を再生していくヒューマンドラマだ。

 世界で活躍した一流マエストロが、家族の事情で地方のアマチュアオーケストラの指揮を執る。どこかで見たような設定だが、登場人物のセリフや細かなリアクションなど言動にリアリティがあり、夏目俊平とオーケストラとの接点や距離感にも、ありがちなドラマ的なベタがない。随所に光る細やかな演出により、日曜劇場らしいしっかりした作りのドラマになっていた。

 そして、西島のほか西田敏行や石田ゆり子、玉山鉄二、津田寛治、宮沢氷魚、新木優子など豪華実力派キャストがならぶ本作だが、第1話から視聴者を引きつけたのは、エンターテインメントシーンをリードする誰もが知る若きスター・芦田愛菜と、話題作での好演で注目度急上昇中の新鋭・當真あみとの再共演だ。

 芦田と當真といえば、昨年7月期の『最高の教師 1年後、私は生徒に◾️された』(日本テレビ系)で、苦悩と葛藤の感情がぶつかりあう同級生を演じていたばかり。それぞれの役柄の人間性と2人の特別な関係性を心と身体で体現した熱演は、視聴者の心を奪い、ドラマの物語に深く引き込んでいた。

 そんな2人が、第1話のラストわずか数シーンだがさっそく共演を果たした。本作では、市の職員(芦田)と高校2年生(當真)という役柄だが、この先どういった絡みが生まれるのか、2人の芝居のぶつかりあいにも注目が集まりそうだ。

 一方、物語の本筋は、衝撃的なシーンで第1話が終わった。そこまでの流れも、安定感のある脚本とポイントごとの巧みな演出で楽しめたのだが、ラストで一気に視聴者をつかんだ。

 ヒューマンドラマの皮を被ったドロドロサスペンスかもしれない。『光る君へ』第2話の余韻が吹き飛ぶほどのインパクトがあった。

 脚本は、涙なしには見られなかった『妻、小学生になる。』(2022年)の大島里美氏。今期No.1ドラマになる予感がある。

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ライター, 編集者

音楽ビジネス週刊誌、芸能ニュースWEBメディア、米映画専門紙日本版WEBメディア、通信ネットワーク専門誌などの編集者を経てフリーランスの編集者、ライターとして活動中。映画、テレビ、音楽、お笑い、エンタメビジネスを中心にエンタテインメントシーンのトレンドを取材、分析、執筆する。takeiy@ymail.ne.jp

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