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【スケジュール追記有】五輪プレシーズンの24/25、MDは年内開催、気になる日本選手権の会場は?

竹田聡一郎スポーツライター
カーリング界の新ヒロインとなった上野美優(中央)の来季はタフなものに(筆者撮影)

 JCA(日本カーリング協会)は3月5日にオンラインで理事会を行い、世界選手権に出場する代表チーム、選手などを正式決定した。

 現地時間16日に開幕を控える女子の世界選手権(カナダ・シドニー)に日本代表として挑むSC軽井沢クラブは、日本選手権から選手やコーチに目立った変更はないが、男子代表として3月30日からスイス・シャフハウゼンでの世界選手権に出場するコンサドーレのフィフスに中原亜星(ロコ・ドラーゴ)が加わった。日本選手権ではフィフスおよびコーチ登録だった敦賀信人がチームコーチに専念し、ナショナルコーチのロバート・アーセルも帯同する旨が発表された。

日本代表として世界選手権の帯同が決まった中原。安定したショットとハードなスイープが持ち味でどのポジションでも起用が可能な万能型の選手だ (C)北海道カーリング協会
日本代表として世界選手権の帯同が決まった中原。安定したショットとハードなスイープが持ち味でどのポジションでも起用が可能な万能型の選手だ (C)北海道カーリング協会

 また、併せて来季のJCA主催大会の内定スケジュールも大部分が発表された。正式には次回、5月11日の理事会での承認をもって決定されるが、大枠は以下のようになる。

 まず8月22日から稚内でミックスカーリング選手権(男女2選手ずつの混合)が行われる。翌9月は12日からは常呂町で大学対抗選手権だ。ここには今季北海道選手権やミックスダブルスで躍動した帯広畜産大学、新入部員を迎えた王者・札幌国際大学などが出場するだろう。

 特筆すべきは12月2日に稚内で開幕するミックスダブルスだ。2024/25シーズンは五輪プレシーズンであり、2025年2月にはアジア冬季大会(中国・ハルビン)も予定されている。例年のように4人制の日本選手権後にミックスダブルス日本選手権を並べると、スケジュール的に兼任が厳しくなる選手が増えるための配慮の前倒しだろう。SC軽井沢クラブ(上野美優、山口剛史)の優勝はまだ記憶に新しいところだが、中8ヶ月で次回大会を迎えることになった。

 今季、ミックスダブルスで積極的な強化を積んできた松村・谷田(松村千秋、谷田康真)や小穴・青木(小穴桃里、青木豪)などは世界ツアーの主要大会が開催される時期と重なってくるが、このあたりをどう捉え調整してくるかが鍵になる。

 年が明けて2025年、2月2日から日本選手権がはじまる。開催地は最終調整中だが、念願の首都圏アリーナ開催が実現するのか注目されている。また、日本選手権に向けた各地ブロックの地方予選は12月から1月に消化されるはずだが、前述のミックスダブルスの兼ね合いもあり、各地方協会も慎重なスケジュールを組むシーズンになりそうだ。

 アジア冬季大会は2月7日から14日の日程であるため、日本選手権に出場するチームは日本代表としてハルビンに行くのは不可能だ。代表チームの編成および選考方法について強化委員会で再検討し、追ってJCAからアナウンスがあるだろう。

 同時期には“カーリング甲子園”の愛称も徐々に定着しはじめた、全農全国高等学校カーリング選手権が青森で行われる。さらに2月21日からは名寄で日本シニアが、3月18日からは青森で日本ジュニアがそれぞれ開催予定だ。

 ざっと並べてみても、かなりタフなシーズンだ。

 例えばSC軽井沢クラブの上野美優は来季、女子とミックスダブルスで強化指定される選手であり、いわば“二刀流”で過ごすことになる。チームの強化を続けながら10月下旬には女子代表としてカナダ・ラクームで開催されるパンコンチネンタル選手権に出場し、12月のミックスダブルス日本選手権に備えないといけない。

 もちろん上野やSC軽井沢クラブに限った話ではない。世界ツアーでグランドスラムを狙えるチームであっても、ミックスダブルスの日本選手権に兼任出場をする選手がいれば、取捨選択を迫られる。いずれにしてもスケジューリング、コンディショニングが結果を大きく左右するシーズンになるだろう。あるいは5人目、サポートメンバーを加えるチームが出てきてもおかしくない。このオフの動きや始動のタイミングなどで来季が占える部分もありそうだ。

 とはいえ、これらは2026年ミラノ・コルティナダンペッツォ五輪、あるいはその選考に依る部分が大きいのだが、まずは日本代表として出場権を獲得しないと絵に描いた餅にすぎない。SC軽井沢クラブ、コンサドーレ、上野山口ペア、3つの代表チームの健闘と好成績を祈る。

【カーリング2024/25主要大会スケジュール】

※日程はすべて現地時間、また日程および会場はすべて予定です。詳しくは各協会や大会HPなどをご参照ください。

◆2024年8月8日(木)ー11日(日)

北海道ツアー/稚内みどりCHALLENGE CUP

(稚内市/みどりスポーツパーク)

◆8月22日(木)ー25日(日)

北海道ツアー/アドヴィックスカップ

(北見市常呂町/アドヴィックス常呂カーリングホール)

◆8月22日(木)ー25日(日)

日本ミックス選手権

(稚内市/みどりスポーツパーク)

◆8月29日(木)ー9月1日(日)

北海道ツアー/アルゴグラフィックスカップ

(北見市/アルゴグラフィックス北見カーリングホール)

◆9月12日(木)ー15日(日)

全日本大学対抗選手権

(北見市常呂町/アドヴィックス常呂カーリングホール)

◆10月1日(火)ー6日(日)

グランドスラム /ツアーチャレンジ

(カナダ・シャーロットタウン)

◆10月27日(日)ー11月2日(土)

パンコンチネンタル選手権

(カナダ・ラクーム)

◆11月5日(火)ー11月10日(日)

グランドスラム /カナディアンオープン

(カナダ・ニスク)

◆11月26日(火)ー12月1日(日)

グランドスラム /ナショナル

(カナダ・セントジョンズ)

◆12月2日(月)ー8日(日)

日本ミックスダブルス選手権

(稚内市/みどりスポーツパーク)

◆12月13日(金)ー15日(日)

軽井沢国際カーリング選手権

(軽井沢町/軽井沢アイスパーク)

◆2024年12月29日(日)ー2025年1月1日(水)

ニューイヤーカーリングin御代田2025

(御代田町/カーリングホールみよた)

◆1月13日(月)ー23日(木)

FISUワールドユニバーシティゲームズ

(イタリア・トリノ)

◆1月14日(火)ー19日(日)

グランドスラム /マスターズ

(カナダ・ゲルフ)

◆2月2日(日)ー9日(日)

日本選手権

(横浜市/横浜BUNTAI)

◆2月7日(金)ー14日(金)

冬季アジア大会

(中国・ハルビン)

◆2月13日(木)ー16日(日)

全国高等学校選手権

(青森市/みちぎんドリームスタジアム)

◆2月21日(金)ー24日(月)

日本シニア選手権

(名寄市/北海道立サンピラーパーク)

◆3月15日(土)ー23日(日)

女子世界選手権

(韓国・ウィジョンブ)

◆3月18日(火)ー23日(日)

日本ジュニア選手権

(青森市/みちぎんドリームスタジアム)

◆3月29日(土)ー4月6日(日)

男子世界選手権

(カナダ・ムースジョー)

◆4月中旬

グランドスラム /プレイヤーズチャンピオンシップ

(開催地未定)

◆4月下旬

ミックスダブルス世界選手権

(開催地未定)

スポーツライター

1979年神奈川県出身。2004年にフリーランスのライターとなりサッカーを中心にスポーツ全般の取材と執筆を重ね、著書には『BBB ビーサン!! 15万円ぽっちワールドフットボール観戦旅』『日々是蹴球』(講談社)がある。 カーリングは2010年バンクーバー五輪に挑む「チーム青森」をきっかけに、歴代の日本代表チームを追い、取材歴も10年を超えた。

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